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世界の 法則が 乱れる!  作者: JR
第02話 忘れられない夜になる
28/169

開幕カウントダウン-もんじゃ焼きとゲロマニア3段活用-


シスターのコスプレをしている月見里さんは、凄く走りづらそうで……

それでも、裾を押さえ、はちきれんばかりの笑顔と胸で僕に向かって走ってくる。

「月見里さん、そのコスプレ似合ってr」

「コスプレじゃないっ!!」

ぶごわぁはっ

黄金の右腕が炸裂した。



はちきれんばかりのおぱーいが、ぷるんぷるん揺れる。

これが若さか……。



だけど、まだ続きがあった。

連撃っ!?


「粛清してやるっ!」


違う!

原作のウォン・リーさん曰く、そこは修正、修正ですからっ!!

粛清なんて、そんな恐い事、止めて!!




「ノンネ・ヒバリ?」

副助祭さんが、コホンと咳払いをする。

「あ、ブ、ブラジャー・アルトゥール」

「発音をキチンとしなさい。

 それでは、私は、女性の胸当てとなってしまいますよ?」

「あ、あはははー。え、えーと、メンヒ・アルトゥール」

「はい。良く出来ました」

「じゃ、じゃあ、私はコレでっ!ヤシr」

「お待ちなさい、ノンネ・ヒバリ」

「は、はいっ!」

「ふぅ。もう少し落ち着いて行動しなさい。

 貴女もパープストユーゲントの4期生筆頭となるのですから」

「あううう」

「情けない声を出さない」

「はいぃ……」

「いいですか?

 おはようございます、

 ありがとうございました、

 失礼します、

 すいませんでした、

 人間関係を円滑にする奇跡の言葉です」

「はいぃ……今日一日で、耳に蛸が出来るほど聴きました……」

「それでしたら、実践しなさい。ノンネ・ヒバリ」

「は、はい」

「さて、長い事、時雨さんをお待たせしては悪いですからね。

 ノンネ・ヒバリ、幸せですね?」

「はい、幸せです。神の名の下に」

「幸せは義務です」

「幸せは義務です。

 それでは、ブラザー・アルトゥール、少しヤシロと話してきます」

「ブラザーではなく、メンヒ。シスターではなく、ノンネです。

 門限までには帰ってくるように。明日は休みではありませんよ?」

「はいっ」




なかなか強烈なやり取りだった。

これは、あれか。

「ごきげんよう」「ごきげんよう」→「タイがまがっていてよ」な感じなのか?

いや、タイは曲がっていたら運命の出会いだ。

いやいや、話が変な方向に。

「変わったやり取りだね」

「起立、礼、着席と同じよ」

「ああ。そうなんだ」






今、僕は月見里さんと一緒に、さっきまで上がっていた道を下りている。

「1日ぶり。ヤシロ」

月見里さんは、チラッ、チラッと辺りを伺った後に、僕と手を組んだ。

ぎゅむっと、たわわに実った2つの果実が、僕の二の腕に押し当てられる。

「あ……うん……」てれっ

「でも、急にどうしたの?」

「あ、あー、その月見里さんに会いたくなって……」

「違う!」

「へ?」

「ひー、ばー、りーっ!ちゃんと名前で呼んで!御主人様っ」

「え?」

あ、あー。

昨日の話か……。

「ひ、雲雀?」

「はいっ。御主人様の忠実な奴隷、雲雀です」

「やっぱり、それシスターのコスプr」

ぐりっ

痛い痛い痛い痛いっ!

掴んでいた腕を、あらぬ方向に捻られる。

「物覚えの悪い御主人様で、す、ね―?」




「ねぇ、副助祭さんは、雲雀の事をシスターではなく、

 ノンネって言ってたけど、ここでは普段、独語を使っているの?」

「うん、体外的には、英語と日本語だけど、重要セクションとか、幾つかの書類、司祭さんの会話は独語が基準みたい。判んないけど」

「へぇ」

「でも。独語ってカッコいいよね」

「そうだね。色々と、くすぐるねー」

「そうだ。授業で、独語会話があるから、今度教えてあげようか?」

「うむ。大儀である。奴隷[スクラーヴェ]よ」

「むか。そーやってすぐに、知識をひけらかそうとするー!」

ぐりっ

いたたたたたっ

君はすぐに暴力に訴えようとするぅ!




