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世界の 法則が 乱れる!  作者: JR
第07話 非日常な常識と非常識な日常
100/169

言葉の暴力、ペンは剣より強し!みたいな?


目覚ましのメロディが鳴る。

ああ、今日は休みだ。

もう少し寝ていても良いかな?


ん?

違った。

今日は月曜日だ。

黄金週間も終わり、学校が再開する。


僕は、未だに黄金週間が始まったようにしか感じていない。

1週間も寝て過ごすなんて……

自業自得と判っていてもコレは辛い。

休みだと思っていたのが、休みではないと判った時の絶望感。

鬱になりそうだ。


とはいっても、僕の場合は学校に行くのは楽しみという、相反する感情がある。

学校で友達を作りたいとは思う、しかし、勉強なんてのはやりたくない。

思いがけず、恋人が出来たおかげでリア充の仲間入りを果たせたワケだが、本来の目標である“学校で友達を作る”をおろそかにするつもりは無い。

それでは遠くの高校に入った意味がなくなってしまう。



季節は晩春。

未だ僕には友達が2人しかできていない。

今月はオリエンテーション合宿、中間テストとやる事が多い。


頑張って友達を作るぞ!


気合を入れてベットから出ると、朝食準備の為に本宅の台所に移動する。

今までは、離れの台所を使っていたのだが、食事をする人数が増えたので、昨日からこちらを使う事にした。

電気代がかさみそうだ。


朝食後、すぐに学校に。

実は、僕達が出発するより先に雲雀とシスター・イルゼはニューエルサレムの学園へと出かけて行った。


雲雀も大変だなぁ。

僕はヴラドと冒険者2人に、後の事を頼むと伊織と2人学校へと出発する。

村はいつも以上に静かだった。






「おはよう」

「あっ!お、おはょぅ……」


廊下で同じクラスの男子とすれ違う。

キチンと朝の挨拶を行なう。

さわやか路線の基本だ。


たとえ強面ブサメンなデブでも、心までブサイクなつもりは無い。

だから、さわやか路線!!

いつもニコニコ這い寄る笑顔で。


伊織と一緒に来たかったんだけど、定時連絡をしないといけないという話で、トイレに行ってしまった。

さすがにトイレ前で待つのは恥ずかしかったので、僕は1人教室に入る。


「おはよう」

「ひっ……あ、おお、おはようございますっ」


先程の男子と同じ様な反応の茶髪女子。

うう、そんなに僕の顔、怖いかなぁ。

朝からブルーになるけど、いつも通り席につく。


久しぶりに学校に来たんだけど、感慨も何もなかった。




「あれー?行方不明のキチクン、おはよう」

「おおっ!メールを全然返してくれないキチーフじゃん、久しぶりっ」

さわやかスポ-ツメン・武居とイケメン探偵(見習い)・新田の登場だ。



「おはよう、新田、武居」


「朝っぱら面白い顔だな、キチーフ」

「皆ドン引きしてたよ、キチクン。

 サングラスどーしたのさ?」


「あー。

 それについては話す前に、先にメールの事に着いて謝罪するよ、ゴメン。

 携帯が壊れたんだ。

 だから買い換えてね」

僕は伊織から貰った、皇國代理天印のスマホモドキを取り出す。


「あれ?それ……」


そう言って、新田が自分の携帯らしき物を取り出す。

色違いの皇國代理天印スマホモドキだ。


「この前借りた奴と違うね?」


先々週の水曜日、雲雀VS伊織・2大怪獣大決闘のあった日だ。


「仕事用に使う物だよ」

「仕事?」


「あー、気にしないで良いから」

新田は、手をフリフリ、これ以上の詮索を止めさせる。


「なんだよ、コゴロー。

 キチーフとラブラブおそろいのスマホかよ~~」


―――えっ!?

教室のどっか、僕達とは関係ない所で何故か驚きの声が上がった。


「ラブラブって……」

「うらやましいかい?イッサ」ふふん

「う、うらやましくなんか無いんだからねっ!」

何でツンデレ風?


ざわ・・

   ざわ・・


少し教室がザワザワしている。

変な視線も感じるし。


―――三角関係……?

―――じゃあ戸隠さんは?フェイク?

―――イケメンとブサイクのBL……


いったいなんだろう?




僕は、新田と武居の番号を登録しなおすと、スマホモドキをしまう。


伊織、遅いなぁ。

どうしたんだろう?


「で、キチーフ、最初の質問だ」

「質問?」

「そうだよ~誤魔化そうとしたって騙されないよ?」


「「何でサングラスの代わりに眼帯なんだ?」」

ハモって言う2人。


あー。

それで視線がこっちに来てたのかなぁ?


