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セカンドパートナー 朝の徒花  作者: 八卦阿礼
第二章 理性の崩壊

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2-1.ざわめき(プロローグ)

最近、妻の様子がおかしい。

家の中での穂花の雰囲気が、どこか少し浮き足立っているというか、楽しげに浮かれているように見えるのだ。

 

少し前までの彼女は、中途採用で入った新しい会社の仕事や人間関係で合わなかったのか心が潰れかけていた。

毎日疲れ果てて帰ってきては、見るからに暗い顔で悩んでいるようだったのだ。

俺なりに「大丈夫?」と声をかけてはいたけれど、どう寄り添えばいいのか分からなかった。

仕事の相談を持ちかけられても答えようがないし、正直少し腫れ物に触るような感覚でいたのは事実だ。


それが、五月の終わり頃から急に元気を取り戻した。

先週の水曜日も、会社の大きな飲み会だと嬉しそうにフォーマルドレスを着て出かけて行った。

どうやら、こうして元気になれたのも以前上司だったという人が人事に掛け合ったりして、彼女の業務量を減らすように裏で動いてくれたらしい。

 

最近、穂花の口からその上司の名前「奈良さん」を頻繁に耳にする。

最初の頃は、俺も「へえ、良かったね」「なんて良い人なんだ、すごいね」と、妻を救ってくれた親切な上司の存在を一緒に純粋に喜んでいた。

だけど。

毎日毎日、何かにつけて「奈良さんがね」「奈良さんが言ってたんだけど」と、その名前がずっと彼女の会話に混ざり続けていると、胸の奥がざわめき、そして消えない違和感が芽生え始める。


いくら恩人だからといって、もう違う部署に移った元上司のことを、既婚者の妻がここまで日常的に喜色満面に口にし続けるものだろうか。

本当に、ただの「尊敬する上司」なのだろうか。


先日、転職した先の会社で早速人間関係に悩む俺の横で、ボクを置いて今にもその元上司のところに行ってしまいそうな妻は鼻歌混じりに昼食を作っている。

横顔を見つめながら、俺は言葉にできない不穏を感じ、静かに胸をざわつかせていた。

本作は第15回ネット小説大賞に応募致します。


もし少しでも面白い、スカッとしたと思ってくださったら、ページ下部の☆やフォローで応援していただけると、コンテストを戦う大きな力になります!


是非よろしくお願い致します!

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