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テンセーズ 〜転生しても記憶無いなら意味ないじゃん〜  作者: 豆腐メンタルの上に立つしそ
第零章 異世界へ
1/8

異世界に転生するも記憶無し。

「やあ、目は覚めたかい?」


目を開けると、前には意地悪い笑みを浮かべた中性的な人(?)が立っていた。神さまだ。


「ああ、またここですか。」


「うん、そうだね。またここだね。」


「と言うことは……僕は……」


「うん、そうだよ。死んだんだよ。」


「そうですか。」


別に死んだからといって悲しい訳でもない。もう既に一回死んだことがあるからだ。

今、僕と神さまが話しているこの場所は確か……


「私の部屋だよ。何度見ても凄いだろう? どこを見ても終わりが無い真っ白な部屋さ。」


「……はあ、神さま。何回も言ってるでしょう? 心の声を覗かないでくださいって。」


「あははは、そうだったね。ごめんごめん、つい癖でさ。」


「まあ、良いですけど。」


「それより私は君の事をなんて呼べば良いんだい? 前の人生の時かい?それとも

その前の人生の時かい?」


神さまは人差し指を立てて僕にそう聞いてきた。


「出来たら前の名前が良いです。前の前の人生に良い思い出は無いんで……。」


前の前の人生での僕は17歳で死んだ。名前に思い入れもあったもんじゃない。


「そうかい、わかったよ。じゃあリンマ君。」


「はい、なんですか?」


神さまは僕の要望通り前の人生での名前で呼んでくれた。

神さまの顔はいつも不真面目な感じに見えるが本当は優しい人なのだ。


「リンマ君、君はこれからどうしたい? もう一度転生でもするかい?」


「いや、もう転生は充分ですよ、もう人生に思い残す事は無いですから。」


たしかに、もう一度転生するという神さまの提案は魅力的ではあるのだが、さすがに疲れた。転生は一人一回や二回で充分なのだ。


「そうかい、リンマ君はもう転生したくないのか。」


「はい、もう転生はしたくありません。でも、前の人生で置いてきた物達は少し気になりますね。」


「ああ、あれらの事か、そうだね確かにリンマ君は気になるよね。……うーん、なら君の人生を一旦見返してみようか、僕とリンマ君で。その後、これからについて考えても遅くはないだろう。」


そう言って神さまは指をパチンと鳴らした。

すると何も無かった空間から白いテーブルと椅子が出てきた。


「ほらリンマ君、座って。」


神さまと僕はテーブルを挟んで向かい合う形で椅子に座った。神さまが白いテーブルに人差し指を付けると、テーブルの表面は水のようになり円を描いた。


「ほら、リンマ君も覗いて。君の為に用意したんだから。」


テーブルの表面を見るとそこには映像のようなものが見えた。


「この映像は何ですか?」


「これは君と僕が初めて会った時の映像だよ。僕ぐらいの神さまとなれば過去を覗く事なんて朝飯前なのさ。」


「はあ……そうなんですか。」


神さまの自慢げな顔が妙にムカつく。まあ、テーブルの表面を水のようにし、僕の過去を映す事は確かに凄いのだが……


「だろ? リンマ君もやっぱり凄いと思ってるんじゃないか。」


「だから勝手に心の声を覗かないで下さい!」


「あははは、そうだったね、ごめんごめん。あ、リンマ君、余所見をしない! ちゃんと見なさい。」


神さまに言われ仕方なく僕はテーブルを見た。

ああ、だんだん思い出してきた。そうだ確か僕は……


------------------------------------------------

「目は覚めたかい?」


「うわ!」


目を開けるとそこには意地悪そうな笑みを浮かべた中性的な人がいた。

だ、誰だ? いや、それよりここはどこだ?なんで僕はこんな所にいるんだ!?


「いや〜、そんなに警戒しないでよ。別に取って食ったりなんかしないからさ。」


「そんな事言われても……お前は誰? ここはどこ? なんで僕はここにいるの?」


「ははは、一気に質問しないでくれよ。じゃあ、一個目の質問から答えると僕は神さまだよ。」


は? なんだコイツ。一個目の質問から嘘?


「嘘じゃないってば。」


「うわっ、僕の心を読んだ……?」


「だから言っただろ。僕は神さまなんだって。はい、次の質問の答えはここは僕の部屋。で、最後の質問の答えは君が死んだから。」


ちょ、いきなりそんな沢山言われても……最後の質問って事は僕がここにいる理由だよな。その答えは僕が死んだから?


「え、いや……なんで?」


「覚えてないのかい? 君が死ぬ直前の事を。」


僕が死ぬ直前? え……


「ああ! そうだ! 僕は車に轢かれて死んだんだ!」


「やっと思い出したかい。そう、君の言う通り君は車に轢かれて死んだんだよ。あの時君がボーッとしてなかったらね……私は悲しいよ君が17歳という若さで死んだ事が。」


そう言って神さまはわざとらしく瞳から涙を流した。


「で、だ! 君はもう既に死んでしまったが私の力で転生する事が出来る!」


何か詐欺の手法みたいだな。絶対に裏とかあるだろ。でも、


「転生ですか……悪くないかも。」


正直言って悪くない。高校も卒業しないで人生終わるのは嫌だし、記憶を持ったままならそれはそれで面白そうだ。


「だよね! 君は転生したいよね!おーし、じゃあ準備するから待っててね。」


そう言って神さまの右手の人差し指が光り、いきなり目の前に井戸のようなものが現れた。


「君が今から転生するのは、魔王カルテットが世界の約半分を支配する世界。そこで君は十二人の魔女が支配する大陸に生まれる。」


え、ちょ、ちょっと待って……え? 日本じゃないの?


「あー、そうそう、転生した君には一つ特別な能力があるはずだから楽しみにしててね。」


「ちょっと! 神さま!? 僕は日本で赤ん坊として生まれるんじゃないですか?」


「んな訳ないだろ? そんな事して私になんの楽しみがあるんだ。高校生だった君が記憶を持ったまま違う世界に転生するから面白いんだろう? ほら、分かったらさっさと行く!」


神さまは僕の背中を押して井戸の中に入れようとしてくる。


「いや、日本じゃないなら転生はしません! 」


「そんな事言ったてもう準備しちゃったんだから。つべこべ言わない。」


井戸の中は真っ暗で底が見えない。嘘だろ?異世界で暮らして行くなんて絶対嫌だ。

必死に抵抗するも神さまの力は案外強く、既に下半身は井戸の中に入っている。


「嫌だって! なんでそんな転生させようとしてくんのさ!? 」


「ほれほれ、いいからさっさと転生しちゃいなさい。……もう、強情な奴だ。そーっれ!」


「うわっ、ちょ、えー!?」


神さまに井戸から落とされた。

ガンっ! 頭の後頭部に大きな、とてつもない衝撃がきた。


「痛ったぁぁぁぁ!」


そこで僕の意識は途絶えた。

僕の第一の人生はここで終わりを迎え、新たな人生が始まる。



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