確かにね。

左頬から額にかけての宇宙海賊みたいな傷跡と、つり目、四白眼。

そこに、いつものトレードマークのごっついサングラスがない。

そりゃ怖いだろう。


ごっついサングラス(正確には、近視と乱視矯正用眼鏡の上から、色盲用のレンズを別に被せる眼鏡でサングラスではないのだが、便宜上サングラスとしておこう)は、魔狼との戦いでレンズ様がお亡くなりになった。

乱視用のも、色付きの方も。

フレーム自体もヴラドとのデートで壊し、皇國代理天で魔改造され、最後はリベットで完全破壊。

うう、僕の眼鏡よ、安らかに眠れ。


そして義眼。

色々と遊び心が満載の、皇國代理天製型落ちサイバーアイ!

現在の地球の技術で作成可能な最高レベルのものらしいが、それでも凄い!

カラーだ!!

ぼやけない!

ピントを合わせるのに、ストレスを感じない程、フォーカスが早い!

もう、近視+乱視+色盲な、自分本来の目がかすんで見える。


しかも、困った事に両目を使うと、ピントが全然合わなくて、目が痛くなる。


そんなわけで、眼帯っ!

自分本来の目を封印っ!

悪の根源を絶つっ!


海賊な人達が使うような黒い眼帯を109が用意してくれた。

ただ、もう少し突っ込んで眼帯に、スカル&ボーンズ、俗に言うドクロマーク書いておけばよかったかな?

かっこいいかも。




「サングラスなんだけど……お亡くなりになりました」

「え?じゃあ……」

「その眼帯は……」


サングラスから眼帯に代わったわけを聞きたいのだろうが……

どう答えよう。

異世界に言って目玉が潰されて今再生中。

義眼の方が性能が良いから、邪魔な左目だけ見えない様にしている。

眼鏡が壊れたので。

趣味。

病気……。


病気でいくか。


「あー、実はこの年になって中二病を患いまして……

 これがなかなか治らなくて」


「え?」

「は?」


なんだろう……教室の皆が首を振っている気がする。

僕の被害妄想か?


「中二病かよ……

 確かに、そりゃヒデェ……」

「ええっ!?

 かかったら醜い傷痕を残す事になる、あ・の・恐ろしい病かいっ!?」

「しっ!!静かにっ!!

 こんな事が、お上にばれてみろ。

 一族郎党、打ち首だぞっ!」

「何て恐ろしい……

 じゃあ、キチクンは目からビームが出るようになったんだね?」

「うん、外道照身霊波光線なら……」


「くっ!

 これは中二病の他に、合併症も患っている!?」

「そんなっ!

 レトロウィルスによる感染だとっ……!」


「これは……カラコン治療しかないでしょう……」

「ああ、一刻を争う自体だ。

 もはや時間だけが勝負だ」


「って真面目な話、乱視とか近視とか大丈夫なのかよ」

「うん、前より調子良いよ」


「どれ見してみ?」


そう言って武居は僕の瞳を覗いてくる。



じー

じー


「何かアレだね、イッサ。

 キチクンとそうして見詰め合っていると、キスしているみたいだよ。

 きゃっ、いやん♪」

「「え?」」


ざわ・・

   ざわ・・


教室中がこっちをみてれぅ。

委員長とウェービーヘアさんがガン見してるのは別としても


―――本妻のいぬ間の逢瀬(おうせ)

―――え?戸隠さんはフェイク……?

―――新たな地平にいけそう、いえ、いっちゃうっ


ってなに?

「ちょっ、ちがっ!」

「そーゆーわけではっ!」


「あははは、判ってるよ~~イッサとの事は秘密なんでしょ~~?

 大丈夫だって、戸隠さんには言わないからさ」

「そーじゃねぇぇぇって!

 だいたい、自分から中二病を申告する中二病患者がいるかよ!」

ココにいます。


少し武居のテンションが上がったらしく、大声になった。

「ソレよりもキチーフ、休みの間に何があった?

 どう考えても普通じゃネーだろ!これは」

「え?」

新田も武居の声のトーンが変わったのに気がついた様だ。

さっきからジッと僕の目を見る武居。

どうやら武居には義眼とばれたらしい。


伊織の5世代ぐらい昔のアイテムって言ってたモンなぁ。

どうしよう?

本当の事を話して良い事なんだろうか?

魔狼の事も話す事になるしなぁ。



「いくらなんでも義眼はおかしいだろ?」

「え?ギガンって……」

新田もビックリ。


「ギガンって言うのはMS-13だよ」

「あはは、それはガッシャ、ギガンは12」


――――!!


馬鹿な!

