プロローグ エンディング
魔法があり、魔王や勇者が存在する世界。
これは、誰も知らない勇者の話。
とある村の冒険者協会の入口にワタルと言う少年が立っていた。
「ついに...ついにこの日が来た!」
「朝っぱらからテンション高すぎだぞ。」
振り向くとそこには我が友マサトがいた。
ワタル「やあやあこれはこれはマサト殿じゃないですか。」
マサト「なんだよその口調。」
ワタル「ついに今日だぞ冒険者になれるのは!テンション上がらないのか?低いぞテンション。」
マサト「お前が高すぎるんだよ。」
そう、今日は念願の冒険者になれる日だ。条件は12歳以上、4級から1級まであり、位が高くなるほど冒険できる場所が増える仕組みだ。
ワタル「まさに始まりの地として最適な場所だよな!こっから俺の伝説が始まるって考えるとワクワクするんだよ!」
マサト「妄想激しすぎだろ...ていうかまだ俺たちがなる4級は安全な所しか行けないからな。」
ワタル「分かってるって!3級になるには試験だろ?まずはどっちが先に受かるか競争しよーぜ!」
マサト「そうだな、まずは冒険者登録手続きをしなければな。」
そんなこんなで手続きを済ませた帰り道
ワタル「疲れたー、手続き長くなーい?」
マサト「これで疲れるなら冒険者向いてないぞ。」
ワタル「それより今から魔法の練習しない?ちょっと魔法使いにあこがれてたんだよねー。」
マサト「準備してからね。」
ワタル「りょーかい。」
そして家に帰り
ワタル「ただいまー。」
家の中には昼食を作っているお母さんがいた。
母「おかえり、冒険者になった感想は?」
ワタル「サイコー、とりあえず今から出かけてくる。」
母「暗くならないうちに帰りなさいよ。」
ワタル「はーい。」
昼食を食べて準備してから家を出て待ち合わせの場所に行った。
ワタル「やっほーさっきぶり。ちゃんと魔法の教科書持ってきたよー。」
マサト「よし、今からさっそく魔法の特訓だ!」
魔法は冒険者と同じく12歳から許可されて、風魔法、土魔法、火魔法、水魔法が一般的な物だ。12歳からなのは、基本的にそれぐらいの年齢にならないと使えないのと、もし使えたとしても脳に大きな負荷がかかるため、怪我をしてしまう恐れがあるからだ。マサトは誕生日が早く、先に魔法を覚えている。
マサト「最初は安全な水魔法からだ。手の近くから水を出すようにイメージしてみて。」
ワタル「うーん..こうか?」
その通りにやってみたものの、出てこない。
マサト「じゃあ体から絞り出すような感じでやってみて。」
マサトの言う通りにやってみると「バシャ!」という音と共に手が濡れた。
ワタル「うおお、これ出たけど失敗した感じ?」
マサト「座標を設定してないからそのまま出たのかな?」
ワタル「なるほどよく分からん。」
マサト「なんて言うか、水を出す地点に気を集める感じ。」
やってみると今度はちゃんと水の球が出来た。
ワタル「やった!出来た!ってアレ?崩れた...。」
マサト「魔法はイメージだから慣れない内は気が散るとすぐに失敗してしまうんだよ、イメージが強いほど威力やコントロールが上がる、だからコツを掴めばすぐに上達するし逆にずっと下手なまま、なんなら一生魔法を使えないままの人だっているんだ、そう考えるとワタルは上手なほうだから魔法の才能があると思うだから魔法の勉強すればすごい魔法使いになれると思うよ。」
ワタル「へーそうなんだー。」
言っていなかったがマサトは魔法男(あだ名)だ。
それから3時間ほどして一般的な魔法を覚えた。魔法にはメジャーな名前のファイア、ウォーター、ソウル、ウィンドと名付けた。
くたくたになりながら家に帰ると、数日ぶりに仕事から帰ったお父さんがいた。お父さんの仕事は冒険者。冒険者の仕事は基本的に地域の状況・安全確認だが、何でも屋みたいな感じで色々な依頼がくる。自由に冒険したい人もいる為、仕事をするかしないかは自由になっている。ちなみにお父さんはめっちゃ強い。
父「おかえり。」
ワタル「ただいまー。」
父「随分と疲れた顔してるじゃねぇか、主役が寝てしまったら困るぞ。」
ワタル「あ、そっか。」
そう、今日は俺の誕生日なのだ。
父「今日のために仕事の予定合わせてきたからな、誕生日ケーキ買ってきたぞ。」
