宗教団体と囁き
-23-《宗教団体と囁き》
大和は誠二の言葉に深く頷いた。
「なるほど、それで《声》を聞いたって人間が現れだした今、事件を調べ直してるってことか」
誠二はそれにこくりと頷き返し、そして、質問をする。
「お前は聞いたことないのか? 出所の分からない謎の声みたいなやつ」
大和はすぐに首を振った。
「いや、僕は聞いたことがないな。ま、面白い噂くらいなら知ってるけど」
真子はリモコンを手にしてテレビの電源を入れながら大和に聞く。
「面白い噂? その正体不明の声の出所とか? 」
大和は少し驚いたように答えた。
「おお、よく分かったね。それそれ、他の調べものをしてるときにたまたま見つけたんだよ」
そして、足元から鞄を取り出して、中に入っていた資料を誠二に渡す。
「前に《闇のゆりかご》って話しただろ? 覚えてるか? 」
誠二はそれを受け取り、記憶を辿った。
「ああ、確か小春の一件の時にそんなこと言ってた気がするな。それで、それがなんだ? 」
大和は誠二に説明する。
「そこの教祖、名前を《囁き》って名乗ってるんだが、素性の知れない女だ。名前どころか、顔も不明、ただ信者達が知っているのは、《心に響く》彼女の声だけ………」
大和は資料を指差して続けた。
「それこそ色々な噂が立ってるが、一番ヤバいのはこれだ。事故の意図的発生、殺人と引き換えの富の提供、大量殺人の誘発、本当に教祖がやったかなんて誰にも分からないけどな」
誠二は資料を大方流し見て、大和に聞き直す。
「つまり《声》の正体はそのヤバい宗教団体の教祖様だってことか」
大和は頷いた。
「ま、そんな感じ。本当に謎が多い団体だから、今の所在とかの詳しいことは僕も掴めて無いけど、他に怪しい影もないし、まず間違いないだろ」
すると、そこに真子が声を掛けてくる。
「兄貴、松ちゃん、準備できたけどゲームやんないの? 」
大和と誠二は顔を見合わせて笑顔を交わした。
「「やるから待ってて! 」」
そして、二人もコントローラーを手に取る。ただ、誠二はキャラ選択画面で大和に小声で言った。
「所在地掴めたら来るか? 」
大和もいつものキャラを選んで小声で答える。
「当たり前だろ、連絡くれ」
大和はこの後ゲームで二人にボコられることになるのだが、まぁそれは別の話。
※
薄暗い部屋で、二つの影が会話をする。
「折角、力を与えてあげたのに、とても残念な結果になってしまいました」
「……………」
「そうですね、あなたの言う通りです。計画通りじゃゲームはつまりません。これで良かったんでしょう」
「……………」
「いいえ、そんなことはありません。この賭けは私がきっと勝ちますよ」
「……………」
「貴方は、本当にこれでいいのですか? 」
会話はそこで途切れた。
※
次の日の朝、
早速《闇のゆりかご》の現在所在地が判明する。
「やっぱり、篠田の一件に《闇のゆりかご》は絡んでたか」
誠二は外の警察からの電話を終え、受話器を置くと、独り言のように呟く。
神崎は誠二の前にサイダーのビンを置いて話しかけた。
「突撃しますか? 」
誠二は目の前のビンに手を伸ばして、ふた部分に付属されている道具で、入り口を塞ぐビー玉をビンの中へと落とす。
「勿論だ。俺は時間制限のあるゲームは好きだが、時間まで終われないゲームは嫌いなんだ。直ぐにでもケリをつけてやるさ」
神崎はその言葉を聞いて微笑んだ。
「じゃあ、今すぐマリンツリービルに出発しましょう。行って、悪魔の煩い口を黙らせるんです」
《つづく》
<次回予告>
大和「どーも、カルピスは原液で飲む派、松崎大和です。そしてこっちが」
誠二「外に出掛けるくらいなら新作ゲームを買いたい、八代誠二だ」
大和「いやー、今回は俺大活躍って感じ?凄くね俺、映画化しても良くね?」
誠二「え?犯罪ドキュメンタリー?」
大和「なんで!?今回はなにもしてないでしょ!いやそもそも、俺は犯罪犯してないから!」
誠二「お前の中ではそうなんだろうな」
大和「え?(困惑)」
誠二「次回、絶対正義の英雄忌憚、《三人連れ》。見てくれると非常に嬉しい」
<つづくと思っていた時期もあった>