僕のボケが返されたっ!?

企業戦士ガソダムMS博士(UCのみ)の名を欲しいままにする僕が……!

古今東西をやらせたら雲雀にも負けないのにっ!!


少し真面目な顔になって、新田が聞いてくる。

「冗談にして、この場を和ませようというのは判るけど、行方不明の後で義眼ってのは、何があったか気にはなるよ」

「おぅ、話せ。

 朝の笑い話のネタに話せ」

「それは酷いよイッサ。

 僕達はキチクンを助けたいんだ。

 その為にも話して欲しい。友達だろ?」


「新田……」

ホロリときちゃう。


「あーっと、まぁどこから話したら良い物か悩むんだけど……

 そう、大した事でh」

「ところでキチクン?

 基本的人権には知る権利というのがあってだね、その前ではプライバシーなんて意味は無い。

 そんな吹けば飛ぶ様な、日本国憲法にも明文規定されていない、個人に関する情報秘匿の権利について、どう思う?」


「は?」


「いやいや、僕はキチクンに、何があったかを知りたいだけさ。

 キチクンの心の安寧の為に話してごらんよ」


そういいつつ、デジカメを机の上に置く。


「良い映像が手に入ってね?」

「……」


なにこのデジャヴ。


「こ、個人情報保護法は……」

「あんな欠陥法は、知る権利の前には、何の役にも立たないよ?」

「う、こ、この義眼は……そ、その」


「あーじゃあ、キチクン、質問だけど」

「?」

「どこの組との抗争だったの?

 もしかして外国勢?在日?」

「え?」

何の話?


周りがざわめく。


ざわ・・

   ざわ・・


―――出入り?

―――近くの村の惨殺事件……

―――村でヤクザ同士の大規模抗争。

―――流れ弾が目に。

―――駅前の爆破も実は……情報隠蔽。






「魔狼に傷つけられたのだ」


新田や武居、ましてや僕でもない第3者の声がした。


「伊織……」


僕のところに恋人が歩いてくる。


「ああ、戸隠さん、おはよう」

「おっす、オラ武居」


「おはようございます」


「で、魔狼ってなに?」

「おぅ、それな!

 オカルト版で出ていたぞ!」


武居が遂に俺の時代到来か、とばかりに話し始める。


「魔狼ってぇのだな、アラスカに住むと言われているUMA、巨狼ワヒーラじゃねぇかって話だ。

 今回の事件を総合すると、それに全て一致するんだよ!!」


「な、何だって――――!!

 どういう事だ!!キバヤシ!!」


「えっ……?」

「なっ……!」


新田と武居の顔が驚きで強張っている。

そうだろう、そうだろう。

実は僕の顔もそうなっている。

いや、クラス中がキバヤシ発言をした人物を、驚きで見ている。


「ん?」

MMR(まんがまかふしぎれんらくもう)の名台詞をパロった人物、伊織は不思議そうに教室を見回す。


「失敗した?」

「うんにゃ。

 みんながビックリしているだけです」

「そう」





「いや驚いたぜ。何時の間にこんな芸当を覚えたんだ?」

「あははは、すごいねぇ」

「時雨が入院中に、色々と学習した」

「「入院……」」


あー。


ぶっちゃけ過ぎです、雲雀。

武居も新田も引いちゃってるし。





その後、すぐに先生が来て朝のHR、1時間目へと雪崩れ込んだ。

そして昼休憩のチャイムが鳴る ――――。


クラス内の生徒は三々五々、好きな様に動き始める。

ある者は、購買に食事を買いに走り出す。

ある者は、先生の目をかいくぐり、未だ見ぬ日替わり定食・御飯大盛り・おかわり自由を求めて校外へ脱出する。

ある者は、適当に空いている席で、弁当を食べる。


僕は伊織の両脚を、感覚同調・入力で無理矢理止める。

ふふ、トイレで御飯を済ませようして、ダッシュで教室から逃げ出そうとした様だが、そうはいかない。


「さぁ御飯にしよう、伊織」

「う、時雨……これは……」

(視姦プレイなのか?

 いささか以上に恥ずかしいのだが……)

心話で話しかけてくるだけ、まだ冷静みたいだ。

当然、視姦プレイですと答えておく。


「おうおう、熱いじゃねぇか、お二人さん。

 俺らも混ぜてもらうぜぇ~~」

「あははは、チンピラはチンピラの真似が旨いねぇ」

「本職だからな……

 って、なに言わせるだぁーーっ!

