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世界の 法則が 乱れる!  作者: JR
第04話 スマイル0円、タダほど高いモノは無い
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「自爆乙wwwぷげらwww」m9(^Д^)


「我々、皇國代理天の侵略目的、それは、我々と貴方がたに、富と繁栄をもたらす事です」

「え?」


「経済活動による社会の活性化、

 ひいては市場の拡大に伴う投資活動……

 すなわち、ビジネスです」

「は?」


ビジネス?

いや、富と繁栄は判るけど……。


「我々は、侵略ではなく、お互いの利益になる為の、貿易を望んでいるのです」


「えーと、ちょっと待って下さい」

「はい」


待て待て、これは本当なのか?

嘘である可能性が高いぞ。

しかし、仮に目的が真実だとしたら、長期的に見て侵略よりも莫大な富を築けるのも確かだ。



ふぅむ。

「皇國代理天の世界法則[リアリティ]と、地球の世界法則[リアリティ]では、貿易ができるとは思えませんが?」

「そんな事はありませんよ」

「では、どうやって世界法則[リアリティ]による、物体の変質を起こさせない様にしているんですか?」

「企業秘密です」

「あー。やっぱりそうでしたか……」

秘密も何も、ビジネスは建前か……。


「ふふっ」

「?」


「嘘ですよ」

「は?」


「秘密も何も、起きる物は取り扱わないだけですよ。簡単な話です。」


あ、

ああー、そうか。

そういう事ね。


「我々の製品は、どの世界法則[リアリティ]で受け入れられるか、入念な下調べと、独自の規格に沿って製造されます」

「はぁ」

「古代の地球にも、その様な異世界との接触があったようですね」


「えっ!?」


「私達が、独自に調査した結果ですが、異世界の世界法則[リアリティ]でもたらされた物が、数多く存在します」

「た、例えば?」

「コスタリカの石球や、バグダッド電池、始皇帝のクロムメッキの剣と呼ばれる物などがそうですね」

あー。

幾つか聞いた事があるのが混じってる……。

これは、えーと、あれだ、○○○○だな……武居に聞いた方が早い話だ。


「えーと、友人で武居というのがいるんですが、確かお知り合いでしたよね?」

「ええ、よく私の占いを聞きに来る、新田の友達の子でしょう?」

占いって……。

あいつも好きだなぁ。


「武居が、そう言った事に詳しいので、今度聞いてみては?

 何でしたっけ……えーと」

「オーパーツ?オカルト?オイランドーチュ−?」

「いえ、花魁道中じゃなくてですね」


「ふふ、地球では、オーパーツと呼ばれる事の多い物品ですね」

「知っているなら、教えてくださいよ。ド忘れしていたんですから」


「私も、元々は武居君から聞いた話なので……」

「でも、よく地球の世界法則[リアリティ]が、そんな場違いな物を認めましたね」


「我々から見ると、地球の世界法則[リアリティ]は、かなり変わっています。

 寛容な面と容赦ない面の、2面性を持っています」

「はぁ」

「ただ、たまたま、我々には、非常に寛容な世界法則[リアリティ]だった。

 それは、受け皿が広すぎると言っても過言ではないほどの……。

 だからこそ、貿易を望んでいるのです」



さて、今言っている、この言葉は真実だろうか?


戸隠さんに聞ければ良いのだが、その前に契約する事になるから、この言葉が真実かどうかだけでも見極めないと。


実際、嘘は無さそうだけど、簡単に信用するわけにはいかない。

暗殺や裏切りが日常茶飯事な、この世界で、上に這い上がっている人物だ。

それなりの修羅場をくぐり、陰謀を企て、上司を裏切り、手を汚してきているんだ。

一筋縄でいくはずがない。





「貿易……ですか」

「はい」

「それは、例えば、物ではなく、知識みたいな物も含まれますか?」

「はい。実際、私の部下で経営コンサルタントとして名を売り、侵略している者もいますよ?」くすくす


「その、戸隠さんも、そうなんですか?」

「106は違います。

 彼女の仕事は、地球の言葉を、我々の言葉に変換する翻訳機の作成です」

これは、戸隠さんが言っていた事と一致する。

「翻訳機の作成……。

 例えば、その翻訳機を売り出したら、電子辞書などを軒並み世代遅れにする力があります。

 それは、技術的な侵略と見て良いのでは?」


「そうですね。その通りです……

 が、これは売り出すつもりはありません」

「何故です?

