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世界の 法則が 乱れる!  作者: JR
第03話 駅前りゅうがくる
34/169

そうだ。デートをしよう


「むぅ……。

 お金作成は難しいのぅ」

「いやいや、それは犯罪ですって」


さぁ、今日は、ヴラドとデートを楽しもう!


「いや、買い物を忘れてもらっては困るぞ?お主様」

「服と服と服と……何だっけ?」

「カラマーチョとキノコの丘、タケノコの村、暗君ハバネロ、期間限定カラマーチョじゃ!忘れるでない!」

「辛いのとチョコばっかだねー」

「好きなんじゃ」


「そー言えば、デスレイクって辛いのもあるけど?」

「お主様の記憶が、不味いといっておったのでな」

「あははは。でもヴラド……」

「ん?」

「モデルガンと大量の肉をすっかり忘れていたよね、今」

「あー」

ちなみに、ライターは家にあったし、携帯は祖父の許可が必要なので、今回は祖父のを使用する事にする。




「魔法って何でもできる、というイメージがあったけど、そうでもないんだね」

「うむ。そうじゃな。

 基本的に、魔法は大雑把な事がやりやすいのじゃ。

 細かい事になると、やはり本人の資質が問われるようになるの」

「あー、じゃあ、お札は難しいね」

「うむ。素晴らしい技じゃ」

「?」

「あの細い色鮮やかな線、それに、あの様に素晴らしい透かしは久しぶりに見たのぅ」

満足そうで何より。

やっぱり、ヴラドの笑顔はいいなぁ。






ヴラドは、街並をジロジロと見ている。

知識共有で知っているのと、実際で見るのとでは、やはり違和感があるのだろう。

「さっき、お主様が見ていた、あのマンション、高いのう……」

「10階建てだからね。

 ここら辺だと一番高い建物だよ。

 そういえば、ラパ・ヌイとか、イプセプスにはないの?」

「あるには、あるが、基礎から造るという事は無いのでのぅ。

 岩をくりぬいて補強するのが一般的じゃな。

 それか、最初から浮かべてしまうな」

「ああ、何だっけ……?浮遊城だっけ?」

「うむ。じゃが、概念としてはあるじゃろ?地球にも」

「そうだね。有名どころとしては、アニメで大空の城ラピュタっていうのがあるね。

 あとは、マルグリットという画家の描いたピレネーの城とか……」


はて?マンション?

何か、引っかかったぞ?

何か用事があったような……。

なんだっけ……?


「のう、お主様?」


あわてて、思考を停める。


「ん、何?」

「実はは少し、疑問に思ったのじゃが……」

「?」

珍しいな。

いつもなら、僕の心を覗いて答えを見つけそうなのに……

「人を、覗き魔の如く言うのは、ちと失礼ではないか?」

「はははは」

事実でしょーが。と言いかけてあわてて口をつぐむ。

「で、何?」

「うむ。少しな、気になっての」

「?」


「お主様は、その、吐くのが趣味じゃろ?」

「は?」


「いや、良くトイレに駆け込んで、吐いているようじゃしの?

 その、言いたくないなら、いいんじゃ。ワケはいい。

 心の病であるなら、妾には手出しできぬ領分じゃ……」


あー。それは、昨日、ヴラドに救われた部分です。

人喰いがきっかけでおこった、世間からの防御行動じゃないかなぁ、と自己診断ぐらいは、今では出切る程には回復しています。

あ、そうだ。

昨日の事に関しては、お礼も言ってなかったね。

ありがとう、って。


「ヴラド」

「なんじゃ?」

「昨日の事だけど、有難う。

 正直、凄く救われた気分だよ」



あ、ちょっとヴラドが赤面してる。

肌が白いから赤面するとすぐに判るなー。


「そ、それでじゃな。

 吐くのが趣味のお主様が、何故、そんなに太っているのか、疑問に思ったのじゃ。

 普通は、そんなに太らないのでな」

「あー。それね、以前は一日に4食と、おやつという食べ方してたからなんだ」

「では、やはり、旨い物を食べて、吐いた後に、更に旨い物を食べるのじゃな?」

「それ、何処のローマ貴族だよ」

「違うのかや……?」


「何で、そんな事を?」

「うむ。お主様と食事と言うからには、

 やはり、作法をある程度知っておこうと思っての……。

 孔雀の羽で、喉をコソぐるのじゃろ?

