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異世界卓球魔法少女  作者: いっちゃん
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序章

 全日本卓球選手権決勝戦、球井卓人は敗れた。


 相手選手は、全日本選手権では5年連続1位、オリンピックでは個人で銀メダルの経験もある強敵、水谷準介選手。


 第1セット、第2セットと共に水谷選手が先制を取るが、負けずと卓人は2セット盛り返す。終盤は物凄い接戦で、デュースまで持ち込んだが、結果は13ー15というほんのわずかな差で、卓人は負けた。


「くっそ、くそ!」


 あとほんの1ミリの差だった。ラストのデュースのあの場面で、スマッシュが決まっていたら卓人の勝利だった。あのチャンスを無駄にしなければ、卓人は日本の頂点に立っていた。だが叶わなかった。


「惜しかったな……」


 とはいえ、昨年の選手権ではベスト8だったのが、今年は準優勝だ。この若さで凄腕選手の水谷準介をあそこまで追い詰めたのだ。世間は卓人を大きく評価しているだろうし、そしてこのまま練習を積み重ねていけば、来年には水谷選手を打ち倒せる可能性は大きい。


「来年は絶対水谷選手に勝ってやる、これからもすげーハードな練習続けて、ぜってー倒すからな……!」


 そう決意を胸に、卓人はテレビをつけると、卓人と水谷選手の試合の様子が流れていた。


 キャスターは卓人をかなり絶賛していて、それを見ていた卓人は気分がよくなってしまう。


「負けたっていうのにすげー扱いだな、優勝した水谷選手より目立ってるじゃねえか」


 思わずニヤニヤしてしまうが、同時に悔しい気持ちも思い出してしまう。先ほどの試合の終盤の映像が流れる。5セット目、点差は13-14で水谷選手のリード。そして最後、水谷選手のスマッシュが決まり、水谷選手は大きくガッツポーズを取った。


「クソ、準優勝でもめちゃめちゃすげーのは分かるけど、やっぱり悔しい」


 これ以上映像を見てるのは苦痛だと思い、卓人はテレビのチャンネルを変えた。


「魔法少女か」


 10年くらい前、卓人がまだ小学生だった頃にやっていたアニメの再放送が流れていた。女児向け作品ではあるが、当時は卓人も毎週見ていた。


「友達には見てねえって言ってたけどな」


 こんな魔法少女アニメを男が見ているのは恥ずかしく、バレたら間違いなくバカにされるのが落ちだ。


「つってもこんなアニメ今更見たって楽しくないわなー」


 テレビを消し、卓人はベットに横になり、スマホをいじり始めた。


 そして、ネットサーフィンをしているとあるサイトが見つかった。


「なんだこれ」


 そのサイトには『新しい人生を異世界で始めませんか?』と書いており、『名前』と『職業』と書いてある欄が会った。


「なんだ異世界って、ホントに行けたら笑えるな」


 面白半分で『職業』の欄には「魔法少女」と記入し、送信ボタンを押した。


「あー、やば……」


 試合の疲れが溜まっていたのか、急激に眠気がやって来る。


 卓人はスマホを枕元に置き、布団を肩までかけると、1分も起たずに寝てしまっていた。


 次の日の朝、卓人は異世界に転移していた。

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