「あ、そーだ。ヤシロ」

「ん?なに?」

涙目になりながら聞き返す。

「明日の夜、そっちの家に行くから」

「は?」

「行くから」

「何で?家に帰ればいーじゃん」

ぐりっ

痛たたたたっ!

掴まれている腕を、再び捻られる。

「物覚えの悪い御主人様で、す、ね―?」

「痛いっ」

「じゃ、行くから」

「わ、判ったから!痛いっ」

「うん。じゃあ、夜のサービス、いっぱいして上げるね?」

「いえ、結構でs」

ぐりっ

痛たたたたっ!

「ワーイ、ウレシイナ、タノシイナ」

駄目だ、この暴力装置を何とかしないと!

だが、

だが、しかしっ、この双丘を手放す事は、僕にはできないっ!






月見里さんは、再びチラッ、チラッと辺りを伺う。

「御主人様っ、こっち行こう!」

アスファルトの道から、石畳の小道へと僕を誘う。

「何があるの?」

「んー。ふ、ふ、ふ」

何、その笑い。






その先には、ちょっとした花壇と、ベンチなどの座れる場所があったが、雨上がりの為に座る事はできない。

道は、更に先に続いており、礼拝堂が見える。

周りは、木々が生い茂り、ちょっとした散歩コースとしては最適だ。

「ここらへんなら、見つからないからねー」

誰に?

「いやね、一応、宗教施設だから、男女に関する規制って結構、多いのよ。

 やれ、手をつなぐな、SEXするな、キス駄目、下着は教団指定の物を使用せよって、もう!」

「ああ、うん。当然だよね」

「御主人様も、そう思うんだー」

ぐりっ

「イエッ、オモイマセン!」




「月見里s……雲雀は、昨日、五十鈴さん達と一緒に帰って、あの後どうしたの?」

声を小さくして、耳元で囁く。

「うん、女狐の家によって、ちょっと手伝った後に、教団に連絡、爆破。

 私は、パトリオットの力で脱出。そんな感じ」

月見里さんは、ちょっとくすぐったそうな顔をして小声で答える。




「そういえば、ねぇ、女狐ってさ……」

「?」

「あいつって、どんな奴?」

「うーん。どんなって言っても、僕も詳しくはないんだ」

「恋人同士なのに?」

「あははは、そうだねぇ」はふぅ

「家に上がった事ないの?」

「付き合い始めて、まだ4日です……」

「もしかして、あいつ、友達とかいなかったりする?」

「あー。うん。多分、いない」

「んー……。じゃあ、言っといた方が良いかもしれないから、言っておくね」

「?」

「あいつの家にお邪魔したんだけど、家具なんて最低限の何もない、ガラーンとした室内だったから……」

「えーと」

「うんとね、新造人間エヴァンゲリオンの綾波の部屋とか、鈴宮八ルヒの憂鬱の長戸の部屋って言えば判る?」

「ああ、うん。典型的クーデレの部屋だね?」

「まぁ、そんな感じだったから……。

 一応、私物もあるにはあったけど、それは五十鈴さんに預けておいたから。

 そう、伝えておいて」

「私物?」

「うん……」

「何?」

「……うーん。どうしよう……。

 やはり、それは教えれないなぁ。

 知りたければ、自分で聞いてね?」

「えー。ここまで話しておいて?」

「乙女の秘密よ。

 それに、ココで教えないのは、敵に塩を送る事だもん。

 ヤシロがもっと深く付き合うようになったら、自然と判るよ」

「そっか……」

「今は女狐に借りがあるから、黙っておくけど……。

 あいつとは、フェアな状態でヤり合いたいから」

「すでに発想が漢だよね、雲雀も伊織も」

「――――!!」

「?」

「ちょっと待て!」

「何?」

「今、何て!?」

「既に発想が……」

うんうんと頷く月見里さん。

「お、漢だよね……」

ごくり。

「雲雀も……、い、伊織も……」

「……名前で呼んでる」

「え?」

「名前で呼んでるぅ!!」びしぃっ

「え?いや、でも、雲雀って言う以上、彼女も名前で……」

「昨日は、戸隠さんって呼んでた!