 それで、おえっ……と」

「いえ。やらなくていーです。」

「箸の使い方は、昨日、ある程度までは覚えたがの。

 作法までは気がまわらなんだ」

「んー。作法かー。

 僕達日本人には当たり前でも、ヴラドには非常識って事もありそうだしね。

 そこら辺を肴に、食べながら作法について話をしようか?」

「それでは、遅すぎるじゃろ、お主様。

 作法ができてないと笑われるのは、妾でなく主たる、お主様なのじゃぞ?

 妾は、その様な事でお主様が、笑われるのは我慢ならん」

「あー」

ヴラドをギュッとする。

「ちょ、ど、どうしたのじゃ」

「うん」

誰かに想われるってのが、嬉しすぎて。

本当に、この1週間は、夢のような1週間だ。


だから、欲が出てしまうんだ。

失いたくないって。



しばらく、ヴラドを抱いていると、無意識領域で、欲望と言う名の獣がムクムクと頭をもたげてくる。

ヴラドの体温、匂い、肌触りをもっと感じていたかったけど、歯止めが効かなくなるので身体を離す。






そうして、初めて、天下の往来で抱き合ってた事に気づく。


流石に、真っ昼間の駅前だ。

そこそこ、人通りがある。


周りの人々が訝しげに、僕を見ている。

うあああ、さ、流石にこれは恥ずかしい。

しかも、ずけずけ、ジロジロッて感じで見られてる……。




ヴラドも上気した顔をしている。

スイッチが入る前に、クールダウンしないと、青姦やら露出やらも気にしないとんでもない精神状態になりそうだ。


やばい、やばい。


ヴラドの手を引っ張り、場所を移動する。

どこかで食事にしよう。

時計を見る。

既に12時を半分ほど回っている。

2ヶ所ほど店を見てみたけど、人で混んでいた。






結局、食事は、少し時間をずらす事にした。

どうせ、デートなんだし、ゆっくりしたいしね。

先に、服を見に行こう。

さっきの魔法を見れば、大人ものでも着こなせそうだし、上手くすれば、ラパ・ヌイにファッションとして、売り込む事もできる。

それをどうにかして、通商条約とか、別の方向に話を持っていければ、問題も解決だ。


あ、でも、ファッションとか漫画といった文化はいけるかもしれない。

受け入れてもらえさえすれば、それは、滅ぼさない理由になるかも……。


「確かにの。この世界のファッションは、奇抜なもの、独特な物も多そうじゃ。

 ラパ・ヌイと違いのない物もあるが、全体的に地球の方が、ハイセンスな物が多そうじゃしの。服に関してはな」

「?」

「地球では、ファッションアーマーは売ってないであろ?」

「ビキニアーマーみたいな?」

「そういったの物も含むが……、

 んー。何といったら良いのか……」


「こんな感じの?」

僕は、幾つかの鎧を思い浮かべる。

運命/長き夜のヒロインの1人、アーサー王の鎧。カテゴリとして別けるなら、ドレスアーマーと呼ばれる物になるだろうか。

青を基調にしたドレスの上から身につける篭手、胴鎧、腰鎧などのパーツに分割できる鎧で、赤とか白、黒といったバリエーションも豊富だ。

バーサーカーという漫画から、キーキャラの骸骨騎士。骸骨を模したフルプレートアーマーだ。

765というゲーム会社から出たバルキリーの伝説というゲームのキャラ、バルキリー。

翼のついた兜、胸鎧、腰に丈の長い布を巻いただけのようなスカート。バルキリースタイルとして定着している鎧だ。

他にも、宇宙警察ギャバンの光沢質のある鎧や日本の戦国武将の鎧、兜なんかはどうだろう。


「おお!凄いのぅ。

 自衛隊が鎧を装備していなかったので、

 この世界は、それに関する技術がないのではないかと思ったのじゃが……」

「いや、現代戦においては、鎧というよりは、ピンポイントで身を守る物の方が重要なので……」

「むむ……」

僕の知識の中を色々と覗いているみたいだ。


「のう、地球の女性用鎧は、へそだしルックが多いのは、何故じゃ?

 高名なデザイナーでもおるのかの?」


「いえ。それは、世の男性の憧れです」

「鎧が壊れやすくて、裸になるのもかや?」


「世界法則[リアリティ]です」


「そ、そーかや……それは、嫌な法則じゃな……」


「エクセレント!素晴らしい世界法則[リアリティ]です」


「のう」

「ん?」

「バルキリーというのは、ワルキューレの事かや?」

「そう。ワルキューレの英語読み」

「ヴァルキュリャか。

 なつかしいの。ふふ」


「……」

何で北欧神話?