 翻訳機から、自分達の言語データを消去して売り出せば、地球人は、貴女がたの言語を知らないままです。

 秘匿性は変わりませんよ?」

「理由として、地球の世界法則[リアリティ]では、我々のテクノロジーが機能しない場合がある事」

「……」


「次に、翻訳機が機能したとして、売り出した場合、ブレイクスルーが起こるのは確実です」

「はい。それによる独占も可能だと思いますが?」


「いえ、地球の世界法則[リアリティ]は、その結果として、ブレイクスルーを容認します。

 結果として、地球の企業も、我々と同じ物を作る事ができる様になります」


「健全ですね」


「表面上は」

「?」


「今、時雨君が言ったではありませんか。

 技術的な侵略……と」

「あ」

「最終的には、地球は我々の技術全てを受け入れるでしょう。

 そして、地球の世界法則[リアリティ] は、皇國代理天の世界法則[リアリティ]に、いつの間にか変わっているんです」


確かに、侵略方法はどのような形であれ、最終的には、世界法則[リアリティ]を塗り替えてしまえば良いのだから、可能性としてはありそうな話だ。

相手の良い所を、ドンドン取り入れても、結局は相手と同化するという事か……。




まだ色々と聞いておきたい事があるが、ここは一旦引いておく。

「判りました。

 侵略と言ったのを取り消させて下さい。

 僕の認識不足だったようです」

「いえ、話し合う事が重要なのです。

 話を戻しても構いませんか?」

「どうぞ」

うーん。

やっぱり、僕は聞き下手、話下手な人間だなぁ……。




「疑問は払拭された様ですので、話を戻しますが」

「はい」

「間借りという話でしたが、部屋を貸して頂けるという話で構いませんか?」

「はい。構いません」


さて、ここからが問題だ。

少し探りを入れる事にしよう。


「部屋はお貸ししますし、恥ずかしながら、朝食と夕食は用意します。

 それで構いませんか?」

「えっ?食事っ!?」


あ、戸隠さんと同じ反応だ。

言っている僕自身も顔が紅潮しているのが判る。

まぁ、皇國代理天では普通の反応なんだが、地球とは、こういった微妙な所で、違和感を感じるのも事実だ。




「はい、腕前でしたら、御心配なく。

 栄養に関しても、偏るような事はないと思います」かぁっ

皇國代理天の世界法則[リアリティ]の影響だろう。

言っている事は、地球では普通の事なのに、赤面するほど恥ずかしくて堪らない。


じゅ、熟女と密室で、はぁはぁしてるっ!

そんな感じ。

うわぁ、セクハラで訴えられそう。

セクハラってナンだっけ……?


「あ、あの時雨君……」

「は、はい、何ですか?」

「その……106は、えと、一昨日、食事をしていったの?」

「一昨日も食事に誘ったのですが、用意してあるからと断られてしまって……」

「そ、そうですか……」ほっ



今の反応は、明らかに僕と伊織が恋人同士だと判っていない反応だ。

戸隠さんが、上手く騙せているという事だろうか?

それとも、五十鈴さんのフェイクだろうか?


「しょ、食事と家賃に関しては、申し訳ありませんが、当人同士でお願いします」

「判りました」



じっと五十鈴さんは、僕を見詰める。

「え、と、何か変なことを言いましたか?」

「いえ、時雨君が体現者[ビジネスマン]のように思えたので……」

「あはは、残念ながら、違います。

 そうであって欲しいとは思うんですが……」


「そうですね。世界法則体現者は生まれ持った才能ですからね……

 コレばっかりは何ともならないでしょう」

あー。

そうなのか、体現者[シュトゥルム]は生まれつきか……。


「地球で出会った体現者[ビジネスマン]は、秋霖殿や、氷雨ひさめさん、夕立ゆうだちさんといった、地球の守護者[ガーディアン]の方々ばかりだったのですが……

 地球生粋の世界法則体現者はいないのでしょうか?」

「えらく狭い範囲ですね?」

今、言ったのは、祖父に祖母に母の名前だ。

「ええ、お恥ずかしい限りです」


「そんなにお仕事が忙しいのですか?