ワタル「やったー!」
父「あと、お前にプレゼントだ!」
そう言うとそこそこ大きな箱を渡してきた。
ワタル「これは?」
父「冒険者の一式の道具だ、必要だろ?持っていけ。」
ワタル「やったー!ありがとう!」
今日の夕食はとても豪華だった。
夕食後、風呂に入り布団に入った。
(今日はとても良い1日だった。冒険者になり、魔法を覚え、誕生日パーティーもした。もしかしたら今日が一番な今日かもしれない。明日は冒険初日、どんな出会いがあるんだろう。そして大きくなって、誰も行ったことがない所を探検したいなぁ。)
そう思って眠りについた。
目が覚めた、今日も気持ちよく寝れた。今日は晴れ、窓を開けると眩しい太陽、絶好の冒険日和だ。体をほぐしながらリビングに向うとお母さんがいた。お父さんはすでに仕事に行っているだろう。
母「ワタルおはよ。」
ワタル「おはよー。」
外の井戸の水で顔を洗い、席に着くちょうどぐらいにお母さんが朝ごはんを作ってくれる。これをほぼ毎日やっている。自分で作ることはあまりないため、料理を作ることはできるがちょっと自信がない、レシピを見ながら作るレベルだ。
ワタル「今日は町に行ってみる。」
母「遅くならない内に帰ってきなさいよ。夜は危ないからね。」
ワタル「はーい。」
少し準備してマサトと森の入口に行った。
ワタル「今日は森から入ってマルル町に行くんだっけ?」
マサト「そう、いつもだったら迂回して森を避けて半日かけて行ってるんだけど、冒険者になったらから森から最短ルートで行けるようになるんだ。単純に北に行けばいいから初めて冒険するにはちょうど良いと思って。」
ワタル「まあ確かに迷ったらコンパス使えばいいからねー。」
そうは言ってはいたがいざ森に入ってみると辺り全部が木だらけで早速迷いそうな感じだった。
ワタル「すげー木しかなーい。こーいう所って遺跡とかありそうだよね。」
マサト「ここら辺は開拓されてるからそうゆうのないって分かってるけどね。」
ワタル「現実って残酷だなぁ。」
話ながら森を歩いてると一匹の魔物が出てきた。
ワタル「あっスライムだ!初めて見た!」
マサト「スライムって確か凶暴性はないけどなんでも食べるんだっけ?魔法に弱いからいい試し打ちになるんじゃない?」
ワタル「ついに魔法の出番か!よーしぶっ放すぜ!ファイア!」
そう言うと火の球が出てきてスライム目掛けて飛んでいった。見事に命中、スライムは蒸発した!
ワタル「なんか思ってたよりあっけない。」
マサト「スライムは弱いからね..水に近い性質らしいしそんなもんだよ。」
ワタル「えーつまんなーい、もっと強いのと戦いたーい。」
マサト「そんな好戦的じゃ早死にするぞ。」
ワタル「それは分かってるけどなんかこう、自分の実力を発揮したいっていうか...。」
マサト「じゃあ俺と戦うか?」
ワタル「えっいいのか?」
マサト「うん。」
マサトがそう言った瞬間急に足が動かなくなった。驚いて足元を見ると根が絡みついていた。
ワタル「なんだこれ?!」
問いかけるようにマサトを見ると顔に水の球が飛んできた。それに対応できず「バシャ!」という音と共に顔が濡れた。
マサト「はい俺の勝ち〜。」
ワタル「ずるい!不意打ちだそ!」
マサト「いつ命を狙われるか分からないんだぞ?そういう現実に則ったルールですぅ〜。」
ワタル「現実は現実、勝負は勝負、正々堂々戦わないといけないんだぞ!」
マサト「そんなんじゃ冒険者向いてないぞ、ほら帰った帰った〜。」
ワタル「うぅ...」
そう言ってマサトが拘束が解いた瞬間俺はマサト目掛けて走った。マサトは一瞬驚いたがすぐにまた拘束しようと地面から根を出してきた。だがそれは想定済み、ジャンプしたりジグザグ走りしてマサトに近づき、寸止めパンチをくらわせた。
ワタル「勝ち逃げはさせないぞ。これで一勝一敗だな!」
マサト「くそぉ!負けてしまった...。」
勝負は引き分けに終わった。昼食の弁当を食べて少し歩くと森を突破した。
ワタル「やっと出た!特に何もなかったなぁ。」
マサト「俺的には何も無い方がいいと思うな。」
ワタル「あ、あれじゃない?」
遠くに門番があるのが見えた、恐らくあれがマルル町だろう。門番の番人に冒険者証明書を見せて中に入った。
