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 7話 ○ートと加護。



「ねー、とわくん。神様を憎んだりしないでね。」


夕飯を食べた後、エルクさんがそう言った。


ベッドの上で一人考える。


エルクさんが狭いけど一人部屋をくれたんだ。


この世界に俺を連れてきたのは神様って事?


だからと言って憎むとかはない。

エルクさんの言った通り、元の世界で俺が突然いなくなった訳じゃないなら、別にいいんだ。


ダメ息子なんていない方がいい。


でも、どういう事なのかな?

神様が父さん母さんに説明してくれてるとかなのかな?


あんまり悲しまないでくれてたらいいけど。


「神様を憎むか。」


神なんて死ねばいい。


頭に浮かぶそれは自分の言葉。


漫画家になりたかった。

なりたかった訳じゃないな、なるしかないと思ってた。


人と一緒にいる事が酷く苦痛で、学校にも行きたくない、働きたくもない。


人と関わらずに生きていく手段がそれくらいしか思いつかなかったから。


夢としてじゃなくて、ただ現実から逃げる為に才能もないのにすがりついた。


絵の練習をするのも、考えた物語を形にしようとするのも苦痛でしかなかった。


結局それからも逃げて、ゲームをして1日が終わる事も多かった。


自分が悪いって事は分かっていたよ。


でも、それを認めても何も変わらず、気付けば居もしない神様を憎んでいた。


神は死ね、って。


思えばそれが最後の記憶だ。


そう思いながら寝て、起きたらここにいた。


なんでだろーな、どう思い出そうとしてもそれが最後の記憶の筈なのに、酷く遠く感じる。


まるで何かの空白を挟んでいるみたいに。


なんだろ、世界を越えたからとかかな?



・・・もしかしたら、これは罰なのかもしれないな。


理不尽に神様を憎んだ罰。

だから、なんの能力も与えられなかったのかもね。


考えながら眠りについた。




「とわくん。あさだよー!おきるよー!」


俺の胸にティウちゃんが乗って肩を揺さぶってる。


男には朝の生理現象があるんだから、あんまり小さい子を近づけないでほしいです。


ティウちゃんを持ち上げて、ベッドから下ろす。


「わー、とわくんおきたー。」


「うん、起きたよ。すぐに行くから先に行ってて。」


「はーい!」


ティウちゃんは素直で素晴らしいな。


ティウちゃんじゃなく、エルクさんが朝起こしに来てくれて、元気な俺を見つけて・・・みたいな事を考えていた時期が俺にもありました。

いや、今でも考えています。


朝起きると携帯のステータス画面をチェックするのが日課になってきた。


驚く程に能力が上がってる。

畑仕事をしたりしてるから、体力が上がるのは分かるけど何故か魔力とかまで上がってる。


もしかしてやらしい妄想で魔力が鍛えられる?


いや、それなら前世で貯めた経験値で最初から凄い高いか・・・。


とりあえずあっという間にスタート時の倍近くまで全ステータスが上がってる。


それでも、まだまだ低いけど。


「おはよーございます。」


「おはよーございます。とわくん。」


エプロン姿のエルクさんに挨拶してテーブルにつく。


今日の朝ご飯はハムエッグと味噌汁とご飯。


相変わらず異世界っぽさがない。


ティウちゃんは小さい手で箸を握ってる。


自家製の漬け物を持ったエルクさんも席に着く。


「じゃあ、食べましょうか。」


「いただきます!」


「いただきます。」


ティウちゃんが食べ始めるのを見てから俺も食べ始める。


「とわくん。今日は森に果物を取りに行ってみましょうか。」


「えっ、森ですか?」


森って事は村から出るんだよな。

村の外はモンスターもいるから出るなって言われてるのに。


「はい、いつまでもここに閉じ込めていくわけにもいかないですしね。私も行きますから大丈夫ですよ。」


別に閉じ込められてる訳じゃないと思うけど、面白そう。

ステータスも上がってきたしな。


どうしよ、モンスターを倒したら一気に強くなったりするかな?


「なんかドキドキしますね。」


俺が言うとエルクさんが笑った。


「てぃうもー!てぃうもいく!」


「ティウは勝手に動いたりしたらダメだからね。」


「はーい!」


モンスターがいる所にティウちゃん連れてくのか。

大丈夫なのかな?


「そういえば、確認してなかったんですけど、ステータス画面にスキルと加護っていうのがあるの分かりますか?」


「スキルと加護?」


そんなの知らなかった。

食事中に行儀が悪いかもだけど携帯を出す。


「本当だ。加護とスキルってある。」


「まずは加護を見てみてください。・・・普通なら転生者って加護がある筈なんですけど。」


加護を開くと確かに転生者ってのがある。


「ありますね。異世界から来た者・・・能力補正・・・なし。」


「なしですか。だからとわくんは能力が・・・そんな事もあるんですね。」


エルクさんが苦笑い。


なるほど、これで能力補正がないから俺は弱いのか。


「あとは・・・○ート、伏せてあるけどこれってニートだよな?加護でニートって・・・説明は働かなき者、能力補正なし。」


加護でもなんでもないじゃん。


ただの現実じゃん。


後は???、なんだこの加護、???って。


説明もない。


「はてなですか?何らかのプロテクトですかね?」


「プロテクトですか?・・あっ、でもこれは能力がある。スキルプラスハート。」


おお!初の能力補正!!


さっそくスキル画面に行く。


確かにプラスハートってのがあるな。


・・・使用条件を満たしていません。


「結局!!何もないじゃん!!」


叫ぶ俺と苦笑いするエルクさん。


結局俺は低いステータスしか無いわけね・・・。

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