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最低限しか関わらず、何も意見を述べなかった。

そんな変化を見てか、幾度と無く呼び出しに『大丈夫です』と断り続けていた恵に、江戸先生からの呼び出しも止まった。



2学期始業式の私の一方的な、彼への断罪の後は……


廊下でも、部活でも彼はいなかった。

あんなに一緒にいて、あんなに話し込んで、隣にいるのが当たり前になっていたのに……


2学期が始まり周りの人たちも気が付いて『あれ?和田野来てるよ? 恵たちって別れたの? 喧嘩した? 』とか『おや? 旦那と一緒じゃないのか? 』とか……


(いや、ですから……そもそも付き合って無いですけど……)


苦笑いで話をそらしていた姿にいたたまれなくなったのか、そのうち周りからも何も言われなくなっていった。


遠目で見掛けても他の部員の手前もあり、堂々と恵から声はかけられなかった。裏切るわけにはいかなかった。


クラスは隣だったけど、彼は登校していない日も多いようにも感じていた。


それでも、部活の予定は連絡をしていた。『知らなかったから行けなかった』なんて言われるのも嫌だったし。


返事は遅かったけど、一言やスタンプで返してくれてたし……



本当は、きちんと話したかった。

誤解なら言って欲しかった。


当たり障りの無いメッセージのみのやり取りだけが続いていた。


その後3年生になり、また彼と違うクラスだった事に安心した。

私は短大進学クラス、向こうは就職クラスだったので、選択授業も被らなかった。


そうして……指折り数えていた県総体の日。

誇れる結果は出せなかった。


1年生も奇跡的に初心者の男の子が一人だけ入部してくれて、恵たちが引退したら3人になる。

まだ、部が存続しているだけ有り難かった。


私は心置きなく引退した。


【もう二度と剣道なんかやらない】


そう心に決めて。



剣道部以外にも引退した運動部の人たちは、受験モードに切り替わっていた。


恵は、実家から通えるそこそこの短大を選択していたので焦りはなかったが、やっと部活のしがらみから解放されたお陰で気持ちは軽かった。


部活を引退した後は、彼への連絡も止めた。


そこに執着する意味は無かったから。


部活を引退すると不思議と部員とも集まらなくなった。

武道館でのお昼も行かないし、放課後も一緒に帰ったりもしない。


引退後バイトをする人、塾に行く人いろいろな過ごし方があったが、恵はバイトもせず真っ直ぐ帰宅していた。


やっぱり気心知れた地元で会う友達の方が楽しかった。


もう、高校に何も未練なんてなかった。

秋には進路も決まり、すぐにでも卒業したかった。

武道館も進路指導室にも行かずに済むし、先生たちとも会わずに済むなんて最高だった。


彼とはクラスも離れていたし、周りからも何も言われなかった。

その後の恵は、無事にこの高校を卒業して、短大生活を楽しむ事に気持ちを切り替えた。


高校の事は通過点だっただけで、大したこと無い……もう過ぎたこと終ったことと無意識に自分に言い聞かせて……。


高校と剣道用具一式を押し入れの奥にしまった。


もう二度と使うことは無いと嬉しかった。



ありがとうございました。

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