11話 ○ートとはじめての○ほう。
「とわくんにはあんまり剣は向いてないかなって思った。やっぱり生き物を斬るとかって抵抗あるよね。」
俺とエルクさんはテーブルで2人食後にお茶を飲んでいる。ティウちゃんは1人外に遊びに出ていていない、基本知っている人しかいない村の中なら安全だしな。
実際エルクさんの言うとおりだった。
しかし、改めて言葉にされると凄い情けないな。
「・・・正直あります。今日も最終的には鞘から抜かずにゴブリンを殴ってたし。」
「そ、そうなんだ。」
あっ、エルクさんに呆れられてる。
「でね。いいモノをあげようと思うの。」
席から立ったエルクさんが持ってきたのは赤い宝石のついた指輪。
差し出されたそれを受け取って見るけど俺には似合わなそうだ。
紋様の刻まれた太い銀のリング部分に中心には一センチ程の綺麗にカットされた赤い宝石。
「なんですか、これ?」
「これはね。魔法結晶の装飾品なの、って言っても分かんないよね。」
分かんない俺は一つ頷く、高いものなのかな?
「魔法結晶っていうのは、魔法の練習用に売られてる物なの。魔法具とかとは違って安く手に入るんだよ。」
魔法の練習!
「やっぱり魔法ってあるんですね!そっか、そういえば魔力もあるもんな!」
おー、異世界っぽいな。
俺も魔法使えるようになるのかな?
「うん、あるよ。赤いこれは火の魔法結晶、魔法結晶は身に付ける事で魔力をその属性に変えてくれるの。まー、こんな感じ。」
エルクさんが手を広げる、手のひらの上に野球ボールくらいの綺麗な火の玉が現れて浮く。
「おーー!」
初めて見る魔法!
「まずは魔法結晶を通して、その属性を使う事に慣れる。そうすると魔法結晶なしで魔法を使えるようになるから、後はそれを繰り返す事で少しずつ魔法の規模、威力、精度を上げていくの。」
「なるほど。・・・でも、これって俺にも使えるんですか?」
「うん、だいじょぶ。魔力があれば皆魔法を使えるようになるよ。指輪はめてみて。」
本当に使えるのかな?
期待に胸を膨らませて試して、結果使えませんでガッカリするのが俺な気がするけど・・・
とりあえず言われた通りに指輪をはめる。俺は右手の中指にした。
「そしたら、指輪のある場所に意識を集中、手のひらに火の玉をイメージして。」
「・・・だいじょぶですかね?初心者がいきなり室内でやっても、暴発して爆発とか?」
「だいじょぶ、だいじょぶ。とわくんの今の魔力だと魔力を全部使っても大体さっき私が出したものくらいしか出せませんから。」
「そ、そうなんですか・・・。」
凄い微妙だ。
魔法使おうとして秘められた力が解放されるとかないかな・・・。
広げた手のひらに意識を集中、イメージするのはエルクさんの火の玉、集中集中、
集中しようとすると徐々に指が全部曲がり始める、指の先端が集まる先がピンポン玉くらいの大きさになった時、その中心に火の玉が現れた。
ビー玉くらいの。
「しょ、しょぼい!」
思わず俯く俺。
「とわくんダメ!集中を解いたら!」
エルクさんの声に顔を上げた瞬間、火の玉が弾ける。
ぽん、っていう優しい音と、指先に走る例えようのない程に弱すぎる衝撃。
しょ!しょべー。
「ま、まー最初だしこんなモノだよ。徐々に大きく出来るようになるから。」
「そんなもんですかね。」
俺は手をニギニギする。
「ちょっと外に行こうか。」
立ち上がったエルクさんが俺の手を握る。
うん、今日はなんだかスキンシップが激しい気がする。
エルクさんの手、柔らかいなー。
エルクさんは家の裏に回ると俺の手を離した。
そこにはエルクさんの畑があってその先には数十本の木、その先には村を囲む高い柵がある。
「見ててね。」
言ったエルクさんは、右手を斜め上へと伸ばす。
「深紅、連なりて、我が敵を討て!フレア!!」
炎の龍!?
大型バイクくらいのそれが現れてエルクさんが手を伸ばしていた先へと天を登る。
「すっげー!!」
思わずテンションを上げる。
「最終的にはこれくらい出来るようになる筈だよ。」
振り返ったエルクさんは少し誇らしげ、そんな表情もいいねー。
「直接斬ったりするよりは抵抗なくモンスターとも戦えると思う。少しずつ鍛えていこうよ。」
「・・・そうですね。」
剣が嫌だから魔法でモンスターを倒す、そういう考え嫌だなと思ったけど口には出さなかった。
エルクさんは俺の事を思ってしてくれてるんだし、魔法を鍛えるのはいい事だろうし、楽しそうだ。
「でも、剣の練習も続けますよ。身を守るためには必要ですからね。」
「はい。」
ちなみに俺はエルクさんとの剣の練習大好きです。
二人っきりで、綺麗なお姉さんの躍動する身体、弾ける汗、素敵なんだ。
「じゃあ、私はティウを探して来ます。とわくんは今日は疲れたでしょ、夕飯まで休んでていいよ。」
そう言えば身体くたくただ。
ゴブリン達と戦ったのが今日の朝だもんな。
「ありがと。そうさせてもらいます。」
「明日は三人で畑仕事するからね。」
笑うエルクさんが離れて行くのを見送って俺は地面に座る。
一度火の玉を出してみた。
俺の指の先で輝く小さい炎。
「これが戦う力。」
朝の事を思い出せば必要だと思う。
もう、あんなのはゴメンだ。
文広 永遠
攻撃力 230
防御力 326
体力 280
魔力 258
素早さ 333
ステータスを確認すると結構上がってた。
今日の冒険の成果かな。
そのまま俺は眠ってしまった。




