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第4話 理不尽はいつだって突然に

理不尽は本当にいつだって突然に降りかかるものなんですよね一番来てほしくないときとか



外が、いつもよりずっと騒がしかった。

街路を行き交う人々のざわめき、重い鉄の靴音、遠くで響く叫び声。宿屋の窓から、シヅキは眉をひそめ、声にならないため息を漏らした。


「ねえ、そんな首飾り持ってたっけ?」


フェイク=ナムルスはリュックから首飾りを取り出し、掌で軽く回しながら答えた。


「拾ったんだよ。願いの代償の“残ったもの”をね」


シヅキは少し顔をしかめ、首を傾げる。何か釈然としないものを感じたが、問い詰める余裕はなかった。

その瞬間、宿屋の扉が轟音と共に蹴破られる。


「――っ!」


シヅキは咄嗟に身をかわし、フェイクも影に身を潜めた。

鉄の鎧に身を包んだ衛兵たちが、嵐のように乱入する。二人の前には、鋼の刃が雨のように迫った。


「行くぞ、シヅキ!」


フェイクの声に、シヅキは力強く頷き、二人は廊下を駆け抜ける。

混乱の中、シヅキは必死に衛兵たちの会話を聞き取った。


「――昨日の夜、あの荒くれ者、組織の残党に襲われ、民間まで巻き込まれたらしいぞ」


「何だって……あのフェイクのせいか?」


背筋がぞくりと冷たくなる。昨日の夜、フェイクが何をしていたのか、今になって理解した。


シヅキは逃げ出した、フェイクは影から動かず、視線だけでシヅキの動きを追う。

わずかな足音の変化、呼吸の乱れ、汗の湿り――すべてを読み取り、彼女の限界を正確に把握していた。


(――さて、彼はどこまで持ちこたえるか……)


シヅキは街を駆け抜け、数十の衛兵に囲まれる。剣を抜き、次々と斬り伏せるが、数の前には徐々に体力が削られていく。汗と血が混ざり、視界が歪む。


「くっ…まだ追いつくのか!」


鉄の鎧が冷たく光を反射する。

迫る影、耳をつんざく金属音。恐怖と疲労の波が心を打ちのめす。


その時、フェイクは影から静かに介入する。

シヅキが削られた力と敵の油断の隙間を、すべて利用して最小限の動きで戦況を掌握する。


「さあ、ここからが本番だ」


シヅキの体力が限界に近づく頃、フェイクが現れ、衛兵たちの包囲網に奇襲を仕掛ける。唐突すぎる現実に、彼らは混乱した。


「君を助けてあげようか?」


フェイクの低い声。

シヅキは呼吸を整え、剣を握り直す。


「……僕は自分の力で、ここまで来た。まだ……逃げられる」


フェイは微笑む。


「僕にも利益と実益がある方が、こんな嘘つきを信じられるでしょ。感情論や友情論より、ずっと確実だ」


二人は影の中へと溶けるように消えていった。

外の騒がしさは、街に渦巻く権力者の理不尽さと、冤罪による暴力の音だった。


シヅキは、この瞬間、フェイク=ナムルスの本性を理解した――。

信頼も感情も、すべては利害の上に成り立っていること。


そして、リュックの中の小さな秘密は、静かに、しかし確実に、彼の戦略を支えていた。

いきなり襲ってきた人達は一体なんなんでしょうね

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