「懐かしいって、昔、何かあったの?」

好奇心に負けて聞く事にした。

「ああ、うむ。

 スルターンのハレムに何名か、いてな。

 良くいろいろと話を聞いていたのじゃ」

「え?」

「彼女達も、妾と同じ様に、不老での。

 スルターンの伝令として世界中に飛んでいったりしていたので、物知りでな」

「へー。そ−なんだ」むすっ

「ふふ。妬くでない」くすくす






ブティックという洒落た店なんて、駅前商店街にはないから、デパートの婦人服売り場へ。

多分、ゴスロリとかも無いだろう。


そんなこんなで、やって来ました。婦人服売り場。

当然、ヴラドの背丈に会うような物はありません。

本来なら、子供服売り場に行くのがベストです。


でも魔法があれば、縮小ができるようなので……。

え?


「むむむ」

「何か悩んでいるようだけど?」


マネキンを見て、唸ってます。


「うむ。魔法で縮小はできる……が、

 胸の部分のみというのは、デザインが狂う可能性があってのぅ。

 どうしたものか……」

「ラパ・ヌイでは、普通にやってる事じゃないの?」

「いや、逆じゃ。

 ラパ・ヌイでは、縮小ではなく、拡大が普通じゃ。

 胸などの一部を当人に合わせて、拡大する。

 そちらの方がデザインが狂う可能性も低くてのぅ」



マネキンには、今年の春物が着せられている。

紺色のレトロワンピースで、袖口やスカートのフリル部分が白い布地で作られた、上品そうに見える物だ。

残念ながら、僕には服に関する詳しい知識が無いので、ヴラドに似合うか、似合わないかぐらいしか、判らない。


紺色が、強すぎるような気がする。


「他のも見てみたら?」

思ったより、品揃えは、よさそう。

色々と、店内を見て歩く。



流石に、気恥ずかしい。

店員さんも、さっきから僕をちらちらと見ている。

うー。

そんなに強面ブサメンが婦人服売り場にいると、アレですか?


……


はい、そうですね。

アレです、アレ。

僕は、変態じゃないです。

本当です。

変質者じゃないんです。


一緒にいる娘は、男の娘で、ロリータじゃ、ありません。

ロリコンじゃないんです。


初めてのデートなんです。

楽しい思い出だけが欲しいんです。

だから、通報しないで下さい。

お願いです。


祈る。




「おお、これは凄いぞ、お主様!」

「う」

ヴラドが、何枚ものパンツを持ってくる。

短いのやら、紐みたいな物、透けてる物、流石に穴が空いているの物は無かった……良かった。

「あー、そうか、下着も欲しいよね。

 どれか気に入ったのはある?」


「これは、どうじゃ?」

ひもパンを見せる。

「うん、似合いそう」

「むー」

不満そうだ。何で?


「では、こっちは?」

ローレグだ。

「うわ、短かっ」どきどき


「うむ。こっちじゃな」

でも、男の娘に、ローレグとかひもパンって……。

まぁ、ヴラドのなら隠せるだろうけど……。


あ、いや結構、似合うかも……。


い、いかん。

静まれー。静まれー。






その後も色々と見てまわる。

でもやっぱり、僕は注目の的で。


ブサメンのデートがそんなにいけませんか?

ぐすん。


ああ、もう、いいや。

気にしない。

ヴラドと、いちゃいちゃする。

それで、気を晴らす。反らす。






事件は、そんな時におこった。



色々と、試着室に入り、試しているヴラド。

僕は荷物持ちとして、外で待機。


ヴラドに似合いそうな、浅黄色のキュロットと、群青の巻きスカート、

黒に白のラインのノースリーブ、ブラウスに赤ネクタイも捨てがたい。

レギンスなんかも似合いそうだなぁ。

結局、最初のワンピースも持ってきている。


どの服も、ヴラドの体型には合わない。

胸はぶかぶかだし、サイズは大きい。

服装の一部のみの縮小は難しいと、ヴラドは言っていた。

その時点で、本来なら、子供服売り場に行くべきなのだが、僕の趣味で、こっちの婦人服にした。

せっかくのデートなら、子供服より、婦人服の方が……という単純な理由なのだが……。


でも、もう1つあった。

デザインで考えると婦人服の方が面白い物が多い。

色々と組み合わせると良さそうな物が多く、アレもコレも……となる。

選択の自由という楽しみ方だ。


次は、ヴラドに何を着せようかなー。




「ちょっと、そこの貴方」

僕に声が掛かる。

近頃は、ほんとに珍しい事が多いな。

女性と話した事も殆ど無い僕が、人から好きと言われたり、その、初体験したり……。

やはり、モテ期か?