 えーと、ガクセイの身で言うのもなんですが、頑張って下さい。

 新田も、探偵になりたがっているようですし」

「ふふ、善処しますね?」


うぅむ。

聞きたい事ができてしまったが、これは祖父に聞くべきだろう。

うん。

なんで、ココで八代家の人々の名が出るのか。

だいだい、地球の守護者[ガーディアン]って何だよ。

祖父は、何を隠しているんだろう?

地球生粋の世界法則体現者がいないって、どういう意味だろう……。


後できっちりと話し合わないと……。




「部屋を貸して頂けるという、その上での契約ですが、宜しいですか?」

「え?あ、はい、そうでしたね」

そうだ。

素で忘れていた。

ヴラドを助ける為に、何かも判らない契約をしてしまったんだっけ?

大丈夫だ。まだ口頭だけだ。

ヴラドを人質に取られているとはいえ、まだ挽回のしようはある。


「プライバシー?を取られるんでしたっけ」

とても重要な物だったとは覚えているんだけど……なんだったっけ?


「取ると言うわけではありません」

「?」

「貴方の身体を使用して、戸隠伊織の監視を行いたいのです。

 具体的には、頭部の内耳の蝸牛に各1箇所ずつ、及び、脳内の視交叉1箇所の計3箇所にバイオチップを埋め込ませてもらいます」


「は?」

なにそれこわい。


「このバイオチップにより、八代時雨君が見聞した物を、我々も知る事ができます」

「なんで?」

「戸隠伊織の裏切りを未然に防ぐ為です」

「え?」

うわ。

行動を読まれているぞ、戸隠さん……っと、まずい、顔に出さないようにしないと。


いや、それよりも

「バイオチップを、埋め込む……のは判りましたが、僕は四六時中、彼女と居る訳ではありませんよ?」

「構いません。我々の計算では、106単体での裏切りは発生しないと見ています」

「はぁ」


「106が接触した人物の内、最も高い確率で裏切りを決意するのが貴方、八代時雨君なのです」

「それは、また……えらく買い被られましたね」


「簡単です。貴方の過去を洗う事が、出来なかった事から発生する興味です」

「えっと……僕にその様な、凄い過去があるとは思えませんが?」


「問題はそこではありません。

 地球の守護者[ガーディアン]の存在を教えておかなかった、私の落ち度です」

「?」

うわぁ、こう何度も出て来ると、き、聞きたいっ!!

地球の守護者[ガーディアン]って何?

八代家と何の関係があるの?


くぅううう。

……。


仕方ない。

落ち着け、僕。

すぅ。

はぁ。

深呼吸1回。




「少々、纏めさせて下さい。

 戸隠さんの裏切りを未然に知る為に、僕の脳内にバイオチップを埋め込む、と言う事で良いですか?」

「はい。もちろん、特定条件下以外で、これによって得た情報を開示する事はありませんし、それ以外に使う事もありません」


「特定条件下とは……?」

「106の裏切りが発覚した場合と、時雨君本人に何らかの不都合が起き、緊急的措置をとる必要がある場合、です」

言っている事はマトモだけど……

要は、ヴラドを助ける為に、戸隠さんを売れということか……。

ヴラドを助けて、戸隠さんを売らない方法を、捻り出さないといけない。


視覚と聴覚を敵に取られたような物だが、問題はこの技術、地球の世界法則[リアリティ]で動くのか?

「バイオチップの埋め込みの話は判りました。

 地球の世界法則[リアリティ]で技術的に可能なんですか?」

「ある程度は」

ある程度……?


