#47
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本番、魔王討伐に向かうまで後二日となった。モリアと依頼を受けた以降は教会の周辺で剣の特訓をしたり、中でガルファーと雑談をしたりと本当、友達と遊んで喋ってと学生の夏休みの様な事をしていた。
それも後二日で終わり。今日も今日とて教会で話をしている。今日は奇跡的に早く起きてまだ、2番隊のメンバーがガルファー以外まだ起きていなかった。
俺はガルファーに前聞きたかったモリアのことについて話そうと思った。
「後二日なんだよなぁ
今の生活で満足してる俺が恥ずかしいぜ」
「まあそうだな、後1週間もすりゃ全てが変わるからな良い方になるか悪い方になるかは俺たち次第、緊張も逃げたくなるのも分かる。
それでも俺達は覚悟は出来てるだろガルファーもメルトさんに恩返しがしたいからここにいる訳で逃げた奴だっていた。ガルファーも逃げる事が出来たそれでも逃げなかったじゃねえか」
そう、以前チームを編成した際、前線で戦う事になってしまった数人は死への恐怖から教会から逃げ出し顔を見せなくなってしまった人が出始めていた。
しかし、ガルファーもモリアも逃げなかった。
「そりゃ逃げるわけねえよ
腰抜けと同じにすんな!」
「俺は逃げた人を腰抜けなんて言った覚えはない、まあ今までの恩はどうすんだとは思うけどそいつらはどうせ今、路頭に迷ってる、逃げる方が間違い。逆に称賛したいね」
俺は嫌味っぽく話す、逃げた奴らは後先考えずに目先の安全に囚われたある意味可哀想な人。
そんな奴らが本番にいたとして役に立つなんて思ってすらいなくなっていた。俺も人数は多い方が思うが、実力ではなく覚悟がある奴じゃないと足しにならないと思うようにもなっていた。それはアシェリーさんの言葉の影響だろう。
俺の嫌味な話し方のせいで少し場が凍るがそれを良い機会と思い前に「後で話す」と話してくれなかった事を聞く。
「前聞けなかったモリアの話、今話してくれない?」
俺は雰囲気に流れるようスッと言葉を出す。
しかしそこはしっかりキャッチされ少し間があったものの話してくれると言った。
「あいつは俺のちょっとモリアが後に革命軍に入った、いわば同期って奴
ここにいる人の大半は学校になんて言った事がないからよ人との会話が苦手な奴も多かったがモリアは今まで見てきた中でもダントツで話すのを嫌ってた、と言うより怖がっていた
新人同士で依頼に行く事になってそこでモリアは剣を握らなかった俺はやる気がないと思って怒って怒鳴った。
そしたら「気をつけて絶対に」って言ってモンスターに向かって剣を振った俺は何とか急所は避けたがかなりの傷をそこで負った」
「その傷は大丈夫だった?」
「ゼロちゃんに助けてもらった」
モリアの一撃で負わせた傷も回復出来るのか。
「助かったと同時に疑問だった、どうしてそこまでの力があって戦わないのかって、
そしたら話してくれたんだ。前のチームのメンバーを俺がモンスターと一緒に殺してしまったってそれ以降剣を握るのが怖くなったらしい。
自分では思い出したく無い事らしいからあまり聞いてやんなよここだけの秘密な」
「分かったけどよ、どうして革命軍に入ったんだモリアは戦いたくないのに」
「いやあいつも貧乏で家族がいない、生きる為に剣を持つしかなかったからなメルトさんが助けてくれたんだ、俺と同じで」
メルトさんは戦力としてだけではなく救済をする代わりの対価が力を貸してくれと言うのか、だとしたら俺は珍しい誘われ方をしたんだな。
少し長話をしていると続々と起きて朝食を食べに来る人が増えてきた。その中にはモリアもいた。
俺達も朝食を食べる準備をしようとご飯を取りに向かう。
「俺達もそろそろご飯食べようぜ」
「おう!席はいつものとこで」
いつもの席は前列の窓側の5つ椅子があるテーブル席。ご飯を取りに行くガルファー、席どりをしておく俺で分担をしておく、そうすれば問題なく5人席に座る事ができる。
いつも通り俺とガルファー、モリア、同じく2番隊のサルドとストローと食べている。
「明後日にはもう始まっちまうもんな!はえーもんだな2年ってよ!」
サルドは革命軍に来て2年位らしい、大柄で元気の良い漢だ。どんな戦闘スタイルなのか知らないが武器を見た所近接だろうなもう1人は間違いなく魔術師だし、
「サルド、大声で話すなよ行儀悪い
それに8、9番隊の奴らが可哀想だろ必死に現実逃避してるってのにさ」
ストローも例に漏れず他に聞こえてしまうくらいの声で話す、それに、サルドは大声を上げ笑う。
こいつはメルトさんよりアシェリーさんに意識されてる人かも? ちょっと怖い、
「ストロー、俺に聞こえるように言うなよ、震えてきた」
相変わらずモリアはストローの言葉にすっかりしゅんとなってしまった。
弱気な性格は一日や二日で治るようなものではなかったようだ。
「なあ、そろそろ我らの隊長さんとしっかり話したらどうだ?サルド」
「俺は俺の為に動く、それをお前が盾になれば連携はそれで十分だろ?モリアは自由に動ける
ストローもレイも万能型だし援護してればいいだけだ」
「おいおい歳上が威張んなよ、お前つまんねえよ自分がリーダーになれると思ってたら急に新星が現れちゃって不貞腐れちゃってよ情け無い」
「いいだろう分かった!レイ、食い終わったら俺と一本勝負をしろ負けたら指示に従ってやる
ただし俺が勝ったら俺の指示に従え」
この声も大きい、俺はメルトさんの方を見ると、食事の手を止め、ちゃんとこっちを見てにっこりしていた。聞こえている。
しかし、メルトさんはすぐに食事を再開、無視をした、何かこれにも考えがあるとでも言うのか?
ならこの勝負は受けておくべきだろう。
「受けます。」
外に出ると思いのほかギャラリーもそこそこの人数がいた。まだ本番が近いと言う緊張感が抜けきれてない人もいるようだ。
「さっきゼロには話をしておいた終わったら回復をしてくれるとのことだ
全力で行かせてもらう」
Aランクとは言っても大柄な男、動きはあまり早い訳ではない、恐らくだがガルファーやストローの援護に頼りきっていて自分の力を過信しているようだった。
サルドは革命軍に入る時からAランクだったと聞く、もしかしたらサルドが1番勇者気取りたい奴だったのかもしれない。
そんな偽物相手に俺は負ける気がしなかった。
「遅いよ、サルド動きにキレがない」
勝負は一撃で決まった。俺が地面から土魔法で岩を飛び出させ、サルドはギャグのように飛んでいった。
防御までも疎かになっているとは指示する時どう扱えばいいのかが不安になってきた。
落下も俺が風魔法で速度を落として安全に着地させるアフターも完璧にこなしてあげる。
「悪かったな!俺の負けだ」
「サルド、後二日で防御を身につけ直した方が良い今のままでは1人だと何も出来ない」
俺は冷静にサルドの分析をしてあげた。
流石に怒るかと思ったら負けて大人しくなったようですんなりと受け入れてくれた。
これは二日後が楽しみになった。




