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知らない番号からの着信で、驚いたけど……

三浦からの突然の連絡に、懐かしさで暖かくなっていた。

本題は健くんの話で、いままで忘れていた自分と、そんな彼がナガクナイの言葉が信じられなかった。


健くんとは、あの日以来まともに話していないし、卒業以来会ってもいない。だから、今さらどんな顔で話したらいいのか分からなかった。


三浦は、お祖母ちゃんのお見舞いで病院に行った時に、病室のプレートを見て偶然気付いたらしく最初は他人だと思ったと。ただ珍しい名字だったこともあり、お見舞いの度に気にはなっていたらしい。『和田野とは珍しいから』と。


まさか、本人だとは思いもよらず……


何度目かのお見舞いの時、松葉杖に点滴姿で廊下を歩いていた彼に会って驚いたと。隣にはお母さんが付き添っていたから気付けたと。つばのある帽子を被り、松葉杖で視線も下を向いていた健くんだけなら分からなかったと。


小学校から一緒に過ごしていた三浦に、健くんのお母さんは容易だった。しかも、目があって軽く会釈をすれば……


高校生の時からの病状の事や、去年から再発しまったこと。

熱や検査、投与しても良くない数値から余命も宣告されている事。涙を浮かべながら気丈にも話してくれた和田野のお母さんは、もう覚悟を決めているかのように見えた……と。


その後、三浦も何度かお見舞いに行っていたが、当時の話をするたびに、どうしてもあの日の事を思い出してしまったと……


(私が……武道館で一方的に健くんを攻め立てた、あの日……)


恵も裏山で彼のお兄さんから聞いた。

もう、あの時は闘病中で長期の休みはバイトではなく入院していた事。学校には病気の事を報告していたが、私たち生徒には隠していたこと。


だからあの時、新しく赴任してきた顧問の齋藤先生が健くんのサボりを容認していたのだと。そんな事も知らず顧問に対する不信感と部員同志の苛立ちは辛かった。いろいろな人や状況がかさなり精神状態は最悪だった。


剣道部が崩壊寸前だと知った大内先輩が、手土産を持って叱咤激励をしにきた時は驚いた。弱小とはいえ伝統があった剣道部の存続を先輩たちに託されたが、正直苦しかった。


結局、恵のとった最終的な断罪……


『きっと、あの日がなかったら部長と和田野の関係は違っていたはずだから。気が付かず止められなかった俺の責任でもある……ごめん』


三浦からの謝罪に、部長なのに判断ミスをしたのは恵だから、自分の責任だった。


三浦と彼は、高校卒業後に成人式で会っていて、その時に話した時は元気そうで病気とは分からなかったらしい。


あの日の電話と、お見舞いに行った最初の日にも当時の事を話して貰ったが、何もかも信じられなかった。



彼は何一つ悪くなかったのだから…





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