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犯人の目的

-37-《犯人の目的》


 流石はそれなりに大きな銀行というべきか、森山の銀行には監視用の部屋というものがあって、三人はそこに案内された。


「さあ、気の済むまで見ていってくれ。それが再生用のボタン、その隣が早送り、その更に隣が一時停止だ」


誠二はボタンやひねりが大量に並ぶ画面下の板をちらりと見てから、神崎に目線を向ける。賢人も、それに続いて神崎の目を見た。神崎は二人の目線に順番に頷いて、操作用の席に腰を掛ける。


「じゃあ、再生しますね」


後ろに立っている三人は彼女の言葉に小さく頷いた。どうやら森山も、神崎達の様子が気になるらしい。神崎が再生ボタンと早送りボタンを押すと、画面は現実離れした速度で動き出す。


「………神崎、ここだ! 」


そして、再生が始まって2分としない内に誠二が声を上げた。反射的に神崎が一時停止ボタンを押すと、そこには血の着いたナイフを持った女が映っている。


「これって………! 」


神崎は後ろの三人の方に身体を向けた。

すると、その内の1人が大声を上げる。


「こいつだ! こいつだよ! 10年前の銃撃事件について色々聞いてきた奴は! 」


声の主は意外なことに森山だった。

誠二は画面を指差して慌てている森山に聞く。


「本当か? 何を聞かれた? 」


森山は嫌なことを思い出すように、苛立った調子で誠二に答えた。


「10年前の銃撃事件についてだ! あいつ、ここに来ていきなり《10年前の事件はお前が悪魔に依頼したんだろ》って訳の分からないことを言って来たんだよ! 本当に何も知らないのに! 」


答えを聞いた賢人は、その質問をもう少し掘り下げる。


「でも先程は質問に答えたと言っていたではありませんか。何も知らないなら、一体何を答えたんですか? 」


森山は画面を憎らしそうに見つめてから、一度息をついて言った。


「………私じゃないなら、他の誰がやると言うんだと怒鳴られたから、思い当たるやつを教えてやったのさ。神酒がその頃、あの利根って警官に注意されて、殺したいってぼやいてたこととかな」


誠二は目を丸くしている神崎の方を、真剣な目で見つめる。


「神崎」


神崎も誠二の目を見つめ返して、頷いた。そうだ、きっとこれが犯人の犯行理由なのだろう。賢人は二人に向き直って、画面の中の女を指差した。


「この女の素性を調べるぞ。思い付く手段はあるか? 」


誠二はその質問に直ぐに答える。


「ああ、勿論だ」


………神崎の手をとりながら。神崎はそれを強引に振り払って、同じく賢人に頷いた。



綺麗なホテルの一室に女はいる。


「どうして? 答えてくれないの? 」


彼女は何度も悲しげに電話口に話しかけた後、頬の上に一筋の涙を溢した。


「あなたはなんでも知っているんでしょう悪魔。私が望むのなら、楽にしてくれるんでしょう? 」


だが、求めても求めても、助けの答えは帰ってこないだろう。彼女はただただ部屋の隅で受話器を握りしめた。



《つづく》

<次回予告>

誠二「俺さ、この※マーク嫌い」

神崎「いきなりなんですか?」

誠二「だってさ、このマークあって、中身が俺達の会話じゃない限りは、なんか嫌なこと起こるじゃん。ほぼ100%で起こるじゃん」

神崎「まぁ、そういうこともありますね。でも、それはこのマークのせいではないと思いますよ」

誠二「じゃあなんだよ?」

神崎「連載前はこのマークで別キャラの描写や過去描写するのは控えようとか思ってて全く実行してない作者のせいです」

誠二「結局大体作者のせい」

神崎「そうですよ。作者も『犯人は俺だ!恨みたいなら恨め!俺の心臓はここだぞ!かかって来いやオラー!』と何処かで聞いたような台詞言ってますし、気が向いたら殺っちゃって下さい」

誠二「やらないけどね。次回、《絶望の悪魔》。また悪魔絡みの内容なのか?めんどくさいな」


<つづく>

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