ディスコミュニケイション
その時、Rは口をつぐんだ。
どうしてRは話すのを止めたのだろう。
そう。
ただただ面倒臭さくなったのだ。
これまでにも面倒臭さくなって、話すのを止めたことがあっただろうか?
Rは自問自答した。
ない。少なくともキミに対してはない。
キミとはYのことである。
YはRが自分に何かを話しかけようとしてたことに、気づいていない。
もちろんそうだ。その語られるべき話は、奏でられるべき言霊は、空気を震わせることはなかったのだ。
Rは少しぼんやりとする。自分はなぜ話さなかったんだ?今から話せば良いのか?でももう何だか話す気分じゃないな。
実際、Rが話そうとしたコトは、大した話ではなかった。
しかし、その話が他愛もないコトであればあるほど、Rは話すべきだったのだ。
大した話なら、いずれ語られるべき時に語られるのだ。
その時、語られなかった話。
空気を埋める話。
Rは口を開いた。
何を話せばいいんだ?