 赦さんっ!」

息の合ったコンビ、新田と武居が、机をあわせ始める。


「いいんちょーっ、オマケ女史~~今日も一緒に食べようよ。

 この2人が熱々で、冷却材が必要なんだよ」


新田が、髪の毛をお下げにした、如何にも、委員長な感じの眼鏡少女に声をかける。


「ふぇえ、そ、そ、その……

 いいの?

 コゴローくん?」

「おーけーおけー」

「バカスエには聞いてない」

「ヒデェな」


「えと、コゴローくん?」

「もちろんだよ、誘ったのはこっちだからね。

 はい、座って座って」

「あ、あと、それから私、委員長じゃn」

「オマケ女史も座って?」

「えーっと、新田はん、できれば名前で呼んでーな……

 いや、まぁ、えーけどなぁ。オマケで」


苦笑いを浮かべながら、波打つような髪に、触覚が生えた髪型の女性が寄ってくる。

よく偽・委員長とつるんでいるウェービーヘアさんだ。


伊織を中心に、左隣が僕、左前(僕の正面)が武居、正面に新田、右前が偽・委員長、右隣にウェービーヘアさんという順に座っている。

計6人のグループでの食事は大所帯の方だろう。


僕は伊織と自分の弁当を広げる。

「あれ?若頭、戸隠さんに弁当作ってきたんやなぁ?」

「え?うん」

「そやけど若頭、新田はんと武居はんの愛妻弁当は?」


愛妻ゆーな。


「今日は作ってないよ?

 ウェービーヘアさん」

「キチクンは恥ずかしがりやだから、イッサが頼まないと作ってくれないんだよ。オマケ女史」

「うわぁ、やっぱり名前で言うてやぁ、新田はん。

 まるでマヌケ女史みたいやん、若頭も変な渾名つけんと普通に呼んでやー」

「そういやウェービーヘアさんの名前、まだしっかりと覚えてなかった。

 えっと……」

「広瀬やって。そっちの方が短いやろ~~。

 まぁ若頭はしゃーないわなぁ。

 こんなべっぴんさんを、行き成り彼女にしてるんやし」




僕は伊織の前に弁当を置く。

(し、時雨……やはり恥ずかしいのだが……

 いくら管理人に見せ付ける為にやるのだとしても、やはり人前でこ、こんな破廉恥な行為は……!)


僕は心話で返す。

ダメです。

地球の生活になれないと、伊織の夢は夢のままです。

だから頑張って皆と食事をしましょう。


(くぅぅぅぅ~~)


ゴメン伊織。

一緒に食事をしたいだけなんだ。

皇國代理天も難儀な世界法則[リアリティ]というか常識だなぁ。


「「「いただきます」」」「板、抱きます」


僕達は食事を食べ始める。




「ところでオリエンテーション合宿どうするよ」

「休む」

「ダメです」

「いや、休むじゃなくて班分けな、戸隠」


「あははは。

 僕も休みたい」

「お前が休んだら不味いだろう、コゴロー。

 一応、委員長なんだし」

「あははは。

 大丈夫だよ、しっかりとした代わりが居るからね。

 頑張れ、委員長。

 未来は君の双肩にかかっている!」ぽん

「ふぇ?わたっ、いや、私はっ、そ、そn」


「そーじゃなくてよぉ」

「そうだねぇ。

 女性陣は20名だから5人1組で良いんだけど、男19人だから1班4人になるね。

 今週の木曜日までに班分けして、提出しないといけないから、後ろの黒板を使わせてもらおうかな」


「い、い、委員長も大変ですね……」

「あははは、委員長が委員長に大変って言っても仕方ないよ」

「ふぇぇ、私は委員長じゃ……」

「でもまぁ、仕方ないよね~~」


「班分けねぇ、若頭と武居はんと新田はんは、ラブラブトライアングルで決定なんやろ?」

「「「しません」」」



「―――ら、ラブラブトライアングル!!」

驚愕に目を開く伊織。

まるで復讐すべき仇であるかの様に、新田と武居を睨む。


「伊織、そんな事実はありません」

「あ、新しいハ、ハーレム……」よろ……


「事実無根です。

 それよりも僕は、貴女が世界で唯一の、ホモの嫌いな女性で嬉しいです、誇りに思います」

「ホモ……?

 人間のこと?」

「ホモサピエンスではありません。

 男性同士の恋愛の事です」

「……?

 いや、別に嫌いではない」

「あっ!そうなんですか!?」


横から声をはさむ偽・委員長。


「?」


「男性同士の恋愛だろう?

 それは、むしろ普通……性にこだわるのはおかしい。

 ココは差別はいけないと言う風習のはず」

「あー」

「そうですよね!

 そうですよね!!

