#53
王宮から1人の男が出て来た、
そしてカリーに向かって話しかける
「カリー、どうして俺を裏切った
お前となら共に世界を創れると思ったのだが、残念だ」
「バロム、悪いな最後は人間の味方として死ぬ事にしたんだ」
「分かった、それでは俺も本気を出すとしよう、まずは脅威となる存在からだ」
そう言って、誰も反応出来ない速度の攻撃、しかし、カリーは魔王をこの中で1番理解している。
まずは強敵となるであろう人間から殺すのが魔王の戦い方。それならカリーは一目散にゼロを助ける。
「助けるのか、不純だな」
「人間がお前に勝つ為には俺より、ゼロの方が必ず役に立つ、こいつを死なせたいならまずは俺から殺しやがれ!」
「面白い、やはりお前は俺の横にいるべきだったここで死ぬのは惜しい人間だ」
魔王の言葉にカリーは動じず、集中をする。
今回は結界が無い、存分に本領を発揮できる。さっきの一撃でゼロに回復をしてもらったが完全に回復が出来ない。
特別な攻撃タイプだった。
「回復強化」
ゼロは治療では無く、身体能力と魔力回復をカリーに与えた。
「今は俺の領域だ、
誰にも止められねえ 雷!」
カリーは片手に炎を纏った魔剣を持ち、もう片方の剣は地面に突き刺し、天候を変える。
これがカリーの真骨頂、強大な魔力でフィールドを制する戦闘スタイル。
「おい、カリーこれじゃ俺達にも雷が」
それはそうだ、自分が操作できるとは言え他の仲間にはどこに雷が落ちるか分からない。
となるとこの魔術は危険が高まるが、カリーは人差し指を上に立て、顔も上に上げる。
そう、この魔術は上を見る事で簡単に避ける事ができる。
しかし、上を見ながらの戦闘は1対大勢の魔王にはかなり苦しい。
「回復強化!みんな頑張って!」
これを好機とし、ゼロが、全員に魔力強化をし一気に攻撃を開始する。
力が足りなくても数で押せばいつかは必ず魔王にも攻撃が届くはず、、
「ネタが割れてもそれを対応出来るかは別問題!
さあ、この攻撃をどう対応すんだ?」
「天候を変える力、素晴らしいだが俺に通用するとでも思ったのか」
雷を直接受けてもびくともしない魔王に驚きを皆隠せていない。
それでも魔術師は後衛の比較的安全な方で魔術を撃ち続け軽い妨害をする。
「目障りだな、死んでくれ」
魔王が遂に、カリー以外を攻撃した。
その攻撃を魔術師には回避できる事ができず、後衛にいた全ての魔術師が倒れ、残りは15人となってしまった。
その中には2番隊のストローもいた。
今は悲しんでる余裕なんてない、それよりも魔王を倒して、天国にいる仲間に平和な世界を見せるのが俺達が今するべき最優先事項だ。
そして何より、ここで弔う事を死んだ人達も望んでなんかいないだろう。
「ヴェンバーン」
しかし俺の魔術では悔しいが通用しない、
「やはり、カリーでは力不足だ」
もう一度、ゼロを一点狙いする。
姿が消えているのに気配だけで完璧な調整。
こちらもゼロの姿は見えていないのに、カリーだけは見えているかの様に身を挺して防ぐ。
これは元々長年一緒に冒険を共にして来た仲間の阿吽の呼吸の様に。
が、しかし、今度の攻撃は間違いなく、カリーの急所をついていた。
それでもまだカリーは震えながらも立っていた。
ゼロが回復をするもやはり回復が意味をなさない。
「カリー、まだ、まだ死んじゃだめっ」
「ゼロ、これ以上助けるな、これ以上俺に何を求める?
もう充分だろ?
