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第 12 話

「ここがお風呂。みんな同じばしょだから、お風呂入るときは必ず私たちの部屋に来て誰もはいっていないか確認してからにしてね。私達もそうするから」


直也はわかったぁ、とのんきに答える。俺は…しゃべるタイミングが掴めず、飯の時からずっと黙っている。ときどき直也が「何かしゃべればいいのにぃ。照れちゃってぇ」とつついてくるが、照れているのではない。タイミングがわからないんだよ!俺はこのことを言い訳のように何度も心の中で繰り返す。今案内してくれているのは香奈だ。理香は「それじゃあ香奈ちゃん、よろしくねぇ!」と一人だけ部屋に戻って行った。…おとなしそうで真面目そうに見えるが、実はそうでもないのかもしれない。香奈は香奈で「りょうかーい!」と敬礼付きで理香に返事を返していた。(ちなみに、その隣で直也も敬礼していた)


「…もうないかな。今言ったことは絶対に守ってね!特に風呂!」


直也は「ラジャー!」と言ってビシッと敬礼。

俺は「わかった」、のみ。


「ねぇ直也。隼斗って普段もこんなに無口なの?」

「全然!」


……事実、こんなにしゃべらなかったのは今日が初めてだ。


「あのねぇ、隼斗はね。しゃべるタイミングを逃しちゃったからしゃべるにしゃべれないんだよ!」


…お前はエスパーか!?俺はその場から三歩程後ずさった。直也が「図星だね」と得意そうな顔をする。・・・ムカつく!こいつ。それに対して香奈は

「なぁんだそんなことかぁ」と言って俺の方に歩み寄ってくる。そしていきなり手を差し出された。意味がわからず突っ立っていると、


「よろしくお願いします、っていう意味の握手。…あんたって意外と鈍感で不器用ね」


…その通りなので言い返したくても言い返せない…。くっそー、くやしいじゃねぇかコノ野郎!俺はしぶしぶ手を出して、「よろしく」と握り返した。


「しゃべるタイミングなんて知らないけど、いつでも話しかけてくれたらしゃべるよ、私は」


「私は」ということは理香はどうなのか知らないということか。俺は一応、「ありがとう」と返事をし、がんばってみようと思った。

今日気づいたけど、俺って意外と……人見知りだ。

そう心の中で認めてしまった瞬間、気持ちが一気に海の底まで沈んだ気分になった。

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