 そうですよね!!!」

水を得た魚の様にマシンガントークに入り始める偽・委員長。


「戸隠さんは、普段から何も話さない方なので、どんな趣味カナとか色々と考えていたんですよ。でもよくよくお話を聞いていると、漫画が好きらしいという話でしたんで、話の合いそうな話題とかあると良いなって思ってたんです。ゲームとか小説は読まれるんですか?家に薄い本があるんですけど貸しましょうか?今朝MMR(まんがまかふしぎれんらくもう)のパロしてましたからナワヤ×キバヤシなんてどうです!?色々なシチュがありますよ。あ、もしかしてカップリングがダメですか?他のカップリングにしましょうか?戸隠さんが好きなカップリングを言ってくれれば持ってきますよ?好きなシチュは?誘い受けって好きなんですけど、どう思いますか?じゃA」

「ハイ、ストーップ、ひいてるやん」

「あ……」

真っ赤になって急に黙り込む偽・委員長。

何だろう、親近感が湧いたぞ。

僕の苦手ジャンルだけど。


「う。ん、漫画は好きだ、貸して貰えると嬉しい……

 アニメは……その、ライバルが貸してくれている」

「「「ライバル?」」」


怪訝そうに皆が聞く。


「ライバル受けですね!?」

偽・委員長は未だ帰ってこない。


取り合えず、僕は新しいカルト知識で頭がパンク寸前の、伊織に心話で解説する事にした。

苦手分野だけど。

薄い本、俗に言う個人出版の特定年齢未満購入禁止制限付き2次創作本の事だ。

大なり小なりのイベントで配布されるが、有名なのは年2回の有明で行われる大規模イベントだろう。


実は屋敷にはこの手の本は非常に少ない。

父ほどのオタクでありながら、イベントに参加していないという事はありえないと思うんだけど……

どこか別の場所に隠されているんだろうか?

む。

むむむ。

う~~ん、父の事を思う度に、何かが引っ掛かるんだよなぁ……なんだろう?





「偽・委員長の趣味は良いとしてさ」

「あははは、人それぞれさ」

「今朝の話に戻るけどよ、キチーフってずっと入院してたのかよ?」

「いぇーっす、じゃなかった、旅行してたよ、北海道に」

「うわぁっ若頭、しっぽりと旅行ですかぁ?うらやましいぃ」


「ん、メイド連れて婚前旅行」


「「「は?」」」

伊織が爆弾投下。


「メイド?」

「婚前旅行?」


「あー、もしかしてコレかな?

 戸隠さんに依頼された写真だけど」

「そう、証拠写真」

これこれといって新田が今朝のデジカメを見せる。


田園風景の中にメイド服姿の雲雀と、和服やセーラー姿の伊織がいる。

僕は作務衣を着ている。


「ん?そういえば……

 今朝、言ってた“良い映像”って……」

「ああ、これだよ?」

「……あ、ああ、そうなんだ。良かったよ」


ヴラドとの行為中の物か、五十鈴さんの胸にもたれてニマニマしている写真かと思った……助かった。


「あの、こ、この戸隠さんの隣にいるメイドさんって、やっぱりヤクザ付きのメイドさんなんですか?」

え?

ヤクザ付き?

偽・委員長が不穏当な発言をしている。


「ん、雲雀はメイド兼正妻」

「はぁ?メイドで正妻?ホンマか?

 正妻って正しい妻って書くアレやろ」

「ん」


「ちょっと待て、どういうこったキチーフ?」

「う、それは……」


「えっと……メイドさんと婚前旅行なんですか?」

「ん」


「あ、さっき言ってたライバルって……

 もしかして、ですか?」

「ん、雲雀はライバル」


「でもよ戸隠、お前は、それでいーのかよ?

 これって多分、親同士がきめた云々って言う話だろ?

 お前はキチーフの恋人なんだしよ……」

「そ、そ、その私も応援します!

 戸隠さん、どんな障害が会っても2人の仲を認めさせるんですよね?

 その、ヤクザの親分さんにも……」

「まさかキチクンに許嫁(いいなづけ)が居たとはねぇ。

 確かに大きな屋敷だったけど……」

「?」


何か話が変な方向に言っている様な……

なんだろう、この話題は変えた方が良い気がする。

今すぐにも。


「あの~~誤解があるようだかr」

だが僕の言葉は途中でさえぎられた。


許嫁(いいなづけ)……?

 認めるも何も、既に序列付けは成されている」


「え?序列付けって……」

「正妻は雲雀、恋人は私、愛人はヴラド、番外で桃子だ」

「「「「…………」」」」


「キチクン?」

「キチーフ?」

「さ、さすが若頭や……」

「ふ、ふふ、不潔、だと思います」


「弁明の機会を。

 釈明権の適用を望みます。

 僕は無実だ」

「ハーレムは事実」

「う」


これは、もしかして怒っているとか、ご機嫌がナナメってるとかだろうか?


