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帰宅して、ベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。


「ふぅ~……」


1日長かったと溜め息が出た。


時計台を探し、マスターのお陰で過去に行けて、リューズに手伝ってもらいながらも彼らの未来を変えれた。


こっちに戻されて、すぐにお墓参りや食事……海に行って彼の動画を見て……


『結婚を前提に……』彼のお兄さんに包まれた。


ポフっと、枕に顔を埋める。


(あんな事、言われたの初めてで……どうしたらいいかわからなかった。けど、私は良い人ではない)


『……2人でいろいろ話そう。言わないと伝わらないから……』


何度も車内での記憶がよみがえり、恵は悶絶した。


お兄さんに頭を触られた事で、当時、彼が同じことをして話を聞いてくれた事、励ましてくれた事を思い出した。


(健くん……ごめん。お兄さんの事……自慢のお兄さんだもんね。私じゃ……ダメだね……)



鞄の中で、スマホから着信音が聞こえた。

恵はモゾモゾと鞄に手を伸ばし、手帳型のケースを開ける。


『ただいま。さっき帰宅した。今日は付き合ってくれてありがとう。また、連絡するよ』と彼のお兄さんだった。


(お返事……しないと……)


恵は『今日はお墓参りにお誘い頂き、お昼やお土産の蕎麦菓子も頂きありがとうございました。お母様とお父様にも宜しくお伝えください。送っていただきありがとうございました。』


しっかり、お礼を含めてのメッセージを返した。


(期間が定められているお友達だけど、年上だしキチンとしないと……)


直ぐにお兄さんからは『ゆっくり休んで。またね』と返信が届いた。


恵も『はい。ありがとうございました』と返信をしたが、どうしてもモゾモゾしていまう。


(明日、知恵熱でも出たらどうしよう……)





トントントン



「は、はい」

「起きてた? 何回か呼んだんだけど~ご飯、食べないなら先にお風呂入ったら? 」

「うん……そうする……」


(びっくりした……)


恵は、母親の声に全く気が付かなかった。


(……全然お腹もすかないし、早く寝よ……)


恵は、お昼のお蕎麦と果実水しか飲んでいないが、お腹はすいていなかった。





***



それからの2人は毎日のように連絡をとり、時間が許す限りお互いの事を尋ねた。彼のお兄さんは、仕事が忙しい日でも、メッセージは毎日欠かさず入れてくれた。


毎週末、土曜か日曜のどちらかは必ず2人で出掛けたりもした。


(どうしよう……楽しい)


恵はまた彼の時とは違った罪悪感に悩んでいた。


彼のお兄さんは、ステキな人だった。


(どうしたらいいのか分からない)


恵は悩んでいた。


(あんなにイイ人を騙しているみたいで……)


あの日の宣言通り、たくさんの話をして時間の許す限り遊びに行って、どんどん彼のお兄さんの誠実さに苦しくなる。


(私には勿体ない人)


恵は【お友達でお試し期間】に終わりが来ると思っていた。話していれば【ダメな女】と思われて……


けど現状維持に、恵の方がギブアップしそうだった。

彼のお兄さんがステキ過ぎて苦しかった。


(これ以上、彼のお兄さんを好きになるわけには……)


恵は、どうしていいか決めかねていた。


そんな事を知ってか知らずが、遊びのお誘いは減らなかった。



彼のお兄さん……明さんの仕事柄、建築物を見に行くことが多かった。恵は殆ど知識が無かったが、それでも楽しかった。


水族館の設計をした時には、展示物のガラスの厚みに、傾きを考えるのが楽しかったとか。展示室の防火扉の開き方、バックヤードからの通り道などを考えるのに苦労した話を直接現地で教えて貰った。


さすがに地方や病院、ビルなど簡単には入れない所は行かなかったが、子供のように嬉しそうに説明をしている明さんを見ているのは楽しかった。



***



事前に言われていた明さんと会えない週末。


クライアントとの打ち合わせで、どうしても調整が出来ないと話してくれて……


「なんとか向こうと直接会わなくても、解決出来ると思っていたんだけど……」

「お仕事ですから、仕方ないですよ」

「2週間会えないなんて、初めてだ」


恵は、まだ未練がましく『来週は会えないのか……仕事休もうかな……』とブツブツ話しながら、あからさまに落ち込む明さんをカワイイと思ってしまった。


「次にお会いできる日を楽しみにしてますね」


恵は、ふふふっと笑いそうになるのをこらえた。


「それじゃあ、再来週はいっぱい出掛けよう!楽しみがないと、クライアントにイヤミを言ってしまいそうだよ」

「それは……明さんには、出来ないですよね」


『買い被りすぎだ』と言われたけど、こんな紳士な人は言わないと断言できる。


「なら再来週さ、博物館に行かないかい? 」

「博物館? 」


明さんから市の博物館に行きたいと誘われた。どうやら古代エジプトの展示会をやっているらしい。

恵はあまり歴史が得意では無いが、特に抵抗もないので『はい。大丈夫です』とだけお返事した。






視点がコロコロと変わってすみません。

どうしても書きたくて……


やっと……恋愛小説になって来ました。

今後とも宜しくお願いします。


ありがとうございました。


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