18話 ○ートと平和な朝。
希望なんてなかった。
絶望の中で、ただ待つだけなんだと思っていた。
でも、君に出会えた。
君は俺の希望だったよ。
同い年の君が、俺には太陽みたいに思えた。
世界中の誰よりも君に幸せになって欲しいと願った。
叶わない願いと知りつつも毎晩毎晩心が壊れそうな程に祈った。
ねー、
名前を口に出そうとして目が覚めた。
懐かしい夢を見た。
流れていた涙を拭き、身体を起こす、そして気付くと懐かしいと思った夢は一欠片も自分の中に残ってはいなかった。
その懐かしさは自分にとって凄く大切な気持ちだった気がするのに、想い出すことは出来なかった。
「誰、だった?・・・?」
動かした手のひらに何とも言えぬ柔らかさが・・・無防備な姿で寝ているエルクさんの胸だった。
・・・そして、自分はと言えば男子の朝の生理現象。
俺はこっそり静かに中腰で、エルクさんティウちゃんの寝る寝室から逃げ出した。
「ふー。」
そのまま家の外まで出てゆっくり息を吐く。
思春期の俺には刺激が強すぎるぜ。
危なかった。
もし、あそこでエルクさんが目を覚ましていたらどうなっていたか・・・、いや、もしかしたらエッチな展開にもなっていた可能性も・・・。
「・・・うーむ。」
「もう起きたのか、人間。」
声をかけられ振り向くとそこには牛位の大きさのドラゴン、小さくなった王竜ルビア・サンデットさんがいた。
「おはよー、ルビアさん。人間じゃなくて、ふみひろとわだよ。」
俺が言うとルビアさんは鼻で笑った。
「なら私もルビアでいいぞ。・・・とわ。」
「・・・分かった。昨日はありがとう。ルビア。」
言いながらルビアの頭を撫でてみる。
鱗は硬いのに、生き物の暖かみがあってなんだか変な感じ。
「私は何もしていないがな。」
「そんな事ないよ、ありがとう。」
ルビアは一言「目障りだ。去れ。」そう言っただけで盗賊達は逃げ出した。
エルクさんも凄い驚いてたな。
村の人達の反応も凄かった。
俺とエルクさんはそんな村の人達を無視してティウちゃんを迎えに行って、なぜかそのまま一緒に寝たんだよな・・・はー、凄い幸せな時間だったな。
ルビアに凄いお礼を言って、何かお返しをしたいとエルクさんが聞くと、人間の家庭料理を食べたいって言うからルビアも今ここにいるんだ。
「ねー。なんでルビアは助けてくれたの?」
ルビアの横に腰掛けて聞いてみる。
「・・・暇つぶしだ。」
「そうなんだ。・・・じゃあ、今までも結構人を助けてあげてきたの?」
空を見ていたルビアが半眼で俺を見てくる。
「そんな訳ないだろ。私が人間にどれだけ恐れられていると・・・そうか、お前、とわは転生者か。」
「うん、そうだよ。」
そうか、転生者だとあんまり王竜の事を知らないから恐れないのか。
「ふん。なるほどな、ならあの程度の相手、私の力を求める必要などなかったろう。」
「ああ、いや俺そういう特殊な能力をもらってないみたい。最近は少し強くなってきたけどね。」
笑って力こぶを作ってみる。
服に隠れて見えないけどなかなかの固さなんだよ。
ルビアは何故か目を丸くしている、器用に表情変えるんだな。
「なぜだ!?なんで私を恐れなかった?」
「!!・・・いや、恐かったよ。っていうか、本当は今もちょっと恐いし、」
急に目の前で口を大きく開かれたから凄いビビった。
「・・・そうか。ふん。お前は変な奴なんだな。」
ルビアが笑う。
ドラゴンも笑顔は優しく見えるんだな。
エルクさんは凄い悩んだ結果唐揚げとシチューをルビアに作っていた。
ルビアは気にいったみたいでいっぱい食べていた。




