そうだ。買い物に行こう
「市場へと向かうのじゃ」
「えっと……コンビニで良い?」
「なんじゃ?それは」
「百聞は一見にしかず。行ってみよう」
近くに無いけどね。
あー。
でもその前に。
「服を着よう」
「んむ?」
特殊能力【不老】によって、時間を止められたヴラドの身体は、二次性徴の始まる寸前の、少女の様な身体の丸みと、少年のようなしなやかさを併せ持った美術品の様な美しさを持っている。
ただ、そんな美しい体の一部に、僕の醜い火傷の肌が雑ざっている。
丁度、左脇腹の辺りと、左上腕部だ。
ヴラドも、一番醜い肌と交換する必要ないのに。
真珠の肌に、赤黒いケロイド状の肌……。
なんとも、やるせない。
「ふふ。
妾が良いと言うたのじゃ。
お主様も気にするな」
ヴラドの顔が近づいてくる。
軽く、口付けを交わすと、首筋に舌を這わせる。
「少しばかり血を貰うぞ?」
「別にいいけど?」
首筋にちくりと痛みが走る。
何かが、自分の中から吸い取られ、ヴラドから入ってくる感じ。
快楽中枢が刺激され、昨日の情事が思い出される。
まずい。
ヴラドが近づいただけで、この反応……。
いつになったら、満足するんだ?
この身体は……。
底なしだ。
ここは我慢だ。
意識を他のところに持っていこう。
「ところで、何で吸血鬼って血を吸うの?」
「んむ?」れろ
僕の首筋から、口を離して、傷口を舐める。
「そうじゃな」
しばらく考えると
「趣味、食料、本能、催眠暗示、愛情表現、特殊能力発動、何となく、など色々じゃな」
「人によって違うの?」
「いや、時と場合によって違う」
「例えば、今のは?」
「うむ。今の場合はのぅ……
愛情表現と、食料と、趣味と、呪法の強化の4つじゃ」
「前3つは置いといて、最後の呪法の強化って?」
「呪法【純潔の誓い】があまり効果を発揮していないようなのでな……」
「えー?充分、心を覗かれているような気がするよ?」
「そっちではなくてのぅ。
魔法を何とかして使えるようにしたいんじゃが……
難しいのぅ」
「あははは、焦っても仕方が無いよ。
今は買い物でしょ?」
「うむ……そう、そうじゃな……」
僕にもたれるように、身体を預けてくる。
心なしか、吐息が熱い。
多分、ヴラドも僕と同じ状態に成り掛けてるんだろう。
今、抱いたら、また、きっと1日中、やりまくってしまう。絶対。
えーと、えーと。
そうだ。
買い物に行くんだった。
「ところで、ヴラド」
「なんじゃ?」
「ヴラドの服って、昨日のだけ?」
「アレ以外は下着じゃ」
「そうか、じゃあ、アレは洗濯して……
ヴラド、ちょっと質問なんだけど?」
「ん?」
凄いです。
魔法、マジ便利。
僕のトレーナーが、ヴラドの身体にぴったりフィット!
僕のズボンが、ヴラドの身体にぴったりフィット!
僕の下着が、以下略。
僕の貸した服を魔法で簡単に手直しするヴラド。
「凄い。魔法ぱねぇ」
「この他にも、羊の毛を刈り取る魔法、口の中を綺麗にする魔法、髪の毛の形を整える魔法など色々あってな、店先でスクロールが売っておる。
有名デザイナーの魔法は、それなりに人気商品じゃぞ?」
「ヴラドのも何かあるの?」
「ん、まあ、の?」
何か言いづらそうだな
「いや、トイレの臭いを消す魔法というのが馬鹿売れしとってのぅ。
妾も、トイレで用を足した後、お尻を水で綺麗にする魔法というのを考えて売り込んでみたんじゃ」
「何て名前?」
「魔法【アスウォッシング】」
「あー。ウォシュレットみたいな物かな?」
「……。
あー。その概念、まさにそれじゃ。
そうか、地球にはあるのかや。
お尻を洗うのは……」
「それで?」
「売れんかったのぅ」
「何で?」
「判らぬ」
「こっちだと、ほとんどの家で、スタンダード化してるのにね。使ってみる?」
「よいのか?」
「どうぞ」
ヴラドを離れのトイレに案内し、使い方を説明する。
「心ゆくまで、ごゆっくり」
パタン
扉を閉める。
お
おおお
おおおおおおおお
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
ばたん!!
