第 16 話
~現実~
『昨日、午後九時頃。鴻中学校に通う二年生の男子生徒が校舎の屋上から飛び降りたという通報が近所の方から警察にはいりました。
すぐに警察が校舎に向かい、男子生徒を捜索しましたが、十時間近くたった今も見つかっていません。』
そこでその校舎、そして屋上がアップで映った。
そしてその生徒の母親と、家がうつった。
泣いてもいなければ、疲れた様子もない。
どうやらこれから仕事に行くようだ。
マスコミからの質問に対し、こう答えていた。
『あの子が死のうと思ったのなら、別に止めません。
死のうと思ったのなら、勝手に死ねばいい。ただ、恨まれるのはごめんですけどね。』
最後にテレビ画面に笑顔まで向けて、その母親は軽快な足取りで立ち去って行った。
それはまるで、わが子がいなくなったことが喜ばしい事であるかのようだった。
画面が切り替わった。
『また、半年程前にも女子生徒二名が一方の女子生徒の家で遊んでいる途中に消えていたという事件がありました。警察は、この二つの事件には何らかの関連があるとみて調べています。―――ただいま、速報が入ってきました!昨日、午後十時頃。〇☓大学付属中に通っていた生徒が夜コンビニへ行くといって出たきり、戻っていません。警察が探索していますが、いまだみつかっていないとのことです。この男子生徒も、この二件の生徒と同様消えてしまった可能性が高いとみられます―――――。』