「あははは、いや~~

 この前の痴話喧嘩が何処に落ち着くかと思っていたら……」

「俺、まだキチーフのハーレムメンバーを見た事、無いんだよな」

「さすが、若頭やね、リア獣」

「ん、リアルケダモノ」

「あー、なんか生々しい話だな」

「そーいえば、この前のツワリって……」

偽・委員長が伊織を見ながら耳元で話している。





「キチーフ、言いたくないなら別に構わんが、少し質問をさせてくれ」

あらたまって武居が聞いてきた。

少し小声になっているって事は、あまり昼の食事時にする話題ではないからだろうな。


僕も少し食事の手を止め、答える。

「なんだい?」

「とある匿名の掲示板で、お前の家の事が話題に上がっている」

「僕の家が?」

匿名掲示板……オカルト関係だとしたら、魔狼のことかな?


「ああ、お前の村での惨殺事件との絡みでだ」

「……」

「それで、まぁ、お前の事を色々と勘ぐろうって奴が現れるかもしれない」

ああ、ありそうだ。

「俺自身も少し知りたくはあるんだ。

 と言っても、さっきも言ったように、言いたくないなら構わない」

「どんな内容だい?」

「ああ、ちょっと言いづらいんだが……」

「?」

「さっきの話で、現実味がいっきに増しちまってな……」

義眼……やっぱり魔狼の事か。



「お前の彼女に、常に猫耳装備、語尾に“にゃん”付けの眼鏡っ娘コスの彼女がいるのか」

「は?」


「いるんだなっ!?」

「いないっ!」


「そうか……」

「そうだ」

「残念だ……」

遠くを見つめる武居。



「確かにリュネットはハーレム要員じゃない」

「―――!!」

伊織の言葉に武居は振り向く。


「リュネット!?

 そうか、テレビに出ていたのは、リュネットさんというのかっ!!」

「―――て、テレビぃぃっ!?」

まて

まてまてっ!

「それは本当!?武居!」

「ん、事実」

リュネットさんに会いたいと言う武居の代わりに、伊織が答える。


武居も新田も伊織も、その時の映像を持っていた。

僕が皇國代理天で見た映像とは違う番組だ。




「この映像だよ、キチクン」


リポーターが村の中を歩いて破壊の爪あとがどれだけ酷いかつらつらと語る。

その後「実はですね……」と前置きして

「この村には宇宙人と言われる一家が住んでいるんです」

びくっ

少し手が痙攣した。

嫌な汗が出て来る。

カメラはどんどん、僕の家に近づいていく。

「はい、ここが宇宙人の家でーす」

僕の家が移された。

呼び鈴を無視して、勝手に門から入っていく。

「う、うう……」

リポーターがしばらく進むと中から人が出て来る。


1人は身長230cmの大男。

猪のような顔、身体中は剛毛に覆われているというか、毛皮だ。

猪を2足歩行させるとこんな感じの人間になるだろう。

着ている服は汚れた麻のごわごわしたシャツ。

元の世界の物なんだろうな。


1人は身長150cmでよくある猫耳を生やし、眼鏡をかけた少女。

人間の耳があるはずの所は、髪の毛で覆われている。

猫のような瞳で少しつり目がちな美少女だ。

着ている服は雲雀のメイド服でフレンチのアレンジタイプ。

良く秋葉腹で見かけるタイプといえばいいだろうか。


リポーターは笑いながら近づいていく。

「こ、こんにちわーwww」

「ヨクキタ」

土人みたいに仁王立ち。

「ウチに何か用ですかにゃ?」

にゃんっ♪と両手をあげ、くいっと曲げて片足立ち。


「実は、この家に宇宙人がいるときいて。

 それにしてもすっごいコスプレですねーwww」

「こすぷれデハナイ」

「私達が宇宙人にゃ」


何とも奇妙な番組だ。

大量殺人事件があった所で、わざわざこんなふざけたリポートをするってのもおかしいけど……。

まぁ、本当にふざけているのは八代家かもしれんが。

自称・良識派という人達から、不謹慎とか言われるんじゃないかな、これ。


雲雀に心話を送る……のは止めておこう。

学園で、ひとり言をブツブツ言っている、可哀相な状況にはさせたくないので、ヴラドと同調する。


マイテースマイテース本日は晴天なり本日は晴天なり~~

(いや、そんな事はせんでも、聞こえておる)

さいで

(何かあったのかや?)