 名前で呼ぶようなイベントがあったんだ!!」

「あ……」てれ

「きー!あの後、2人でしっぽりイベントか!」

「え、その、てへへ」

「……殴らせろ」

「ええっ、そんな御無体な」

「なーぐーらーせーろー!納得できん!」

「僕の方こそ、納得できないってばぁ!」

「男でしょ!嫉妬の一撃ぐらい、軽く受け入れなさい!」

「うわぁーん」



「くそぅ。

 一歩リードしたと思ったのに、すぐに挽回された。

 やるなぁ、女狐」

「僕は、結局殴られ損ですか?」

「ううん?私の心が平静になったよ?」

「うわ」

「まぁまぁ。後で、1発ヤらせて上げるからさぁ」

「何を?」

「ナニを」ぷぷぷ

うわぁ。

何で、僕の周りにはオヤジギャグを使う人が多いんだ。

はぁ



「あー。そういえば、エンゲル・パトリオットて何?」

「話題転換が無理矢理だねぇ」ぷぷ

「いいの!」

「じゃあ、のりましょ」

「はぁ」

「あれねー。何だろね?」

「判んないんだ……」

「む。少しぐらいは判るよ!それより、御主人様は、どう思うのよ?」

「うーん……。宇宙警察ギャバンのパクリ」

「そーだよねー。

 えーとね、ニューエルサレムの天国に住むチョージゲンセーメータイで、私の身体を借りてケンゲンして、正義の為に戦うんだって」

「へ、へぇ……」


誰の、何処の、何の為の、正義なんだろーねぇ……。

いや、その前に、その子供だましな設定は何だろう……。


「あ、それでね。昨日の功績として、パトリオットの位階[ランク]アップが決定しました!」

「ランクアップ?」

「なんと!大天使[エルツアンゲル]になりました!」わーぱちぱち

「どー凄いのか、判んない……」

「天使は、ペーペーの平社員。大天使は、その上」

「ふーん。その上は?」

「権天使→能天使→力天使→主天使→座天使→智天使→熾天使と言う感じ?」

「何で、疑問系?」

「いやー、暗記って苦手で」

「名前なんて初めて聞いた。

 そもそも、種類があるなんて……」

「女神天性[メガテン]シリーズに出てきた悪魔でしょーに」

「ん?ああ、そーいえば!

 横文字で言ってくれないと判んないよ」

「微妙にエンゲルって言いにくくてねー。なんでエンジェルじゃ駄目なのよ」

「うーん。独語を基準にしているからじゃないの?」


ひさしぶりに、月見里さんと話ができて、会話が弾む。


「僕は、偉い順番を知らなかったけど、さっきの話し振りからすると、あれだよね」

「?」

「ペーペーから、少しこなれたぺーぺーに?」

「いやいや、せめて現場リーダーって言ってよ」

「でも、出世しすぎると、人間やめちゃうよー?」


確か、メガテンシリーズの天使の絵が凄かった。


「ああ、そーだね、座天使なんて、燃える車輪って。火炎車かってーの」

「あはは、アレ想像した人は、絶対ラリッてるよね?」

「うん、想像した人は、イッてるわ。

 アレはかなりのヤクチュー。ヤバイよ」

「智天使がケルビムだっけ?

 ライオンや牛との合体怪獣みたいなの」

「うん」

「出世しすぎると、あんなのに変身するんだ。

 “顕現[アドヴェント]!!ケルビム・パトリオット!”って」

「それは、いやー!」

「脚が車輪で、獅子の顔とか、牛の顔がついて、そこらじゅうが目玉だらけの、宇宙警察?」

「ひー。かっこ悪すぎるぅ」

「きもっ」


「判った。私、今、判った」

悟りを得たようだ。

「何?」

「ルシファーが天界を裏切った理由。天使達が堕天した真実を……

 どんなに頑張っても、将来があんなんじゃあ、そりゃー……ねぇ?」

「天界ってのは、想像以上のブラック企業だねー」


そうだ。

もう、半年以上も前に失われた、僕の日常だ。

あの当時は、月見里さんさえ居れば、それで良かったんだ……。






「そういえば、ここは学校なの?

