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星からおちたこども  作者: あるぱかぱかす
2/13

2 ひろったものは


 おさんぽのときのどうぐをいろいろいれているリュックサックにセナはそっとこどもをいれて、ママに見つからないように玄関をしずかにあけた。


 いつもならまずはモカの足をふいて、ねんいりにブラッシングし、お水をあげる。でも、今日はまず先に、このリュックサックのなかみをこども部屋まではこばなければならない。

 ママにはなんとなくしられてはいけないような気がしたからだ。

 というのも、まえにねこの子をひろってきたときに「もどしてきなさい」とおこられたことがあったからだ。


「うちにはモカがいるのよ。ねこなんて飼えるわけがないでしょう? けんかをしてしまったら、モカがかわいそうでしょう?」


 セナが強情ごうじょうにくびをふると、あきらめて獣医じゅういさんのところにつれていってしまった。

 動物病院にくる人たちに引きとり手がいないか、さがしてもらうためだった。

 セナはモカのこともだいすきだったが、ねこのこともとってもすきだったから、ほんとうにざんねんでかなしいきもちになった。

 

 セナはなんでもかんでもひろってしまう子だった。

 いきものはとにかくなんでもすきだった。

 セミ、バッタ、カブトムシ、スズムシにいもむし、みのむし。

 ヘビやトカゲ、イモリにヤモリ、川にいたおさかな、田んぼにいたゲンゴロウ。


 とにかくありとあらゆるいきているものをひろってきてしまうような子で、虫もはちゅうるいもおさかなもあまりすきじゃないママはいつも悲鳴ひめいをあげて、それらのこたちを家に入れるのはいやがった。


(こんども、おこられるかもしれない)


 セナはそう思って、ママにないしょで赤いふくのこどもを部屋にはこびいれることにしたのだ。


 赤いふくのこどもはまるでフェルトでできたボールのようにふわりとやわらかくて羽のようにかるかった。リュックサックはまるくふくらんだけれど、おもくはない。


 それをせおって、かいだんをあがる。

 五だんめをのぼったところで、気づいたママがセナにこえをかけた。


「セナ? 帰ったの? なんだかモカがすごくほえていたみたいだけど、どうしたの?」

「な、なんでもないよ!」


 ママはかいだんの下まできて、セナをこまったように見上げていた。


「モカの世話はしたの? お水はちゃんとやった?」

「こ、これから! すぐにやるね!」


 あわててかいだんをかけあがり、部屋にリュックサックをほうりこむと、セナはきっちりドアをしめて、かいだんをかけおり、いつものとおり、モカの世話をした。


 そのとちゅうも、二階の赤いふくのこどものことが気になり、うわのそらになってしまう。ブラッシングの毛がひっかかり、モカが「キャン」とこうぎのこえをあげた。


「ごめんね、モカ」


 モカもなんだか二階のことが気になるようだ。

 モカに「またいえにへんなもの、いれたな?」といわれている気がした。


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