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俺と妻の非日常

作者: 一ノ瀬 葵

ここ最近の毎日は、本当につまらなくて、ショッピングモールも空いてない。

本屋も空いてない。

飲み屋も空いてない。


仕方がないと思っていても、まだかな、まだかな、もう良くない?なんて思考に至ってしまうのだ。


いつになったらこの地獄の日々が続くのか、考えてみたって誰にも分かりはしない。


でも、在宅勤務になった俺にとってつまらないと嘆きながらも好きなアニメを見て過ごせるという天国の日々でもあった。


そもそも在宅勤務が出来るのであれば無理して、会社に行く必要なんてなかったのでは?と考える人は少なくないと思う。


ただ毎日行くことに意味がある仕事をしている人もいると考えると難しいものである。

毎日顔を合わせてやってこそ仕事なのだという職業の人もいるだろう。


俺が毎日家にいることで、妻との喧嘩が増えてきた気がするのも確かなのだ。


「家にいるなら少しは家事手伝ったら?」


ほら、また嫌味を言ってきた。

これでも俺は仕事をしているんだぞ。


「あのな、別に休んでるわけじゃないんだぞ」

「何言ってるのよ、さっきから動画配信見てるくせに」

「休憩中だ」

「はいはい、そうですか」


妻とくだらないやりとりが増えて、楽しいことも多かった。

一緒に過ごせることもある。


ただ休みでもないのに、家にいると休んでいるという感覚に陥ってしまうため何も動く気にならない典型的なダメ男だった。

それも分かってる。


「あんたなんか焼いて骸骨にしてやるんだから」

「はぁ?何を言ってるんだ?」

「毎日毎日家にいても何もしてくれないじゃない。私だって家で仕事しているのよ」

「ごめん。頑張って手伝うようにするから」


そんな風に毎日、怒って怒られの日々が続いていく。


そう考えると家に毎日いることが良いことばかりじゃないと思ってしまう。

朝と夜、少し会うくらいでちょうどいいのかな、なんて言ったらまた怒られるな。


「何すればいい?」

少し戸惑いながら聞くとすぐに妻は答えた。

「もし、やることが分からないなら最初から聞いてくれたらいいのに」

「今度からそうする」

特にやる気がなかったなんて、口が裂けても言えない。

「じゃあ洗い物しといてもらってもいい?」

「了解しました」

「仕事みたいに言わないでくれる?」

「家事も仕事だろ」

「はいはい。じゃあお願いしますよ」


俺の屁理屈をいつも流す妻は呆れながら言うことが多いけれど、今日は少し嬉しそうだった。



いつ終わるか分からないこの日々を楽しむなんて出来ないけれど、もう少し妻の気持ちに寄り添って過ごせたらきっともっと強い夫婦になると信じて今日も家で仕事をする。


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