救出
フィーミアの瞳から輝きが消え、シャットダウンした。
苦しそうに息をしながらもヨハネは命じる。
「ヘレン……フィーミアを回収。止血剤も……頼む」
「かしこまりました」
ヘレンの応答と共に二メートル近いロボットが現れ、フィーミアを運んでいこうとする。ローラはロボットのアームに掴まって「離しなさいよ!」としがみつく。邪魔だとでもいうようにロボットのアームが動き、ローラは宙に放り投げられた。
あぁ!
投げられた浮遊感と落下の恐怖にローラは目を強く閉じた。
次の瞬間、ローラの体は温もりに包まれる。
「遅くなってごめんね」
しっかりとローラを受け止めたフランシスが言う。
「ヘレン!なぜ、侵入を許した?」
応答しないヘレンに代わり、フランシスが答える。
「フィーミアがただ囚われていたとでも思ったか?システムにハッキングさせたんだよ」
舌打ちしたヨハネめがけ、同じく侵入したアランが剣を振り下ろすが、ウォーレンが三又槍で辛うじて防ぐ。
「くそっ」
そう言いながら、止血剤を飲むヨハネにアランは言う。
「お前だけは絶対に逃がさない」
三又槍を真っ二つにしたアランは、ウォーレンを切りつけた。すぐにヨハネに剣を向けるが、ヨハネの背後から現れた数十体の戦闘マシンに銃撃される。アランの肩から血が流れた。
「ヨハネにウォーレン、ひどい有様で笑えるよ。さっさと脱出するよ」
パワードスーツを着て手にマシンガンを装着したジェスターが言う。
「待て……ローランを!」
「あんた死ぬよ?生憎、無事に帰還させるよう団長から命令されてるんで」
そう言うとジェスターは左腕でヨハネを抱きかかえ、マシンガンをぶっ放す。
「そうはさせるか」
追いかけようとしたアランの行く手を戦闘マシンが阻む。
「アラン、さすがに自殺行為だ」
月華がマシンから奪った銃を連射しながら言う。
「あいつだけは赦せません!」
アランは助走をつけると戦闘マシンの頭を何度か踏み越え、ヨハネの後を追う。
「ったく!フランシス、ローランを頼んだ」
そう言った月華も軽々と群がるマシンを飛び越えて行ってしまった。
ローラはアランの姿を見た時は喜びに震えたが、明らかにアランとは違う話し方や、武人のような体格と王者のような風格を見て悟る。
あれはアランであってアランではない。分かってはいたが、認めたくなかった。
「ローラン、行くよ!バリアがあるとはいえ、この数を一人で相手するのはきつい」
フランシスの声にローラは頷く。
「でもアランが!」
銃弾を背中で受けたフランシスは痛みに呻く。
「バリアがあるけど、衝撃までは防げない。とりあえず安全な所まで行こう」
フランシスはローラの手を取り走り出す。一度、ローラは振り返ったが攻めてくる戦闘マシンしか見えなかった。