 エロゲみたいな、金持ち学校っぽい感じだけど」

「エロゲゆーな。

 大人向けの恋愛ゲームだ」

「時々、思うんだけど、月見里s……あ、いや、極めるのは止めて?

 ……雲雀は、凄く、あの手のゲームに寛容だよね」

「夢があって、いーじゃない。

 狙った獲物は必ず攻略!

 それに、全部、御主人様の家で仕入れた知識ですよー?」

「え?嘘。僕、月見里さんに、エロゲって触らせた事nっいたたたた」

「そんな事はいーから!」

「おかしいですよ!雲雀さんっ!」

「ウッソ君の物真似も良いから。

 第一、御主人様では、ショタ成分が足りません」

「うう」

「それで、さっきの話に戻すと、ここは学校じゃないよ」

「でも……」

「あ、うん。判ってるって」こほん


月見里さんは、もったいぶって咳をする。



「説明しよう!!」


あー、これがやりたかったのか。

ヤッターマソなんて、僕が生まれる前の作品だ。

良く知ってるというか、オタ気質というか。


月見里さんの説明によると、正確には高校ではなく、専門学校らしい。

ただ、高校卒業資格を所得できる授業カリキュラムを受ける事は可能だという。

本来は、教団の未来を担う人物育成のための神学科コースが主で、卒業後の進路に、教団の母体となる国家(どうやら、ニューエルサレム教団を国教として受け入れた国があるらしい!)や、企業に優先的に就職できるのがウリだとか。

第4期生では、上は19歳、下は月見里さんを含めた15歳の計30名が日々色々と学んでいるらしい。


「へー。何処の学校に進学したのかと思っていたけど、こんな所もあったんだね」

「うん、まぁ……」てれ

「どうしたの?」

「はは、実は私、その、どこも入学試験、受けて無くてさ……」

「ええっ!?」

「あの頃は、その、ちょっと、色々とヤる事あったし……」

「あ、そうなんだ」

あまり、この話題には、触れられたくないようだ。

普通に話し合えるようになったけど、やっぱり、以前とは違ってしまっていた。


僕は、月見里さんと、どうなりたいんだろう?