「えーと、要は、僕の身体は大丈夫なんでしょうね?」

「正直に言いますと、難しいでしょう。

 この計画は、貴方が体現者[ビジネスマン]である事を、前提としていましたので……」

「じゃあ……」

「内耳の方についての問題はありませんが、視交叉の方ですね。

 そこで、時雨君には、バイオチップの代わりに、眼鏡に映像記録用の機器を埋め込みます」

「……判りました」

流石に用意周到というか、2重3重に考えているなぁ。


しかし、この状況は、かなり拙い。

戸隠さんと本音トークが、できない。

いや、それより、

イチャイチャできない。

ラブラブできない。

ニャンニャンできない。


拙い。

何としても防ぎたい。


いや、少し冷静になれ。



「それでは、次に質問ですが、僕がこの事を戸隠さんに伝えた場合の罰則はどうなるのですか?」


「それは、鎌いません。

 丁度良い牽制となります」

牽制……。

まぁ、裏切りをさせない為に埋め込むなら、その理屈はあっているが……。


む。

これは、あれか……。

戸隠さんの裏切りを防ぎ、その上で、僕からも色々と情報を得る事が出来るという一石二鳥な話か。



ヴラドのダメージが、どれほどの物か、判らない……。

契約をしていない以上、医療行為は、まだ行っていないだろう。

時間も限られているわけだ。

コレを断った場合、ヴラドは放置。

僕自身は、契約違反となる。

とはいえ、違約条項を決めていないので、実害は無い……。

だが、ヴラドを助ける為にも、現状では、断れないのが痛いな。



少しづつだが穴を開けていくか。

「では、最初の戸隠さんの裏切りに関する事を決めたいのですが……」

「?」

「どのような状態を持って、戸隠さんが企業に対する裏切りをしたと、判断するのかを決定しましょう。

 それによって扱う情報が変わります」

五十鈴さんが、僕を面白そうに眺めている。


「判りました。そうですね……

 106がはっきりと裏切りに関する口上を述べた時、

 故意に企業にダメージを与える行動をとった時、

 私の出した命令に従わなかった時、の3つでどうですか?」

「……」

引っかかる箇所は1つ。


「その命令には、戸隠さん自身と僕、及び、僕の家族、恋人、友人を害する命令の時は従わなくても良い、という条項を入れて下さい」

「友人の範囲が広すぎます」


「判りました、では、僕が友人と称して、右手で握手した人物を友人とします」

「広すぎます。30名までに留めてください」

「30名ですか……リストを作成します。変動30名で」

「変動ですか……判りました。

 そのリスト内に書かれた人物を標的とした、実害を伴う命令は行わない。

 リストの変動は、1日1回、12時前後1時間内に更新という事で、どうですか?」

「……友人のみ、ですか?」

「いえ、リストに書かれた人のみです。

 恋人や家族の名前、キチンと書いて下さいね?」

「……判りました」

ココは引き下がろう。

まぁ、30人も友達なんていないから良いけどね。




「では、次に期間を決めましょう」

僕は五十鈴さんに提案をしたが

「バイオチップは、100年ぐらいは、作動できますよ?

 保証書をつけましょうか?要ります?」

簡単に返される。

「……」

「……」

抵抗を試みる。

「流石に一生というのは、交渉として成り立ちません」

「ふふっ、そうですね」



五十鈴さんは、ちょっと考え込むと、

「判りました。では明日より1096日間、丁度3年間の契約でどうでしょう?」

「ヴラドの緊急治療の金額が、そんなに高価とは思えないのですが?」

「緊急と言う事に、意味があると思います」

五十鈴さんに言い返される。


結構、強気だ。

「ですが、それでも地球における“ぷらいばし”の値段と、皇國代理天の緊急治療の値段が、釣り合うとは思えません」

「ふむ、そうですか……」


僕の方から、代案を出す。

「明日から半年、185日でどうでしょう?」

「それでは、監視の意味がないですし……判りました、1年、365日で」

「……」

「……」

「……」ふぅ

ここは、1年にオマケつきで手を打っておこうか。

「判りました。では1年と、1ヶ月毎に50万円の報酬を頂きたいのですが?」

「む……」

少し悩む五十鈴さん。


だが、反論はさせない。


五十鈴さんの狙いは判っているぞと釘を刺す意味も込めて、あえて言う。


「戸隠さんの情報以外にも、僕の情報が得られるのです。

 安い物だと思いますが?」


「……」


しばしの逡巡の後、

「そうですね……判りました。

 その条件を飲むとしましょう」


おお?通ったぞ。


というか、僕の情報にそこまで価値を見出せる物があるんだ……何だろう?

ラパ・ヌイの事を知っているとは思えないし……

地球の守護者[ガーディアン]の事だろうか?

