4つの鍵
昔むかし、あるところに4つの鍵がありました。
それぞれ、形も色も材質も違っておりました。
鍵の1つは錆びた鍵。どんな扉でも開けてしまいます。
2つ目の鍵は真っ白な鍵。大きなお城で使われる大理石のように真っ白です。この鍵はどんな扉でも閉めてしまいます。
鍵の中で最も美しい装飾がされている3つ目の鍵は、まるで羽のように重さがありません。その鍵はとても神秘的で、なんと心の扉を開けてしまうのです。
最後に残った4つ目の鍵。何のへんてつもありません。鉄でできた丸い輪に、尖端が曲がった棒の部分がくっついているだけ。しかしこの鍵、どんな扉にもはまりません。扉を開けることも、閉めることも、不思議な力も持ちません。ただ、そこにあるだけでした。
これが昔から今に伝わるお伽噺。
不思議な不思議な伝説です。
―――――4つの鍵がありました。