武居や、新田が言っていた二股という話があるが、僕は月見里さんと友達に戻りたいのか、恋人にしたいのか、自分でも判らない。

今の関係は、少し溝を感じるが、昔より遥かに心地よいというか、何かくすぐったい新鮮さに溢れている感じだ。




「ヤシロ、難しい顔してないで」

「あ」

「色々と悩んでいるみたいだけど、気にするな!」

「へ?」

「ヤシロは、自分の好きな様にやれば良いんだよ。

 大丈夫。それで、嫌われたら、私のところに来れば良い。

 いつでも慰めてあげるから」

「それ、端的に、早く戸隠さんに嫌われろって事だよね!?」

「勘だけは良くなって……

 お母さんは嬉しいやら、悲しいやら。よよよ……」

「ぼ、僕は御主人様。月見n……雲雀は僕の奴隷!」

「はいはい、御主人様はモテモテでちゅねー?」


他愛もない事を話しながら、花壇を過ぎ、礼拝堂へと至る道を歩く。






「この先の礼拝堂って何かあるの?」

「んん?何もないよー」

「え?」

「さっきも言ったように、ココだと逢引もままならないのよねー」

「は、はぁ」

「で、登場するのが、逢引に必要な個室」

「うぇ?」

「御主人様は、奴隷を躾けなくちゃ」

「はいぃ?」

「もちろん、性的な意味で」

月見里さんと再会して、以前と変わったのは、こういった性的な会話が入る様になった事か。

昨日からだけど、妙に積極的だ。



「好きでしょ?」

「え?」

「シスター服。萌えるもんね」

「う……うん」

「明日はメイドね」

流石に、僕の好みを把握しているだけはあるなぁ。

実は、アニメや特撮のコスプレは苦手だったりする。

どうしても、作品との違和感が拭えなくて、醒めてしまうというか、何というか。

どちらかというと、シスターやナース、メイドといった、元があっても想像の余地を入れる事のできる、安っぽい特殊な娯楽作品に出て来る様なコスプレが好きだ。

「え?近頃はアニメのコスプレAVもあるよ?知らなかった?」

うわ、心、読まれた!

「よ、良く判ったね。考えている事……」

「ふふん。伊達に八代時雨のパイオニアじゃないわ!」

「パラノイアの間違いでは?」

ぐりっ

「何か言った、御主人様?」

痛たたたたっ!

掴まれている腕を、捻られる。


「口は災いの元ですよ?御主人様」

「は、はいぃ」






つきました。礼拝堂。

辺りは、木々に囲まれ、林の中にひっそりと建っているという、非常に情緒溢れる日本人好みの景色です。

雨上がりの曇り空に何故かマッチしていて、良い雰囲気。

建築様式はゴシック風で、日本人が良く想像する典型的な礼拝堂です。

天高く鉛筆の芯の様な塔と白い壁。

アーチ型の窓にステンドグラス。

ただ1つ、屋根の上の十字架が、薔薇の輪の中の鈎十字。




「そういえば、この宗派って黙示録は終わったって言ってるんだっけ……」

だから、十字架に貼り付けにされた、染みったれた人間のついた十字架は1つも無いのか……。

それは、それで何か残念。

キリスト教とは決別した別物であると言いたいんだろう。きっと。


「最初に、それを教えられた時には、びっくりだったよー。私も」

「そうなの?」

「うん。えーとね、ほら、ローマ皇帝で近親相姦した、えーと、えーと、ほら、運命/EXに出て来る赤いの」

「あー。ネロね」

「そう、それ。そいつが、実は黙示録の獣なんだって。

 えーと、なんだっけ?

 ゲロマニアが数字解析すると獣になるんだって!

 やりまくりだね!」

「いや、多分、ゲロマニアじゃないと思う」

「じゃあ、何よ。もんじゃ焼き?」

「何で、もんじゃさ。全然関係ないよね?

 えーと、なんだっけ?」

「御主人様も、判んないのに否定だけはするー。

 良くないよ、否定から入るのは」

いや、そういう事では……。

「まずは、あるがまま全てを受け止めなさい」

「でも、ゲロマニアは絶対に違うよ……」

「むー」

頬を膨らませる月見里さん。

「いや、ふてくされても、しょうがないでしょ?」


しかし、何かを思いついたのか、指をフリフリ、月見里さんは逆襲に出る。

「御主人様は、最初に話す時に一旦考えてから、話さないと」

「はぁ?」

「ゲロマニアは違う、じゃあ正しい言葉は?

 ……知らない、じゃあ、何にも解決にならないじゃない!」

「うん」

「だから、御主人様が間違っている!」

「ええーっ!」

「キチンと、間違いを正す言葉を知ってから言わないと!」

「いや、まぁ、そうだけど……」

「斉藤さんも“言の葉というものはよく咀嚼し、吟味してから舌の上に乗せるように”って言ってたんだから!」

いや、それは、そっくりそのまま月見里さんにお返しします。

だいたい、むしゅくに剣心の斉藤の言葉を持ってこられても……。

「判った。ちょっと待って、専門家に聞くから」

オカルト関係だと思うから、ここら辺は、武居に聞くべきか。

『黙示録の獣がネロ皇帝って、何のゲロマニア?』メール送信っと




「ネロって確か1世紀ぐらいの人だっけ?