僕は、かいつまんでテレビの内容と状況を説明する。


取材である以上は、誰かがオッケー出したんだろうけど、どんな取材依頼だったの?

(おお、事の発端はジョフクからの知らせじゃ)

ジョフク?

魔法師が、わざわざ皇國代理天にまで来たのかい?

(いや、携帯じゃ)

よく使い方をマスターしたね、あの爺さん。

(この国で言う、ガジェットオタクというものらしくての、今はどこにおるのやら……じゃ。

 まぁ、あの者から伊織に連絡があったんじゃ、可及的速やかに対処されたし……とな)


それが取材依頼だったんだね?

(そうじゃ)

取材拒否はできなかったの?

(それはやめた方が良いと、伊織と雲雀が言ったのでの。

 そもそも、お主様と祖父殿、雲雀が行方不明となっていると言う話にしても、この者達が言ってくるまでは知らなかったんじゃ)

と言う事は家族構成まで下調べしてきてるのかな……?



テレビの取材は、2人に凄いコスプレですね~とか言っていたが、しばらくすると

「八代さんは行方不明だという話をうかがったんですが……」

「旅行中ダ!」

「え!?こんな大事件があったのに旅行中なんですか!?」ww

悪意のこもる喋り方で、リポーターは驚きを表している。


「この事は、先方のご家族の方は御存知なんでしょうか?」

「いや、知らないはずにゃん」

「どうしてですか?」

「連絡シテイナイカラダ」

「へぇ。そうなんですか。

 携帯1つですむのに……山奥とか無人島なんでしょうか?

 まさか中国奥地?」www

しつこくからんで来るリポーター。


「ソレハ秘密ダ」

「秘密にゃん♪」


「おっと、秘密ですか!!意味深ですねぇ!判りました!

 我々の取材は、宇宙人の秘密主義により暗礁に乗り上げてしまったのです!!」

そう言ってカメラは下がり、リポーターも玄関から撤収する。


ううう。この動画を見てるだけで反吐が出そう。

正直、僕はマスコミに良い印象を持っていない。

僕のトラウマを作った主原因で、偏見とは判っていても嫌悪感しか浮かばない。


昔、マスコミの知る権利によってノイローゼになって自殺したアイドルがいた。

マスコミは、こぞって悲劇に仕立て上げ、笑いながら特別番組を組んだ。

昔、地震と津波によって日本史上でも十指に入る大惨事があった。

復興作業をする人、恐怖で寝る事のできない人に、マスコミは「今の気分は?」と笑いながら聞いてまわった。

昔、中東のテロで殺害された日本企業の社員がいた。

家族は政府に名前の報道を差し控えて欲しいと頼んだが、マスコミはこぞって悲劇に仕立て上げ、笑いながら故人の名前をさらした。


リポーター、いやマスコミの知る権利の前では、個人情報なんてものは吹けば飛ぶ様な、くだらない物なんだろう。





「さて、一旦ココまでね」

映像を新田が止める。

「まだ続きがありそうなんだけど……」

「ん~~。今は見るのは止めた方が良いと思うよ」

「ん」

新田と伊織が先を見るのをとめる。

なんか嫌な予感がする。

(あー、お主様、それは当たっておる。

 じゃが今は昼飯時じゃ。見るのは止めておけ)