ドアが開けられる。
「お主様!」
「?」
「この魔法具を売って欲しいのじゃ!」
「無理」
「では、買って欲しいのじゃが!」
「高い」
「むぅ」
「感想は?どんな感じだった?」
「うむ。妾の魔法の至らなさが、痛感できた!」
「そうなの?
いったい、どんな魔法なの?」
「うむ。魔法【アスウォッシング】発動」
ヴラドの右手、中指からちょろちょろと水が出る。
「これで、尻を拭くんじゃ」
「あー。そりゃ、売れんわー」
トイレ騒動も落着いたので、出かける準備の続きに入る。
しかし、何というか、ヴラドには僕が着る様な、野暮ったい服は似合わないなぁ。
黒とかゴスロリとか、派手なのが良いかもね。
さて、コンビニといっても、こんな田舎には近所のコンビニなんて存在しない。
一番近いコンビニは、駅前の商店だ。
往復で、40分は確実に掛かるだろう。
結局、いつものように学校に登校する道を、自転車で向かう事になる。
「あー。ヴラド、その髪を縛ってもらって良い?
自転車に乗る時に、車輪やチェーンに巻き込むかもしれないから」
「ふむ、では、よろしく頼む」
僕に背を向けて、髪の毛を差し出す。
僕にやれ、という事らしい。
「ん」
実は満更、悪い気分じゃない。
戸隠さんの髪もボリュームあるけど、ヴラドの髪の毛は別格だ。
腰よりも長い銀髪のうち、紅い組紐で括ってあった部分を3つ編みにする。
「で、何を入手したいの?」
「まずはライターじゃ。
魔法の小道具に良いのでな」
「?」
「変成魔法のファイヤーボールに丁度良くての。
ライターの火を変成して、敵にぶつける簡単な仕事じゃ」
それなら、家にあったかな?
「次にリボルバー」
「本物じゃなくて、モデルガンで良いよね?」
「お主様に似合う、格好良い物なら、何でも良い」
「あははは、この世に存在しないよ」
「卑屈じゃのう。
妾を何回も啼かしたマグナムを持っておるくせに」
「それはそれ、これはこれ……
でも、おもちゃ屋は、ここら辺にはないなぁ」
「携帯電話」
「向こうでは使えないよ?」
「構わん」
「カラマーチョとキノコの丘」
「それ、お菓子だよね?」
「欲しいんじゃ」
「どっちか1つにs」
「欲しいんじゃ」
「じゃあ、僕がカラマーチョ、ヴラドがキノコの丘ね」
「タケノコも捨てがたいの……」
「×」
「牛1頭」
「無理」
「豚3頭」
「無理」
「困ったのぅ。
魔法の肉では、納得させるのは難しいぞ」
「えーと。何なの?」
「向こうの異界門[ゲイト]に門番を置いておる。
そいつに食い物をやらねばならん。
機嫌を損ねるとやっかいでな」
「うーん判った。じゃあ、なんt」
「タケノコの村も欲しいのぅ……」
「ダメ」
うーん。困った。
流石に肉は厳しい。
祖父が居るならば、下手をすると猪肉ぐらいは、入手可能かもしれないが、あいにくと昨日から家に帰ってきていない。
どこに行ってるんだろう?
まぁ、ボケてるわけでないし、下手すると僕より頑丈な人だから、山奥で熊と格闘しているのかもしれない。
後で聞いたところ、魔法の肉とは、普通の肉を変成魔法で増量した物で、地球でいう合成肉みたいな感覚なんだとか。
味については、魔法の味がする……らしい。
冒険者の携帯食料、庶民の一般的な食料として、流通しており、割とポピュラーな食材との事。
「普通の肉を、捌いて喰えば良いのに」
「一から育てるのが面倒じゃろ?