 じゃあ、ハルマゲドンは終わって、ミレニアムも終わったわけだ」

「うん、そーみたい。

 で、どっかにニューエルサレムって国があるみたいだよ?」

「そ−なの?」

「うん。だって、あの大聖堂の奥に、天国の扉っていうのが、あるんだけどね」

「うん」

「その奥に、すっごい仕掛けの立体映像があるんだよ!」

「どんなの?」

「ほら、昔、アニメで共産革命ウテナってのがあったでしょ」

「ああ、うん」

「アレに出て来る、空中階段って言えば判る?」

「あー、えーと。あれだよね。

 何の支えも無く、空中に螺旋階段が延々と続いている……

 建築強度的に不可能な造りの……」

「うん、それ!

 灰色の何もない空間に、そんな空中階段が、天井に向かって延々と続いている部屋があるのよ!」

「へー」

「しかも、遥か彼方に、光り輝くお城まで見えたら、アレだよね。

 これ、作った人、どんだけウテナが好きなんだよって……」

「あはは、決闘広場だ」

「絶対幸福黙示録って感じ」

「確かに」

「で、司祭様が言うわけよ。

 あれこそ我らが、ニューエルサレムって」

「何か、芝居がかってるね」

「あはは、舞台装置としては、しっかり作ってあるね」

「うーん天井辺りは立体映像で良いとしても、空中階段は凄いね。高さどれくらい?」

「それが、判んないから凄いんじゃない」

「ああ、そうか」

「周りの灰色の壁も曲者ね。継ぎ目が無いから、グルグルと動いているように、錯覚させるんだもん」

「へぇ」


めるめる

メール着信。早いな。

なになに?


『ゲロマニアじゃねー!

 お前は温泉オタクか!ニッチなAV好きか!

 聞きたいのは、ゲマトリアの事だろ。

 ヘブライ語数秘術って奴だ。

 簡単に説明すると文字に対応して数字化する。

 で、ネロを数値化すると666になる。それだけな話だな。

 異説もあるが、どうでも良いだろ?』


「だってさ。雲雀」

「へぇ、そんなAVもあるんだ……」

「そっちかい!」






「あー、そうそう、最初の話に戻るけど」

「何?」

「エンゲル・パトリオットの話」

「うん」

「私が使った天使の卵[エンゲルアイ]は、そこで創られたって話だよ」

「天使の卵[エンゲルアイ]?」

「うん。パトリオット召還の時に使った、金属筒、アレ」

「えーと、決闘広場で作られたって事?」

「うん」

「それは凄い。

 でも、流石に現代科学では、変身は無理だ。

 何かカラクリがあるよ」

少し僕は、声のトーンを落す。

「あの、やまn……雲雀、

 ココって麻薬を売ってたりとかしてないだろうね?

 あー。もしかして、ハーブとか売ってる?」

「ん?ハーブは売ってるよ。

 だけど、ヤシロの考えている様な脱法ドラッグじゃないから」

「そっかぁ、変身のカラクリは、集団幻覚の可能性を考慮したんだけど……。

 うーん、再び謎になったなぁ。

 集団幻覚以外考えられないけどなぁ」

「まぁ、脱法ドラッグの代わりに、ココは、結構おかしい授業があるよ」

「例えば?」

「爆弾解体とか、危険物取り扱いに毒物知識、武具指導、精神修練……」

「それ、神学科、関係あるの?」

「必須科目」

「うわぁ、どんな特殊部隊エリート育成コースだよ」

「あ、でもね、私、成績優秀だよ?」

「え?」

「私、成績優秀だよ?

 御主人様。ほめて?」

「嘘はいけません。

 雲雀、私は、貴女の主として、非常に悲しい」

「えー、嘘じゃないって!

 私、これでも中途の入学だったから、頑張ったんだもん!」

「そーですか」

「信じてないー!」

「信じれるわけがない」

「うー」

「貴方は、嘘をつきました」


「ついてないよ!」


「お仕置きが必要ですね?」


あれ?


「あ……。うん、じゃぁ……」かぁっ


しまった、もしかして、この雰囲気……。

アダルトな方向に話をもっていってしまったような気が……。

顔を真っ赤にした、月見里さんが、礼拝堂の扉を開ける。


ぎぃぃ……。



「お仕置き……して?御主人様……」



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