第 13 話
「ねぇねぇねぇねぇねぇ!」
部屋に戻るといきなり直也が詰め寄ってきた。俺は二歩程後ろに下がって「なんだよ」と言った。
「理香ちゃんってさぁ、可愛いと思わない?」
俺は驚いて直也を見た。……お前、理香にヒトメボレ…か?
「どうした、お前」
「ねぇねぇ、可愛いと思わない?」
直也は俺のことを無視して目をキラキラさせている。こんなやつ、俺が今まで生きてきた中で初めて見た。確かに理香…香奈も、クラスにいる女子と混ぜると「可愛い」という方に入るだろう。とりあえず、「そうかもな」と返事をしておく。
「でしょお!もう僕、理香ちゃん好きになっちゃった!」
俺は更に三歩程後ろに下がった。…こんなに堂々と告白する奴、初めて見た!
「ねぇ、隼斗。隼斗は理香ちゃん好きじゃないよね、ね?」
避ける暇もなく直也が俺の方をガシッと掴んだ。…こいつ、意外と握力強いのな。とにかく俺は理香のことを好きではないので大きく首を縦に二回振る。直也は俺から手を離して「よかったぁ」と、もう既にめがとろぉんとしている。……少女マンガの主人公の男子を見ているみたいだ。(最も、少女マンガなんぞ読んだことないが。…あ、でもこいつほどふわふわしたキャラは中々出てこないだろう、とは思う)
「それじゃあ僕と隼斗は今まで通りの友達だね!」
今まで、というほど長い時間一緒にいた覚えはないが、ここで無視するとまた面倒くさいので頷いておく。直也はまたよかったぁ、と言ってベッドに
ダイブしたかと思うと、ものの三秒もたたずに寝てしまった。
「よっぽど疲れたんだなぁ」
俺は半ば感心しながら直也の足もとにあった毛布を直也にかけた。
「さ、俺は風呂入ろ」
と言っても、何もない。タオルや石鹸は言ったらどうにかなるだろうが、
着替えがない。今日は結構汗もかいたのでできれば着替えたいのだが…。
「隣に聞いてみるか…」
隼斗はしかたなく女子の部屋へと向かった。




