シャッター街の風
猫の嘶き
ドラム缶を食べながら
吐いては捨てるほどの雨にうたれ
人間の身体ほどになる
シャッター街に点滅する
明かりの向こう側を見ているようだ
人の狼煙と事柄の過程の隅に
生まれ落ちた獣は
安易な形がもたらした罵倒である
甘くなり過ぎた飴細工の花
落ちた煙草の火は
焼け野原を作る為にガソリンを探す
火だるまの達磨に目を入れるなら
煙の裾に穴が空くのだ
タイミングと白い靄が
濁り酒の最後のように花を咲かせている
奇跡というトライアングルが
小さく音を鳴らすのだ
薄く伸ばしたプラスティックの音
バタバタと鳴り止ませない風
動くだけ動いて知らぬ顔をし
居なくなるのを待っている
舌の下で嘘を吐くなら
舌の上には何が残るのか
塩タレのかかった皿の上に
ネギと一緒に横たわるのだろう
臭みの取れた人間には
何も残らないようで
毒と力に洗脳された魅力には
敵わない部分があるものだ
それを乱暴と呼んで諌めるならば
戦わない自由を作り出してみたらどうか
そんな自由は無いことが
目の前でハッキリしているではないか
異常と片付けられた獣の話は
維持されてきたまともな人間の話だ
終わらないようで
時間がくれば勝手に終わるのである
あの痛みも、あの苦しみも
忘れた人間には関係が無い
受け取り手の居ない話しが
万華鏡のように散らばっている