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「昼ごはんを食べたら~映画を見に行きたいんだ。今日は先週の分も合わせて盛りだくさんなんだ」
と明さんは嬉しそうに話していた。
「映画館でポップコーンを食べたいからお昼は軽めにするよ」
と、サンドイッチのドライブスルーに入っていった。
「行きたい映画館がココからだと遠いんだ、行儀悪いけど時間勿体ないし移動しながら食べよう」
とお店お薦めのサンドイッチセットを2つ頼んでいた。
「飲み物どれがいい? 」
「ミルクティーで……」
「OK。ミルクティー2つ」
程なくして軽めとは言えないサンドイッチを受け取り、映画館へ向かった。
茶色の紙袋に入っていたお店お薦めのサンドイッチは2種類。
軽く焼いてある食パンに、レタス、トマト、チーズ、ハムが挟んであるのと、ど定番の玉子サンドだった。
車内にパンくずをこぼさないように慎重に食べる恵に反して、明さんはそんなの気にしないとばかりに食べていた。
「美味しい……」
「良かった。今度食べる時は、店内で落ち着いて食べよう」
そのまま20分くらい走って、郊外の大型のショッピングモールに着いた。そこは3階の半分を映画館でしめるほどの規模の所で、さすがに土曜日の午後は混んでいた。
3階に着き明さんは『待ってて』と恵に言い残し、すぐにチケット自動券売機に向かった。
(えっ? もう、観るの決めてたの? 相変わらず準備がいい)
恵は先程の博物館もこの映画もどうやら、今日のプランは前から決まっていたのだと納得する。
財布にチケットをしまった明さんが……
「入場案内は15時からだから、まだ時間に余裕はあるしお手洗いとか行こうか? 」
と、腕時計を確認しながらお手洗いの方向を示していた。
「そうですね」
と返事をしながらも、何を観るのかは聞けなかった。
恵たちは映画の時間までショッピングモールの中を歩いていた。さすがの土曜日という事もあり家族連れが多かった。
ゲームセンターやガチャガチャがたくさんある所など、時間を潰せる所に行ってみるが、店内に入る前に『やめよっか』と結局、グルっと歩いただけで映画館に戻ってきてしまった。
入館案内はまだ先のようで『こっちも混む前に食べたい物、買っちゃうか』と恵たちは、フードコートに来ている。
「さっきも思ってたんですが……ここのフード店舗、多くないですか? 」
「そうなんだよ。ここの映画館は多種多様なんだ~何食べたい? 」
「てっきりポップコーンと飲み物だけと思ってたので驚きました」
恵がざっと店舗を見ても、ポップコーンやポテトチップス的な食べ物からハンバーガー系のパン類。おにぎりやのり巻き系のいわゆるご飯もの。ドーナツやケーキ系のスィーツものと、各店舗ごとに分かれていた。ドリンクゾーンだけが、他の店舗の倍の広さをしめていた。
「さっきサンドイッチ食べたんだけど、実は米が食べたくて~のり巻き食べようかと思ってるんだ」
「なるほど美味しそうですね」
「じゃあ、一緒に食べる? 」
「ぃえ、今日は無理そうなので、次の機会にでも……」
恵は、先ほど食べたサンドイッチが、まだお腹の中で主張していて食べれそうにもなかった。
「そうか……」
「明さんの分は、買ってきていいですよ」
「いや、でも……」
見るからにシュンとした明さんを見て、恵は焦ってしまった。
「な、なら。一口食べたいので……買いましょう」
恵は慌てて明さんの腕を引っ張り、ご飯系が置いてある店舗まで急いだ。
「ど、どの、のり巻きにしますか? 」
のり巻きにも、カッパ、かんぴょう、マグロ、ツナ、納豆、梅とレパートリーは充実していた。
「カッパと納豆は、臭いと音で無しだから~梅とツナにしよう」
(ふ、2つ……)
明さんは6個入りの、のり巻きを1つずつ購入した。
(男の人の食欲スゴい……)
恵にも弟はいるが、そこまで食べているという印象はなかった。
「恵さんは? 何食べたい? 」
「そうですね……甘いものがいいです」
恵はスィーツ系の方を指差し……
「でも、そんなに食べられません」
「好きなモノ頼んでいいよ。俺が食べれるから」
(えっ。そうなの? )
「え~っと、なら……プチシュークリームが気になります……」
スィーツコーナーにも、マカロンやタルト、マドレーヌとラインナップが凄かった。
その中で恵が選んだのは、500円玉くらいのミニシュークリーム10個入りで、中のクリームはカスタードと生クリームの2種類入っていた。トッピングのソースにチョコとキャラメルがあったが、さすがに口には出せず遠慮した。
「よし、それを買おう」
と、明さんが動き出す。
「えっ。でも、残しちゃうかもしれませんし……」
恵が心配そうに伝えると『大丈夫、余裕だから』とプチシュークリームを購入していた。
「さてと……飲み物はどうする? 」
「お茶とかですよね……」
恵は、明さんの手に持っている食べ物を見て悩んでしまっていた。
(ご飯とシュークリームに合うのって……)
「俺はお茶にするから、好きなの飲んだら? 」
「えっ……では、お言葉に甘えてカフェモカを……」
明さんは『OK』と飲み物を買いに行ってしまった。
すでに両手は、食べ物で塞がっている。恵は明さんの後を追いかけた。
「私が持ちます」
「そうか、ありがと」
トレーに入れられた飲み物を、恵が受けとる。
一度、大きめのトレーを取りに戻る為に、フードコーナーにあるテーブルに置き、他にも何か気になるモノが無いか見ていた。
そうこうしている間に入場案内のアナウンスが鳴った。
ありがとうございました。