ワタル「やっぱりいつ見ても家だらけですげぇなぁ。」
マサト「まあ確かに俺たちが住む所は田舎だから新鮮味があるよな。」
ここを目的地とした理由はとりあえず冒険するのに必要な道具を揃える為だ。お父さんから貰った一式の道具はナイフ、バッグ、水筒の超基本的な物のみだ。常日頃お母さんから無駄使いしてはいけないと強く言われてる影響かもしれない。
マサト「お前のお母さん、お父さんにだけ厳しいよな。」
ワタル「そうなんだよ..それが原因の喧嘩もたまにあるし、だから仕事で帰ってこない日があるって思うようになっちゃった。」
将来パパになったらお父さんみたいにはならないと心に誓った。尊敬はしてるけど。
道具を買った後、時間があったので町を見て回っていると怪しげな店を見つけた。
ワタル「占い...なんだそれ。」
マサト「預言者みたいな感じ。」
ワタル「なるほど、帰るか。俺的信用できないランキングトップ3に入るレベルだから。」
占い師「当たるよ。」
マサト「うわ怖!帰ろ。」
占い師「本当に当たるよ。特別に初回は無料にしてあげる。」
ワタル「本当に!じゃあやろう!」
マサト「大丈夫?何処かに連れていかれない?」
占い師「大丈夫。その代わり当たったら2回目も来てね。」
マサト「信用できるのかできないのか分かんねぇ...」
結局占いをやることになってまずはマサトから占ってもらうことになった。怪しい所に一人ずつ入るものらしい。
占い師「うーん...ハイッッッ!!!すぅぅぅふぅぅぅ」
マサト「なんか疲れてない?」
占い師「はい結果でましたよー。貴方は将来後悔するでしょう。」
マサト「結構サッパリと言うんだな。で、どんな後悔するんだ?」
占い師「それは知らない。」
マサト「やっぱり怪しいな、とっ捕まえようか?」
占い師「小さな後悔かもしれないし大きな後悔かもしれない。例えば今日買ったものを後で買わなければよかったっていう後悔かもしれないし、逆に自分の選択で誰かが死んでしまった後悔かもしれない。」
マサト「やけにリアルだな...。」
占い師「未来を教える仕事ですから。」
外で少し待ってるとマサトがでてきた。
ワタル「どうだった?」
マサト「将来後悔するって。それ以上なにも分からないらしい。」
ワタル「やっぱり嘘言ってんのかな?」
マサト「いや、なんか妙に真実ぽかった。」
ワタル「そうか、なら安心だな!」
そう言って俺は占い師の所に行った。入ってみるとなかなかに雰囲気が漂っていて少し緊張した。
占い師「ようこそ。早速貴方を占ってみます。」
ワタル「宜しくお願いします。」
占い師「うーん.......?」
ワタル「...?どうかしたんですか?」
占い師「うーん..ちょっと時間かかっちゃいます。」
ワタル「え?」
そう言って15分たった。なんか占い師が疲れてるように見える。
ワタル「あのー...かかり過ぎなんですけどあと大丈夫ですか?」
占い師「ふぅ。結果が分かりました。その前にちょっと休憩させもらっても宜しいですか?」
ワタル「あ、うんいいですけど...。」
(正直ちょっと不安だなぁ。)
占い師「はいありがとうございました結果を言います。貴方は将来死ぬでしょう。」
ワタル「...は?え?マジ?」
占い師「マジです。と言ってもただの老衰かもしれないですし逆に普通に殺されるかもしれません。まあ用心しておくには越したことはないですけど。」
(嫌な結果だな。まずこの鑑定結果が出る時点で老衰とかありえないよな。それにマサトが信用できる占いと言っているから信憑性も高い。)
ワタル「...ありがとうございました。」
外に出た。
マサト「どうだった?」
ワタル「やばい、俺死ぬって。」
マサト「本当に?」
ワタル「本当だ。と言ってもなぁ占いで言われても普通に嘘と思ってしまう。でも用心はする。」
マサト「...そうだな。今日は安全な迂回コースから帰るか。夜になるけどそっちの方が安全そうだ。」
ワタル「あーあ、お母さんに怒られちゃう。早く帰ろうぜ。」
すぐに家に帰る準備をした。
占い師は二人が帰って行くのを見ていた。
(一人の方はすぐに見えたがもう一人は見えづらかった。一体どういう人生を歩いていくんだろう...知りたい。もっとしっかりやれば分かるのか?)