お前らを一度裏切った悪役にしちゃ良い死に方じゃねえか、死に方くらいよ俺に選ばせてくれ
あと、もし良かったらお前も攻撃魔法、使ってくれないか、嫌なのは分かってるでも奴を倒すには少しでも力になる戦力が欲しい」
「うん、分かった頑張る」
「良かった、じゃあ手を離して、仲間を助けてくれ」
そう言うと、ゼロは静かに手を離す。
しかし、カリーの目はまだ死んでなかった。間違い無く瀕死で、目を開けることすらギリギリなくらいの状態だが立ち上がった。
「これから俺がいなくなったらよ、お前を守るのはお前しかいないからな後は頑張るんだ」
一度下を向いて大きく息を吸って上を向いて、正面を向きながら息を吐く。
そして持っている片手剣を前に出すと雷が剣に落ち、炎と雷の2属性を一つの剣に集約させる。
「これが俺の最後の足掻きだ喰らいやがれ!!」
何をするかと思ったらまさかの正面突破、ここに来て無策とは考えにくい。
間違いなく、カリーはもう瀕死だった。
これが最後の一撃───
「仲間想いの良い人間だ、しかしそれでは俺に届かない」
カリー剣は魔王の胸元5cmの所で惜しくも届かなかった。
「お前を倒すのは俺じゃねえそれだけだ」
最後にカリーは大声で
「後は託したぞ!次はテメーらの番だ!新たな世界を楽しみにしている!!!」
そうしてカリーは魔王の目の前で力尽きた。
「ふん、何が新たな世界だ。
笑わせる、ゼロ、今度こそ死んでもらう」
「そうはさせない」
メルトが消却魔法で何とか防ぐ事が出来た。ゼロの強化のおかげもあるが、ここに来てメルトも覚醒している。魔王討伐が目と鼻の先になったからか。
「その魔法、どこで覚えた」
魔王は少し笑顔を見せる。
戦闘が楽しくなって来たのか、メルトに急接近する。
俺はミスフィクアで応戦するが、上級魔法でも擦り傷にもならなかった。
「言わねえよ、言ったら退いてくれんのか」
「なら殺すまでだ」
直接魔王の手に触れメルトは吹っ飛ばされるが、すぐに立ち上がった。
やはり魔王を殺せるなら死ぬ事も擦り傷だった。
「メルトっ!」
ゼロが回復をする為にメルトの元へ向かおうとする為走る。
俺からすればどこにいるか分かりもしないが、気配が察知出来る魔王からすればそんな姿は格好の的以外の何者でもなかった。
ゼロの場所は分からないが、ゼロを狙っている事が分かったモリアは魔王に自分の今出せる最大の一撃を放つ。
モリアがゼロの強化をもらっており、元々の破壊力からさらに強くなっていた。
モリアの一閃で魔王を切ろうとするが、少し危険と感じたのか、躱されてしまった。
魔王が攻撃するのを読めていたゼロは魔法で回避する。
「アイスグランド!」
流石はSランク冒険者だ、魔王の攻撃にも対応が出来ている。
しかし、回復術師、2度目の攻撃には対応できなかった。
魔王の一撃がゼロの心臓を貫く。
「ゼロ!」
ゼロはメルトの目の前で倒れ込んでしまう。
魔王の攻撃を治療する事が出来ず、打つ手の無い状況。
「すいませんっ失敗しました。
私はずっとそうです、視野が狭くて周りに気を使うなんて出来っこ無かったんです
それでもメルトだけは守りたくてそばにいたくて、ずっとがんばって来た、それでも私は届かないって分かったのだから陰ながらメルトを応援するんだって、
だから負けないで、私はここでいなくなるけど私の事、絶対に忘れないで下さい。大好きでした」
最後にゼロは自分の全てを使い、メルトを回復させた。
完治とまではいかないが、かなりの回復は出来た。身体能力の向上、魔力回復もおまけにした。
しかしもうゼロの援護も無くなった。
メルトは再度立ち上がった。