モテ期なのか?

だとしたら、いつまで、この幸運は続くんだ?

3人と別れたくない。

一緒にいたいんだ。



「ちょっと、そこの貴方」


ああ、でも、どうしよう。

ハーレム作るって言ったら、きっと月見里さん、僕を刺すよね?ナイスボート!

戸隠さんは、どうするだろう?

あー。復讐の義務が発生するって言ってたっけ……?


ん?

んん?

何か、引っ掛かりが、あった。

異世界……。

ラパ・ヌイは、地球とは違う別の世界。

地球とは違う世界法則が支配する……。



「ちょっと、聞いていますか?」


一昨日の、戦い。

エンゲル・パトリオットへの月見里さんの変身。

スルーしていたけど、あれって、地球では到底不可能な出来事だよな。

そうだ、最初から、戸隠さんも言っていた。

世界法則[リアリティ]って……。



「ちょっと、貴方!!」


うるさいな。

考えが中断されたので、顔をあげる。


「はい?僕ですか?

 な、何でしょう?」


目の前には、40代ぐらいのクリーム色のスーツを着た女性と50代ぐらいの初老の男性がいた。

どうやら、怒っているらしい。

というか、かなり高圧的な感じのする話し方だ。

ふぅ。

僕の場合、人間関係は険悪な所からスタートする事が多いなぁ……。


「こちらが、呼んでいるのに、無視するとは、どういう……」

話が、途中で止まる。

そこから、ジッと僕の額を見る。

「あ、あの……何か?」




僕の、心のざわめきを感じ取ったらしい。

ヴラドが動いた。

「お主様?敵が現れたのかや?

 なにやら不穏な気配じゃが……」

試着室から顔を出す。


僕以外にもう1人いるとは思わなかったらしい。


2人はヴラドを見てキョトンとする。


回復が早いのは女性の方。


初老の男性は、ヴラドをじっと見てる。

ゴクッと喉を鳴らした。

何だろう。一瞬、ムカッとした。


女性は、僕の方を見返すと、本来の仕事に戻ったようだ。

「貴方達、何処の中学生?」

「は?」

「それに、あまり中学生のうちから、その様な奇抜なファッションは……」

ファッション?

何の事だ?

それにこの人達、いったい……?


あー。

もしかして、補導員とかいう、ボランティアな人々かな?

同じ様な形の青いベスト、帽子を着ている。

ああ、補導員と書かれた腕章をしてる。

間違いは無さそうだ。


「えーと、人違いではないでしょうか?

 僕達は現在、服を買おうとしているんですが……」

「学校の生徒手帳を見せなさい」

「は?」

今時でも、いるんだな。

こんな高圧的な補導員って。

「も、申し訳ありませんが、持ってないんですよ。

 それに、僕達は中学生ではないんです」

「はいはい、何処の中学?」

「出身中学ですか?」

一応、卒業した中学校の名前を教える。

「そんな遠くから?2駅、向こうじゃない!」

「はぁ」


「のぅ、お主様?この高圧的な人間は何じゃ?」

ヴラドが割り込む。

「補導員って人だと思う。まぁ、僕達には、ほとんど関係ないよ」

高校は義務教育じゃないし。


「関係ないですって!?」


何か、お気に召さなかったようだ。

何だろう、この人、さっきから1人で、ヒートアップしている。



「ところでの、お主様。この服、どうじゃ?」


浅黄色のキュロットに、黒地に白のラインのノースリーブ。

少し、この季節では肌寒いだろう格好だが……。

声がでない。

出す事ができない。

見蕩れているだけだが、心が繋がっている。


僕の賛美は伝わったようだ。

「そうか。ふふ。

 そこまで褒められると、照れるのぅ」

これに、黒のストッキングに、ポンチョとか、ベスト辺りを着れば完璧だ。


「ふむ。ならば、お主様の見立てに従って、それでいこうかの」

「え?いや、ヴラドの気に入った物でもいいんじゃ……」

「お主様は、結構センスあると思うぞえ?