ヴラドからも言われた。


「……」

「……」

せっかくの昼飯時なのに、妙に重い雰囲気になってしまっている。

どうしようか。

「ーーーあ」

少し思い至った事があるので聞いておく。


「もしかして、この先にある映像は、特定個人の過去に関する映像かい?」

「うん、そうだよ」

「おう、当たりだ。さえてるじゃねーか」


ああ、当たりだ。

予想は当たりだ。

確かに昼御飯を食べたばかりだ。

もどしちゃったら勿体無いだろう。


そして今の状況から察するに武居と新田は、いや、もしかしたらこのクラスの人達全員が、僕の過去を知ってしまったかもしれない。

少し手が震える。

怖い。

見なければいい。

怖い。

知りたくない。

怖い。

逃げたい。

だけど、逃げても何も変わらない。


「おい、キチーフ」

武居は恐怖に捕らわれ始めた僕を現実に戻した。

「……ぁ?」


「おう、言っておくとだな。

 少なくとも俺とコゴローのスタンスは変わってない。

 いや、リュネットさんを紹介してくれるなら、お前は今から心の友だ」

「うわ、サイテーだ」

思わず口から出る本音。

「まぁ、僕もイッサとは同じだよ。

 前々から知っている事だし、たいした事ではないよ」

「前々から知ってたって……」

「あははは、有名人じゃん、気づく人は気づくよ。

 だからさ、気にしても仕方ないじゃない。

 僕達は今までと変わらない、それだけの事だよ」

「あー、うん、ありがとう……」


目頭が熱くなった。

深呼吸する。


今、言える事を言っておこう。


「武居、リュネットさん彼氏持ちだよ」



動画のその後を見た。

やはり思っていた物と同じだった。

村八分状態で、村人から宇宙人とまで揶揄される八代家の奇行。

そして行方不明中となっている人物、八代時雨が人肉喰らい[マンイーター]という過去を持つ人間であると言う事。

この事件には不明な事がありすぎる、猟奇的でオカルトじみているから野犬ではなく、もしかしたら……みたいな作りで締めくくられていた。


何度も人肉喰らい[マンイーター]と言われた。

犯罪者でもないのに、名前がさらされた。


だけど、吐き気を催す事は無かった。

心構えをしていたし、不意打ちじゃなかったからだろう。


「多分、コレだけじゃ終わらないんじゃねぇか?」

「あははは、しつこいからねぇ」

「ん」

(お主様、よう頑張ったのじゃ)


そういえば、ヴラド。

気になってたんだけど、なんでリュネットさんとグレイブさんは、人間に変装する魔法【モンキーミミック】を使わなかったの?

(うむ、良く判らんが、雲雀が“下手に隠すよりも、コスプレと言い張るのよっ!”と言っておったのでのでな)

ああ、そっか。

うん。確かにそれであってるかも。

どうせ、探られるんなら隠さないと言うのも1つの手だね。


(なんと言っておったかのぅ“情報戦に対抗するには、こちらも情報戦よ”じゃったかの?

 地球の戦略戦術は、妾には高度すぎて理解できない事も多いのじゃ)

情報戦?

情報撹乱とか情報誘導とか……かな?

まさか匿名掲示板に書き込むだけでオーケーみたいな事、考えてないだろうな?






「なぁ、キチーフ 本当にリュネットさん彼氏もちかよ」

「んー。今度、会いに来るかい?グレイブさんが彼氏だけど」

「あのでっかいキグルミ着ている奴か!?」

「うん、そう」


少し暗くなった食事時の雰囲気を戻す為に、努めて明るく振舞う。


そんな楽しい食事の時間も終わり、昼放課が終了する直前、新田は後ろの黒板にオリエンテーション合宿の班分けの表を書いた。

各自、馴れ合う人物とグループを作っておけと言う事なのだろう。


嬉しい事に新田と武居は僕を誘ってくれた。

実はかなり感動したのは内緒だ。

“誘われた”という事実が、こんなにも嬉しいものだとは。


伊織も昼の一件で、偽・委員長と会話の糸口ができたらしい。

珍しく会話をしている。

いや、翻訳機開発が一段落したから、今は余裕があるんだろう。

いつの間にか、その2人の周りにウェービーヘアさんや、クラスの女子が集まりだし、輪が出来ている。


伊織は、もしかしたらクラスの女子から嫌われてたり、無視されたりするんじゃないかって思っていたけど、どうやら杞憂だったようだ。

良かった。

伊織は自分で何とかしてしまった。


と、僕が伊織をじーっと見つめすぎていたのがまずかったのか、伊織の傍にいる女子達から白い目で見られている。

「?」

いや違う。

軽蔑?

汚物を見る目?

何人かは鬼畜を見るような目で……。


なんなの?


ん?

女子に囲まれて、伊織はスマホモドキを皆に見せている。


―――雲雀さんって大きいわね……。

―――綺麗な子、外人さん?

―――え?この子が愛人?嘘。まだ子供でしょ?


不穏当な会話が耳に入る。


―――ケダモノ

―――戸隠さん、可愛そう……。

―――最初から浮気?ひど~~いっ!


「ん。それでも私は、時雨が好きなんだ」


―――けなげすぎるぅぅ

―――大丈夫、私達、味方だからっ

―――応援するっ、相談にのるからっ


あれか。

これは、伊織の魅力か、学習能力か、それとも、もって生まれた才能なのか。

特殊能力【情報操作】っ!!なんて恐ろしいっ!



クラスの女子を代表して、ウェービーヘアさんがやって来た。

「若頭、酷すぎるでぇっ!

 ちゃんと戸隠さんにあやまりぃや、リア獣!!」


―――おおお、さすが広瀬。

―――ヤクザ相手に物怖じしない……

―――肝っ玉カーチャン


申し訳無さそうな顔をして

「ゴメンなぁ、こうせぇへんと納まりそうにないでぇ」

と言われたら、こっちだって謝るしかないでしょう。





そして、僕は今日1日で、リア獣にランクアップ。

微妙に“リア獣”の使い方が間違っている気がするけど。


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