誰もが魔法肉で安く上げようとする。
自然品は高級じゃ」
なんだか、普通のファンタジー世界かと思っていたら、色々とおかしいぞ。その世界。
「ラパ・ヌイで買うのはダメなの?」
「実はの、こっちの世界の旨そうな物を持って来る、という約束なのじゃ」
「むむむ……肉で無いとダメなの?」
「ダメという事ではないが、嗜好がの」
「嗜好?」
「ほら良くあるじゃろ。
目で食べる……とかが。
それと同じ理屈で、頭、口、腹の3箇所で食いたい物を決定するとしようぞ。
予算はそうじゃな。500……円? (単位コレでよいかの?)で」
「うん」
「頭では、栄養を、バランス良い食事を考えながら……
口では、好きなもの、旨い物を望み、腹は取り合えず、いっぱい食えればよい」
「ふむ」
「門番というのが、下半身は竜、上半身は獅子、頭の中身は人間の子供じゃ。
さて、何を好むと思う?」
「え?」
「ドラコニーという合成生物[キメラ]でな。
実際の所は、獣人兵[テリアントローペ]と一緒なのじゃが、出身世界が違うので合成生物[キメラ]などといわれておる」
「竜は確か、胃袋で全ての物を、魔力素に変えてしまうんだっけ?」
「そうじゃ。
だから、量さえあれば良い」
「竜も獅子も子供も納得する食べ物。
それで肉が欲しいわけか……」
「タケノコの村も欲しいがの」
あえてスルー。
「取り合えず出かけようか、ヴラド。
何か妙案が浮かぶかもしれない」
「うう……スルーかえ?
放置プレイとは切ないのぅ」
時計を見る。昼の12時前だ。
「もう、こんな時間だ……。
昼御飯をどっかで取ろうと思うんだけど……」
んー。
すぐに考え付く。
というか、これしか選択肢が無い。
「じゃあ、2駅先の、学校のある方の駅まで行こう。
そうすれば、駅前に商店街があるし、色々と欲しい物が手に入るかもしれない」
「タケノコの村も欲しいがの」
「判った……。
ヴラドには昨日だけで、どれぐらい世話になったか……。
それを思えば……」
「良い心がけじゃ。お主様。
釣った魚には、餌をやらねば死んでしまうぞえ?
ハーレムを長引かせるコツじゃ」
「そーなの?」
「妾を誰と思うておる?
ハレムの事なら誰よりも詳しいぞ?」
「あはは。
そういえば、そうだったね。
スルターンの愛人だもんね」
うう。ちょっと嫉妬。
そうして、僕達は町へと出る事にした。
車庫から、自転車を出し、ヴラドは後ろに乗ってもらう。
「これが、自転車かや。
馬とは違って、なかなか乗り心地が良いのぅ。
それに道も不思議じゃな、黒い石畳とは」
「ラパ・ヌイとかでは、どーなの?」
「石畳か、土じゃな。
雨が降って地面がぬかるんだら、魔法で治せば良いのでの」
「逆に凄いよ。それは。
自然のままの状態にしておくのは、土の為にも良いしね」
「そうかのぅ……?
雨が降れば、魔法で濡れぬ。
北風が吹けば、魔法でそよぐ。
旱魃ともなれば、魔法で雨を降らせる。
良き世界じゃ。
しかしの、万物構成物質[マナ]が足りないからといって、人を間引き、自然を壊し、あげく、他の世界を侵略じゃ」
「そーなの?」
「うむ。
死んだ人間は魔法で蘇生すれば良い。
壊れた自然は魔法で治せば良い。
万物構成物質[マナ]がないなら、侵略すれば良い。
……ふぅ。
正直に言うと、幾らなんでも行き過ぎじゃと思う。これは。」
ラパ・ヌイという世界が恐ろしくなってきた。
きっと、二言目には「魔法で~」となるんだろう。
「まぁ、妾が言っておるのは極論じゃが、国の中枢、権力者は概ね、こんな感じじゃ。
都会は、この考え方が中心となってはいるの。
田舎は想像通りじゃ。安心せい」
そーなのかー。
川沿いの土手を自転車で走る。
今年は桜が遅咲きで、日曜日ぐらいがピークらしい。
もしかして、観測史上初めてじゃないのか?
ここまでの遅咲きは。
2次元の世界には、万年枯れる事の無い、桜の花を咲かせる木があるけど……。
花見かぁ。そういえば一回も僕はやった事無いんだよな。
新田や武居、戸隠さんに月見里さん、ヴラドと裏の山で、花見をやりたいなぁ。
その為にも、この4日間で何とか、侵略を食い止めないと……。
交渉用の材料が、もう少し欲しいな。
所詮、知識だけでは、教えたら終わりだ。
後が無い。
一番良いのは不可侵条約の締結だ。
何もせずに、そのまま次元回廊[コレダー]を閉じて帰ってくれるのが、僕としては最高の状態だけど。
どうやって、日本のお偉いさんを、説得すれば良いんだ?
