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みそギ!~三十路で始めるギター教室~  作者: ボラ塚鬼丸
teenage riot編
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ルーレット/真島昌利

 中学3年の二学期という、受験生にとって貴重な時期に登校をしないという選択肢。


 内申点など気にならないと言えばウソになるが、正直あの教室に行くコトを考えると胃痛がする。


 ただダラダラと平日昼前のワイドショー番組や、教育テレビを垂れ流しているワケではないが、一人で勉強するコトにも飽きていた。


 登校拒否を決め込んでから2週間ほどが経った頃、イマイやイノベからメールが届くようになった。


『あの日すれ違った時って早退したの? 体調悪いのか?』


『最近学校で見掛けないけど生きてる?』


 二人とも、一応俺の心配はしてくれているらしい。



『デキが悪いから自宅で受験勉強中だよ。かろうじて生きてはいる』



 メールの返信では精一杯強がってみる。


 日がな一日学校にも行かず家に籠っていると、そろそろ家族も不審がってくるが、受験対策で出席しなくても平気なのだと伝えると、それ以上は追及されなくなった。


 昼間は学校のコトを考えないように、部屋でアイドルソングを聴きマンガを読み耽る。


 そんなコトを続けていると、教室を飛び出したあの日から約1ヶ月が過ぎ、季節はすっかり秋も深くなってきていた。


『おーい! やっぱ全然学校来てないみたいじゃん!! 大丈夫か? 何かあったなら相談しろよ』


 イマイとイノベから定期的に連絡は来ていたが、その都度俺は適当な返信をして、のらりくらりと核心から逃げまくる。


 しかし、生徒が1ヶ月も登校していないってのに問題にならない学校もどうなのだろうか?


 受験前の生徒に配慮しているのかもしれないが、唯一配慮されない側の俺って……


 考えれば考えるほど、学校に行きたくても行けない身体になってしまった。


 年間予定表では球技大会が近々あるようで、確か男子は校庭でソフトボール、女子は体育館でバスケだったと思う。


 どうせ行くコトもないが、すっかり人の目に恐怖を覚えるようになってしまい、考えただけでも吐き気がしてくる。


 何をするでもなく部屋でゴロゴロしていると、PHSにメールが届いた。送信者はイノベだった。



『なんで相談してくれなかったんだよ。いま、スエに対するイジメが学年で問題になってるぜ? 首謀者は、


2年の時にイマイがやってたコトを真似しただけ


って言ってるらしくて、矛先がイマイに向いてる。難しいかもしれないけど、助けてやって欲しい』



 はぁ? 意味がわからん。イマイのソレと、俺が喰らった嫌がらせは別モノだろ!


 学校で、一言イマイは違うと俺が弁明すれば済むかもしれないが、それを考えただけで脂汗が止まらない。


 クソ……友人が窮地に立たされてるってのに、俺は自宅から出られないなんて。


 このままでは、スポーツ推薦だろうがイマイの受験に影響してしまうだろう。


 せっかく彼女まで作って楽しくやってたってのに、俺がイジメに遭ったせいでイマイの進路を妨害するハメになるとは。


 急に申し訳ない気持ちになり、震える手でイマイにメールを送った。


『ゴメン 大丈夫か?』


 一行を打ち込むだけで限界だったが、程なくしてメール返信が届く。


『そんなコトよりスエの方が心配だよ。こっちこそ、俺のせいでゴメン。悪ふざけが過ぎたよ。反省してる』


 イマイが反省するコトなど一つも無いだろ。悪いのはセンスも無ぇくせに模倣したヤツらだ。


 俺は怒りと悔しさと恐怖で、頭がおかしくなりそうだった。


 落書きだらけの上履きと切り裂かれたジャージを思い出すと、呼吸が荒くなり心拍数が上がる。


 だが、自分よりも俺の心配をしてくれる友人のピンチは、一刻を争う事態であるコトに変わりはない。


 学校に行って行動を起こすシミュレーションをし続け、あらゆる場面を想定していたら、夜中だと思っていた窓の外はいつの間にか明るくなっていた。

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