一話 一からやり直し
とは言ったものの、俺の冒険者ランクはパーティーに入っていたことで成り立っていたので俺の今のランクは一番下のE⋯
「逆に考えよう。初心に返って頑張るということで」
と依頼が貼られた掲示板に目を向け、ゴブリン討伐の依頼を手に取った。それを持ってギルドの受付へと向かった。
「ロアさん、今日も代表して依頼を受けに来たのですか?」
「こんにちはシーナさん。俺もうパーティーを抜けたんです。正確には追い出されたんですけどね」
この人はシーナさん、よくお世話になっていたギルド嬢さんだ。
「そうなんですか。これから大変な時期だと言うのに⋯」
「活性期ですよね」
活性期とは年に一度ある魔物が活性化する時期のことだ。毎年この時期は死者が絶えない。
「自分に気をつけてくださいね。ロアさんは後衛職の結果師ですから」
「そう言ってくれると助かりますよ。これお願いしますね」
と依頼証を差し出した。
「ゴブリン討伐ですね。確認しました頑張ってくださいね」
「はい、適度に頑張っていきます」
一礼したあとロアはギルドを後にした。
◇◆◇◆◇
「ここにくるのも久しぶりだなぁ」
ロアは駆け出し冒険者たちが集まる平原へと来ていた。
「ゴブリンはどこかな?」
ロアは自分を中心に探知結界を巡らせ、ゴブリンの居場所を探った。
「あ、いた。でもちょっと遠いな」
ここら一体のゴブリンは狩り尽くされてしまったらしい。森の奥にしかゴブリンはいなかった。
「とりあえず行くか」
ロアは森へと足を踏み入れた。
「にしても暗いな。あいにく俺はライトの魔法が使えないし⋯」
その後、何とか目を凝らしてゴブリンを見つけ、無事に討伐することができた。依頼も完了したので街に帰ろうとしたが途中である異変に気がついた。
「霧が濃くて気が付かなかったけど元の道じゃない」
明らかに違う道を進んでいる気がするそう直感が訴えかけてきていた。
そんなとき目の前に何かの建物がちらついた。
「なんだ?」
それは古ぼけた遺跡だった。
「ちょうどいいここで霧が明けるのを待とう」
念の為ロアは探知結界を巡らせたら奥から微弱だが生命反応があった。
「ん?いつもなら何の種族かも分かるんだけど⋯」
全くもって不明だった。何一つ情報が入ってこない。
「念の為、奥まで見ておくか」
こうしてロアは古ぼけた遺跡の奥へと進んでいった。