僕が勝手に日本国代表です、みたいな顔してやっちゃって良いのか?
「なに、深く考えなくても良い。
お主様が失敗すれば、国家が動こう。
それまでは、お主様が勝手に特命全権大使とでも言っておけば良い」
「色々とまずい気がするよ。それは」
「ふふ。昔のぅ、アーラムという異世界があった。
妾が出会ったオークの少年は、非常に理知的でな。
“ルールというのは、守る事に意義があるのです。もし、緊急事態だからといって、僕が国家代表になったら、以後も前例となって皆が同じ事をしてしまうでしょう”
そういってな。国家代表になるのを拒んで、騎士団へと早馬を飛ばした。
異世界から侵略者が来た……とな」
今の僕と同じ状況!!
ごくっ
「結果として、騎士団は来ず、オークの少年は殺された。
子供の戯言では、軍は動かぬよ。
騎士団が動き出したのは、次元回廊[コレダー]が占拠され、前線基地である浮遊城が到着してからじゃ。
その頃には、前線のリビンクフォートレスが、かなりの町や村を落としておってな」
「あ」
「さて、お主様?
この戦を、もっとも有利に運ぶには?」
「次元回廊[コレダー]の確保……」
「そういう事じゃ。
確かにルールは必要じゃ。
じゃが、形骸化したルールで、自らを縛るほど醜悪なものはない。
それのみに捕らわれると、時間を失うぞ。
この3日、いや、2日が勝負じゃ」
駅前ロータリー近くの駐輪場に自転車を止めると、僕達は駅へと向かう。
田舎の駅前には、コンビニのような店と自転車屋、服屋兼クリーニング店があるだけだ。
やはり、ここでは買い物は無理だろう。
「お主様、お主様、」
「ん?何?」
「女子をエスコートするなら、せめて手ぐらいは繋ぐべきじゃな。
特に妾みたいに見目麗しい者と一緒なら、尚の事じゃ」
「そ、そうなんだ。御免」
「うむ。
そうやって妾を、お主様の愛人じゃと衆目に晒しておくのじゃ。
さすれば悪い虫も減るであろ?」
「おー凄い。
ヴラド、頭良いねー」
「ふふん。
暗君ハバネロも追加じゃな」
「仕方ないねー」
手と手を繋ぐ。
そういえば、これってデートなんじゃ?
手を繋ぐなんて、初めての経験だ。
ちょっと気恥ずかしい。
昼の無人駅には、僕ら以外、誰一人としていなかった。
やっぱりこうして見ると、ヴラドは綺麗だなと思ってしまう。
何というか、月とすっぽんだな。
「じゃから、ネガティブになるのを止めるのじゃ」
「え?
あ、覗いてた?」
「心が繋がっておるのじゃ。
愛しの君が、何を考えているか知りたいと思うのは当然じゃろ?」
「あはは。
うかつな事が考えられない……」
「その内に隠し方ぐらいは覚えるじゃろ。
それよりも、美女3人を愛そうという男が、そんな小さい事でどうするのじゃ?」
「面目ない」
「あー。なんじゃな。
庇護欲を煽るというのも1つの手か……」
「この顔で?」
「少なくとも、この世で3人、それに引っかかる者がおるぞ?
それでは不満かや?」
「あ……ううん。充分すぎる」
ふるふる
「そうだね。
ここ1週間で信じられない事が在り過ぎて、人に好意を向けられる事に慣れてないから、ちょっと怖くなってるんだと思う。
失うのが」
「それで、ハーレムに行き着くのも何じゃな」
「いや、だって、子供みたいだってのは判ってるんだけど……」
「ところで、知っておるかや?」
「うん?」
「妾の知ってるハレムと、お主様の考えているハーレムは似て非なるものじゃ」
「え?そうなの?」
「ハレムとは、簡単に言うと……んー。
大奥みたいなモノという認識で良いんじゃろうか?」
「日本の、江戸時代の?」
「お主様の知識じゃからの……
多分、それで良いじゃろう。
多少の御幣はあるがの」
「そうなのか」
「でじゃ、お主様のしたい事は、下世話な言い方じゃと、女を囲う事じゃ」
「あー、うん、確かに……」しゅん
「ふふ。お主様が望んだんじゃ。
仕方あるまい?
妾は囲いの鳥となるだけよ」
「え?」どきっ
「なに、気に入らなければ、飛び立つまでじゃ」
「ですよねー」はぁ
「さて、お主様?