それとも、通った事自体をブラフとして、より効率的な関係に発展させる、という手法もありか……。



だが、まさか、通るとは思わなかった。



実は、少し驚いたのは、この条件が、五十鈴さんにとって、交渉上、必要のない物だからだ。



五十鈴さん自身が“特定条件下以外で、僕から得た情報を使わない”と言っている以上、僕から得るデータは、知っているだけで使用できないジャンクデータとなる。


五十鈴さんは、この矛盾に気づいているだろう。


その上で、ヴラドを助ける為に“ぷらいばし”を売った僕が、今度は、僕から得られる戸隠さん以外の情報料として、50万円よこせと言った。

この提案自体が、僕が50万貰うと言っている時点で、戸隠伊織の監視という当初の目的とは違う方に行ってるのに、気づいている……のか?



そう、僕自身の目的は、この契約を、戸隠伊織の監視という名目ではなく、他の名目に置き換え、期間を短くする事。

半年でも長すぎるくらいだ。せめて1週間。



問題は、戸隠さん以外の情報という物は、“ぷらいばし”を売った段階で、一緒に売ってしまった様な気がすると言うことだが、今は言わないでおこう。


そして、五十鈴さんは、僕からの情報に50万を払う、というのは、僕のデータにそれなりの価値があると見ている証拠だ。

だけど、そのデータは使用する事ができない、ただのジャンクだ。



意図が見えないなぁ。


本当に戸隠さんだけの監視なら、50万円払うなんて、意味はない。

では、監視以外に別の意図があるとする。

しかし、そこで得たデータを使用したくても、契約で出来ない以上、データはごみだ、50万円の価値はない。



そう、この僕の提案に乗る事自体に、意味がない。

本当なら

「1年、365日で」

と、再度、言えば終わる提案だった。



一番やり辛いタイプだ。

意図を読ませない様に、こっちの提案にのったり、かき回したり……。


正直、僕は話し下手で、こういった事には向いてない人間だ。

できれば、真意を知りたいんだけど……。



最終的に僕を、買収するとか?


あ。


最悪の想像が……。

まさか、ロボトミーとかってないよな?

「自我支配して、皇國代理天の為に働いてもらってます。お給料は50万え~ん!」

そんな感じ。






「次に、決める事は、違約した場合の罰則ですが……」

五十鈴さんが、僕の思考をそっちのけで、話を進める。



「では、最初に、五十鈴さんの側の違約行為、僕から得た情報を契約時の条項以外に使用した時について、お聞きしたいのですが?」


やばい。まずい。

敵の意図をはっきりとさせておくべきだ。

脳改造なんて洒落にならん。


意図が見えないんだから仕方ない。

敵の狙いを探る上で、切り札に近いカードをオープンにする。


「情報を契約時の条項以外に使用……?」んんぅ?

悩む五十鈴さん。



「……」

「……」



「あ!」


「え!?」

まさかっ!



気づいてなかったのかっ!!



「ふふふ。一本やられたわ」


「う」




うわわあああああああっ!!

戸隠さんを助ける為のジョーカー、無駄に切っちまったぁ!!


ココの違約の罰則事項に、契約の破棄を設定すれば、僕の勝ちだったのに!!



うわあああああ!!

血涙しかでない。




折角の勝利の鍵だった条件を無駄撃ち。




くそっ

相手の意図なんて見えないはずだよ。

だって無いんだもん!!



うああああああああ。



考えすぎで自滅だなんて!!

自暴自棄になるのを堪える。




気分をリセットしないと拙い。

まだ交渉は終わっていない。

このパターンは、完敗する場合の多いコンディションだ。



切り札は、まだある。

落ち着け、僕。


……。


すぅ。

はぁ。

今日、何度目かの深呼吸。


それだけで、僕は暗示にかかったみたいに、気分がニュートラルになる。


まだ、挽回できるチャンスはある。

名誉返上、汚名挽回だ!

あれ?


うん、きっとある。






「ふふ」


五十鈴さんが、僕を見て微笑む。

何だろう。

この笑いは……。

も、もしかして、失敗を笑ってる?


あうあうあう。



「自爆乙wwwぷげらwww」m9(^Д^)



そんな妄想までが見えてくる。

気分をリセットだ!リセット!




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