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2本立ての映画を観た恵たちは、混雑を避け最後の方に会場を出た。

そして、その足でグッズ売場を覗いてはみたが、恵は買わなかった。いや、買えなかったの方が正しい。


ハンカチ、ポーチ、文房具、キーホルダー、コスメと多種多様にあったが主張が強くて、どうしても手に出来なかった。


水色で、主人公の令嬢や、ガラスの靴がプリントされていて、映画でも力を入れていた蝶々もありステキだった。


恵にはステキ過ぎて買う勇気が無かった。

せめてガチャガチャでも無いかと探してみたが、数あるマシーンは他の映画の可愛らしいキャラクターで埋め尽くされていた。


今、使っているスマホケースにも一部にガラスの靴の刻印はある。が、ヌメ革と言われる牛革で深い青から青のグラデーションで染められている。表の右下に小さなガラスの靴もシルバーで彫刻されていて、ボタンで止めるタイプの手帳型だ。このケースに使用されている、アンティークのボタンは、メタルブラックで透かしの花が付いていて、これも気に入っていた。


知り合いに頼んでハンドメイドしてもらった一点モノで、やっと最近届いて使用していたお気に入りの1つだった。


このシリーズは大好きだが、あからさまにキャラクターが使用されているグッズを使うのは、おこがましくて避けていた。


不思議と昔から、可愛らしい小物を持ち歩けなかった。


一通りグッズを見た恵に『何か買わないの? 』と明さんに言われたが、『ピンと来ないので大丈夫です』と返した。


恵的にはパンフレットだけでも十分だった。


その後さすがに、いつもの流れで夜ご飯を食べる事は厳しかった。恵がお腹も気持ちもいっぱいだったからだ。


しかし、食べられる明さんに申し訳ないので、回っているお寿司屋さんに向かった。食べる量を調整できるのは有りがたい。


モールの2階にある県内、全国にも複数ある有名チェーン店もそこそこ混んでいて、テーブル席に予約した2人は少し館内を歩くことにした。


時間潰しと言えばとりあえずと、ゲームセンターに向かう。

さすがにこの時間のゲームセンターには、子供たちは少なかった。


映画館で頂いたクレーンゲームの無料券を使い、明さんがお菓子を取ってくれた。


黄色の丸い輪っかで、透明な袋でラッピングされて、突っ張った棒にぶら下がっていた国民的人気のキャラクター。しかもスティックタイプのチョコレート。


上に向かうボタンと左に向かうボタンを絶妙に動かし【ガタン】と下に落ちてきた。


明さんはかがんでチョコレートを取り出すと『はい。取れた』と恵に渡してきた。


恵は『え~すご~い~』と思わず拍手をしてしまった。


明さんは『偶然だよ』と言っていたけど、偶然でも取れないモノは、決して取れない。


「私……取れた事ない」


明さんに『こっちの初心者向けのをやってみる? 』と促され、恵はチャレンジする事にした。


機械の正面ガラスの上の方に、デカデカと【初心者向き】と書いてある。中には賞味期限が書いてある、小さめのチョコレートのお菓子が山のように積み上げられている。


アームと言われる部分が、細い3本の爪のようなタイプだった。


「やりたい」


恵は、お財布から小銭を数枚取ると機械の前に立つ。

大事に持っていたパンフレットを、明さんに預けて腕まくりし、謎の気合いを入れる。


コインを入れ機械のボタンが光りだした。

まずはアームが右に向かう方のボタンを押す。


(ん……この辺!)


次は奥に向かうボタンを押す。


(ここだ!)


お菓子の山、頂上をめがけて2つのボタンを順番に押すと、パカッとアームが開いた。そのまま、ジーッと降りてくる。


(お願い!1つでも良いから!)


恵は祈るようにアームの動きを見つめていた。

結果は、残念ながら1つも掴めなかった。


「やっぱり取れない……」

「とれとれって書いてあるのに~本当に~クックックッ……」

「ひどーい。悔しい」


まぁまぁと頭をポンとされ『お菓子は買った方が安い』と言われ、もう一回やりたかったが渋々諦めた。


「そろそろ戻ろうか」


と、明さんが腕時計を確認し、お寿司屋さんに戻る。

相変わらずお寿司屋さんは混んでいた。お店の会計と受付機械の間、その真上に予約の番号が記載してある画面を確認すると……


「次の次だね」


予約の紙を手に持ち、明さんと確認する。店内は待っている人でソファーが埋まっていた。


「もうすぐだし、このまま待ってようか」

「ですね」


2人は店内の端により、立って順番を待っていた。


待っている間に恵は、明さんに映画を観たいと話したか考えていた。


(公開日は先週だったけど、観たいなんて話したっけ? そもそも、私が好きなんて話したかな? )


博物館なら前売りを買ってても納得する。けど明さんは、映画も二人分の前売りを買っていた。しかも、あんなソファー席を。ピンポイントで、恵が観たい映画を。


恵が考え事をしている間に、順番が回ってきた。


「呼ばれたよ。行こうか」

「えっ。はい」



無事にお寿司を食べ終えて、恵たちは車に戻ってきた。

ちなみに恵も数皿食べれた。

大事にパンフレットを抱えて車に乗り込む。


(美味しかったし楽しかった~)


シートベルトを締めて、またニマニマとパンフレットの表紙を眺めていた。


「少し寄りたいとこあるんだけど、まだ時間大丈夫? 」



ありがとうございました。

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