表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この物語のオチは最悪です

作者: 2^3

 彼は一言で表すとダメ人間でした。何をやってもダメな人というものです。彼はコミュニケーション能力に問題があり、中学校で友達作りに失敗してしまいました。彼は学校が嫌いになりました。


「学校に行く理由がないから行かない。」


 彼はよく分からない理屈を親に言って、学校を休むようになりました。

 自宅ではゲームをします。しかし、彼はゲームも下手くそなので、すぐに辞めてしまいました。

 彼は本を読み始めました。本の世界は彼を魅了しました。中でも「異世界転生もの」は彼を大変元気づけることができました。


「僕だって、チート能力さえあれば……」


 彼はそんなことを口にしながら度々妄想の世界に浸ります。



 ある朝、彼は目を覚ますと周囲が何もない空間であることに気付きます。彼が呆けていると、突然少女が現れて、言いました。


「死んじゃったんだよ。君。」

「えっ。死んだ?」


 彼はまだ混乱しています。少女は説明します。


「うん。火事で燃えちゃったんだよ。本がたくさんあったから、すぐに燃えちゃった。」


 ああ、やっぱり僕はなにをやってもダメなんだ、と彼は自分が死んだことを実感します。少女は、彼が納得したことを確認すると


「君はこれからその体で異世界に転生するんだよ。ちなみに、何か欲しいものはある?」


 と、言いました。彼は、思わぬ展開に目を見開きます。


「僕は、チート能力が欲しい。」


 彼は、すぐに答えます。考えるより先に口が動いていました。

 それを聞いた少女は彼の頭に手を当てて、何やら呪文のようなものを唱え始めました。

 能力を与える儀式だろう、と彼は解釈して儀式が終わるのを待ちます。

 しばらくして、少女は呪文を唱え終わり、最後に


「じゃあ、いってらっしゃい!」


 と、言いました。その瞬間、彼は突然の眠気に襲われ、意識がだんだんと薄れていくのを感じました。



 彼が目を覚ますと、彼の周囲にみたことのない世界が広がります。

 七色に光る木々。緑色の空。赤色の湖。二足歩行する獣。

 彼は異世界に転生されました。

 想像していた世界と多少違いますが、それでも彼は異世界に来たことに喜び、これからの未来に期待して胸を膨らませます。


「まずは情報収集と、食糧だな。」


 と、彼はつぶやきます。なんだか頭がいつもより冴えている気がしました。

 彼は早速、行動に移そうとします。その瞬間でした。


 グサリ。


 どこからともなくやってきた矢が、背中から彼の心臓を貫きます。


「うっ……嘘……だ……」


 と、彼は血を吐きながら言います。

 彼の体から大量の血が流れます。心臓を貫かれた彼は、もはや身体を動かすことができません。

 一体なぜこんなことになったのだろうか。彼の脳は異常な速度でひとつの結論に辿り着きます。



チート能力が欲しい。

チート能力。

ちーとのうりょく。

"血"と"脳力"。



 彼は中学校の頃に言われた「早口すぎて聞き取れない。」という自身のコミュニケーション能力の最大の問題点を思い出します。今更思い出したところで、何も変わりません。後の祭りです。

 彼の脳はまだ活動を続けています。しかし、彼の脳力をもってしても、この状況を打破する策を導きだすことは不可能でした。

はい。駄洒落オチです。しょーもな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