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みそギ!~三十路で始めるギター教室~  作者: ボラ塚鬼丸
teenage riot編
39/175

恋の1000000$マン/すかんち

『ブチッ!』


 目を閉じて熱唱していた恋愛ソングが、二番に差し掛かろうというところで突然無音になった。


 異変に気付いて画面を見ると、ディスプレイが真っ暗になっていたので、カラオケの機械が不具合を起こしたのかと思ったが、イノベが鬼の形相で電源を落としていた。


「マジで気持ち悪ぃ……カラオケでこんなにもキモいと思ったの初めてだわ」


「な、何だとコノヤロー!」


 気持ち良く歌ってたところを強制終了された上に、ここまで面と向かってディスられたコトに戸惑いながら、俺はイノベを睨み付けた。


「あのさ、男二人でカラオケ居る時点で普通に気持ち悪いのに、何でそこまで感情乗せてアイドルソング歌えるんだよ! 停止ボタンじゃなく電源切った俺の気持ちも考えろよ!!」


「え……ダメだった? 他の曲にすれば良かった?」


 威圧的な態度を取ったにも関わらず、トーンダウンするどころか怒りがヒートアップしてるコトに面食らって、普通に聞き返してしまった。


「そういう問題じゃねぇよ! お前が熱唱してる間、ドアのガラスから何人かに覗かれて笑われたんだぞ? 死ぬほど恥ずかしかったわ!!」


「あ、うん。それはゴメン」


 これから始まる計画に対し、気合いを入れようと思ったのだが、ベクトルがあらぬ方向に向いてしまったようだ。


 それにしても俺の歌、気持ち悪ぃのかよ……そっちの方がショックだわ。


「おっす! お待たせ!! って、何で二人ともお通夜みたいになって……あれ? 他に誰も来てないの?」


 何も知らないイマイが、屈託の無い笑顔で元気良く登場したが、俺もイノベもどんよりとした空気を纏い、無言で迎え入れた。


「お、おう。ちょっと今後の生き方について考えてたトコだよ」


 あんなにも不快になるなら、俺はもう人前で歌うコトをやめておこう。


「それよりイマイ! 今日はお前の人生の分岐点になるから、しっかりやれよ?」


「分岐点? 何で?」


 俺はこの後、他のクラスメイトはアキしか来ないコトと、タイミングを見計らって二人だけにするから、キッチリ告白するように伝えた。


「え! こ、告白って……」


「お前、アキのコト好きなんだろ? 違うならゴメン、別のヤツの告白手伝うから」


「いや、そうじゃない、俺も……好き、だけど……急に言われても心の準備が……」


 コイツもわかりやすく可愛いな。耳まで赤くしやがって!


「急にって言っても、俺らもう中学2年の3学期だぞ? 来年じゃ受験だ何だで恋愛どころじゃなくなるから、今しか無いだろ? 先伸ばしにしてフラれるか?」


 ソファに座り込んでモジモジしていたイマイは、俺の言葉に真剣な表情になり、目を閉じて大きく息を吐く。


「わかった、俺、告白する」


 キリっ! と目を見開き、こちらを向き直ったイマイは、男前過ぎて俺が恋に落ちそうだった。


「……あー! でも、どうしよう、スゲェ緊張する!!」


 一瞬で崩れ落ちて、再びモジモジし始めるギャップ。これ見せたら大抵の女子は萌えるだろ。


「まぁ、イマイなりに想いを伝えりゃイイんだよ!」


 そうこうしているウチに、キョロキョロしながらガラス扉を覗くアキが到着した。

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