女を囲うのに必要なのは、まずは金、愛情、ヤル気じゃ。
私見じゃがな」
か、金ですかー?
愛情とヤル気は何とか。
か、金か……。
「ところで、お主様。
カラマーチョの期間限定商品も出ておるという話じゃ。
金と愛情とヤル気を、見せ付けるチャンスじゃと思わんかえ?」
何だろう。
さっきからヴラドに手玉に取られるように。
いや、ヴラドの物欲に火がついてる気が……。
はぁ。
まぁ、いいや、少し楽しもう。
時間は有限だけど、放課後ぐらいに皆にも話して、次元回廊[コレダー]の確保に力を貸してもらおう。
それまでは……。
うん。
「ヴラド、服を買いに行こう。
もっと綺麗にしたいんだ」
「うぇ?
ど、どうしたのじゃ?急に」
「うん。ヴラドをもっと綺麗に着飾って、僕の愛人だって衆目に晒したい」
「あ……。
ふふ……その意気や良し!」
軽く口付けを交わしていると、電車が到着するアナウンスが始まった。
電車内はガラガラだったから、バカップルぶりを楽しんだ。
2駅目の、学校側の駅に到着してから、何故か注目を受けている気がする。
そうか、ヴラド効果か!
ちょっと目立って気恥ずかしいが、ココは少し度胸試しで、いちゃいちゃしよう。
駅を出ると、ロータリーがあり、反対側にデパートがある。
少し離れた所には、戸隠さんの家だった10階建てのマンションがあり、一昨日の爆発跡が残っている。
戸隠さん、どーしてるかなーと思った時、ヴラドと目が合った。
「あー」
「……」じろ
「カラマーチョの期間限定商品も買って帰ります」
「うむ」にこっ
「まずは食事にしよう」
「何処に入るのじゃ?」
「ヴラドは食べれない物、嫌いな食べ物とかはある?
ムスリムは、確か、豚は駄目なんだよね?」
「あー。
確かに、妾はイスラム教徒の国におったが、そこら辺は気にしないで良いぞ。
地球では、どうだか知らんしの。
そもそも妾の世界で、ムスリムが豚食御法度になったのは、豚を食べる度に、オークどもが暴れたからじゃ」
「え?」
「我が同胞を食すとは!許せん!断固、抗議する!……と言ってな」
「あ、あー。そうね、共食い……」
人間喰っただけで、鬼畜、外d……っと、まずい。
この思考は解除。
ネガティヴになる。
中国だっけか?
生きた猿の脳みそを美味というのは……。
そーいえば、なんかの短編小説で、生きたまま自分の脳みそを食べるのが、最高のグルメみたいなのがあったけど、どこで読んだんだっけ?
ん?美味と言えば、もう1つ、胎児の鍋物とかも話に聞いた事があったな。
じゃあ、やっぱり、最高の美味とは共喰いなんだろうか?
あ、僕、凄いグルメじゃん。
……
……はぁ。
「何か食べたい物ある?ヴラド」
「妾は、何でも良いぞぇ?」
「じゃあ、牛丼か、ラーメンか、ハンバーガーでも食べようか?」
「今、お主様、安く上げようと考えたじゃろ?」
「う」
「まぁ、判らんでもない。
父母の残した遺産をあまり使いたくないと言うのは、良く判る。
ふむ。では、貨幣を見せてみよ」
「別にいいけど、何に使うの?」
ヴラドに千円札を渡す。
「む……いや、これは」
「?」
「駄目じゃ。
魔法で作り出そうと思ったが、難しすぎる。
無理じゃ」
「いや、それ、犯罪だよ!!」
あー。
でもこれは、僕を思ってした事か……。
ちょっとケチすぎたか?
ヴラドは、地球のお金を持ってないんだし……。
取り合えず、天国にいるであろう、両親に謝ろう。
御免なさい。
父よ。
母よ。
無駄金を使わずに今まで来ましたが、好きな人一人、満足させれないようでは、この先ハーレムなど夢のまた夢。
使ったお金は、バイトしてでも返却しますんで、ココは1つ!
いいよーwww。
とそんな風に、言われた気がした。
凄いぞ、僕の心、良くできてる!
なんて都合の良い、両親。
さぁ、罪悪感も無くなったし、ヴラドと楽しもう!
危機感ないなぁ……僕。