占い師はそう思ったが、深追いはしなかった。
二人は町を出て帰路に着いた。
ワタル「はぁー。あの占い師のせいで頭がいっぱいになっちゃった。もう一回やれば詳しく分かるのかな?」
マサト「次からは有料だろ?泊まる金もないのに高額な請求されたら困るだろ?」
ワタル「金貯めないといけないかぁ...。」
そんななんでもない話をしていると突如頭に衝撃が走った。
ワタル「なんか頭がクラクラする。」
マサト「なんだ?疲れたのか?もしかしたら占いが当たって死んだらして。」
ワタル「ハハッ、それだったらどうしようもないっ!た!うぅ...」
マサト「どうした?本当に大丈夫か?!一度町に戻るか?」
ワタル(頭が痛い、クラッシュしそうだ。何かに当たった?いや、物理的な感覚じゃなかった。なんなんだ?あれ?体に力がはいらないやばいやばいほんとにしぬかもしれな
そこで意識が途絶えた。
ワタル「あれ?ここは?」
目が覚めた。見知らぬ天井。どうやら生きていたらしい。(ここは?意識は一瞬で戻ったけど本当は何日か経っているのか?体調は?万全だ。...情報が足りない。取り敢えず人がくるまで待つか...。)
待つこと1時間、マサトが来た。
マサト「ワタル!!体調は大丈夫か?」
ワタル「大丈夫だ、ここは?」
マサト「ここはマルル町の治療室だ、あれから二日経っている。」
ワタル「二日も寝てたのか。すまん世話かけたな。」
マサト「大丈夫そうだな...それより村がやばいかもしれない。」
ワタル「え?何で?」
マサト「外を見てみろ。」
マサトに言われた通りに外を見てみた。空が黒い雲に覆われていた。
マサト「さっきからあんな感じになったんだ、黒い雲は不吉の象徴、それも南からだ。」
ワタル「南から...!そこには俺たちの故郷があるじゃねーか!」
マサト「ああ、だから危ないって言ったんだ、ただ、不吉って言うだけだから、なんともないかもしれんが...。取り敢えずどうする?帰るか?」
ワタル「...故郷には家族がいる...心配だよ、俺は帰ってみる。」
マサト「わかった。」
急いで森から最短ルートで帰っていった。
森の途中、魔物の姿が多く見えた。
ワタル「魔物が活発になってる...。」
マサト「村から森まで距離は近かったはず...まずいかも。どうする?引き返すなら今の内だぞ?」
ワタル「村のみんなを見殺しにして生きてられないよ!それでも進む!」
マサト「まあそうだと思った!」
走っていたらあっというまに森を抜けた
マサト「あともう少しで村が見えるはず!」
嫌な予感を覚えながら、なんともないことを期待しながら。
ワタル「見えた!ほらやっぱり問題な...あ...」
マサト「マジかよ...」
村が燃えていた、全部、燃えていた。
ワタル「何で?何で村が燃えてるの?何があったの?」
マサト「...」
血痕があちらこちらにある。だが、死体は見えない。
お母さんは大丈夫なのか?お父さんもそこにいたのか?村のみんなは?
誰かいないのか、誰か生きている人はいるのか。辺りを見回した、すると人が一人見えた。
ワタル「あっ誰かいた!あの人に聞いてみよう!何か知っているかもしれない!」
近寄ろうとしたが、マサトに止められた。
マサト「だめだ、逃げよう。」
ワタル「え?」
マサト「恐らくそいつは敵だ!ここにいちゃまずい今すぐ逃げよう!」
そう言われてその人?をよく見た。口には血が付いている。人を食べているのか?
ワタル「あ...人を食べちゃだめだよ...」
マサト「早く逃げるぞ!」
その瞬間周囲から何者かが一斉に襲いかかってきた。
マサトはワタルの手を引っ張って村から脱出しようとした。しかし、人みたいな者は素早く、すぐに包囲された。こちらに近づいてくる。
ワタル「俺達..ここで死ぬの?...おかしいよ...こんなの...きっとこれは夢だ!夢に違いない!ほら、こんなこと起こるはずないよ!」
マサト「ちっ、森に隠れて逃げるぞ!」
ワタル「大丈夫だよ!きっとほら...多分優しい大人たちが駆けつけてくれたんだよ...きっと...そうに違いない....」
人みたいな者がこちらに向かってくる。思考は恐怖で支配され、指示に従うしかなかった。森の入口まで走った、ちゃんと走れたのかどうかも怪しい。しかし、森へ入った瞬間、何かに足を斬られた、いや、食われたのだ。
ワタル「ああ、あああああ」
マサト「ワタル!」
森の中には魔物の大群がいた。
ゆっくりと人間、らしき者も近づいてくる。マサトが助けようと寄ってくる。だが実力も数も負けている。もうどうしようもない。
ワタル「痛い、痛いよ、全部痛い、村には家族も友達もいたのに、全部燃えちゃった、体も心も壊れちゃった。まだなにもしてないのに、始まったばっかりなのに、もう終わるの?死にたくない..死にたくないよ。」
500年4月1日 ワタル 死亡
その日、魔王軍が誕生した日になった。
500年4月1日 カケル 誕生
初めまして!作者です!
唐突に小説を書きたいと思って書いた一般人です!
小説の書き方について全く知らないので教えて下さると助かります。
それでも、出来るだけ設定を基準にリアルに書いていこうと思います。
今後とも宜しくお願いします。