 それにの、見てもらいたい殿方は1人だけじゃ。

 愛しの君が完璧とまで押した格好じゃ。

 妾に異存なぞ、あるわけが無かろ?」

「あはは」てれ



「ちょっと、貴方達!」

補導員な女性が、無視されたのが気に喰わないのか、自分に注意を向けようとしている。


「中学生なのに、サングラスなんて止めなさい!

 それに、その頭、パーマはいけないって、校則にも書いてあるでしょう?

 そっちの子は、染めているし……」

反論は許さない、的な雰囲気だ。


「その顔の傷だって!

 自分でカッコいいとか思っているんでしょうが、

 そんなシールを張ってもカッコ良くありません。

 はがしなさい」


あー。

何気に人が傷つく事をポンポンと言う人だなぁ。

あまり、他人の事は言えないけど、なんだか、安っぽい正義感に突き動かされているような人だ。

はぁ。

世の中の人、全員がストレートヘアってワケじゃないんです。

元々、少しウェーブがかかったぐらいの天然パーマだったんだけど、事故で燃えて、髪質がかわってしまい、今みたいな癖毛になった。

……と言っても信じてくれないだろうし。

色覚補正眼鏡の事も、まともに説明しても無理っぽそうだ。

実際、度の入ったサングラスって言われて終わりなんだろうなぁ。





「じゃあ、今度、これね?ヴラド」

紺色のワンピースを渡す。

色合いが少しきついと思ったものだが、形は悪くない。

むしろ、似合ってる。

問題が、色だけなら、後で魔法を使って、色を変更できるんじゃないかと思って持ってきたのだ。

それで、正解だったらしい。

ヴラドも、そこは判った様で、確かに浅い色にすればあうのぅ……と笑いながらカーテンを閉める。




さて、今度は補導員さんの番だ。


うぉっ

増えてるっ。


2人 → 6人って感じ。

追加は女性3人、男性1人だ。


「少し向こうで話をしましょう」

微笑みながら、そっと肩に手を置き、移動しようとする。

「あー。申し訳ないのですが、今、愛人とデート中なんです」

恋人は戸隠さんだし。

月見里さんは自称、奴隷なので。

流石に、ヴラドの自称、セックスフレンドは不味いだろう。

うわ!これ、戸隠さん、月見里さんの2人に言ったら、殺されそうだ。


「えーと、彼女は、日本の事に慣れていませんので、この場所を離れるわけにはいきません。

 見ての通り、服を試着している最中です……ので」


こういったのは、怒った方が負ける。基本的に。

冷静に対処しよう。

メンドクサイなぁ。


「ところで、いったい、何の用でしょうか?

 先ほども言ったとおり、僕は中学生ではありません。

 そ、それに、この眼鏡はサングラスではありません」

「はぁ?何を言っているの?」

「あと、僕の髪の毛についても、言及していたようですけど、誰しもが皆、ストレートヘアではありません。

 僕の場合、ストレートにする為に、校則で禁じられているパーマをかける事になってしまいます」


さっきのヴラドの言葉が蘇る。

形骸化したルールかぁ。

確かに、この国には多すぎる。

憲法からして、すでに形骸化しているような気がする。


「傷についても、ファッションだと言っていましたが、違います」


「あーいえば、こう言う!最近の子は!!

 じゃあ、その額の文字は何ですか!?」

「?」

「額に書いてある文字です!」

額に文字?

何言ってるんだ?


そういえば、駅についてから、こっち、歩いてる人が皆、僕を見ていた……。

ヴラドを羨ましがっているんだと思っていたけど……。





シャッ

試着室の中に、顔を突っ込む。

中には、着替え途中のヴラドと、正面、その奥に姿見がある。


じー。


目を凝らして、自分の顔を見る。



額に“浮気者”とマジックで書かれている。


ご丁寧に鏡に映ると読める様に、左右反転文字にして。


「ヴラド?」


「な、何かの?お主様?」


「これは?」


「さ、さて?地球のファッションじゃろう?

 わ、妾ではちと判らぬのぅ」


ワンピースに着替え中のヴラドは、半裸状態だ。

先程買った下着をヴラドは履いており、それだけで充分に、僕の心と肉体は臨戦態勢に入ってしまう。




「あとで、お仕置きね。激しく」




顔を引っ込める。

どうりで、町行く人々が、僕の顔を凝視していくわけだ。



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