エピローグ 結界師は前衛職
「ロア、早くしろ!」
ここは、殺意に満ち溢れるダンジョン。そんな中、俺は仲間たちと一緒に戦っている。
「わかってる!」
俺、ロアは自分が得意とする結界魔法の詠唱をして、魔物の攻撃を抑えながら結界の形を自由自在に変形させて戦っていた。
「ロア、そのまま私の詠唱が終わるまで抑えときなさい!」
と魔法使いである、フェリスはロアに無理難題を吹っ掛けた。
「さすがにこの数は厳しいって」
目の前にいるのは三十以上の魔物、一人でさばききれるかどうか。
「ずべこべ言わない!」
しかたないので、俺は結界をもとの用途として使うために元の形へと戻した。
「そんなに心配なんだったら俺が手伝ってやるよ」
と戦士である、リックは高く飛び上がって剣を振り下ろさんとしていた。
(そこは・・・!)
ロアが作った結界に剣が強く衝突し、甲高い音を立てて剣をはじいた。
それのせいで意識がそがれ、結界にひびが入った。
「あ、まずい!」
結界はぴきっと音を立て、一部が砕けた。かろうじで形は保って入るものの結構厳しい状況だ。
「フェリス早く。もう持たない!」
「ちっ、しかたないわね。ファイアーボルケーノ!」
タイミングよく俺は結界を消し、その先は炎の渦が渦巻いていた。
「一度撤退した方がいいと思います」
そういうには俺の最後の仲間、ヒーラーのアリスだ。
「僕もその方がいいと思う。予想以上に敵が多い」
「というわけです。一度引き返しましょう」
その言葉にリックとフェリスはいやそうな顔をしたがしぶしぶ承知した。
そしてなんとか町のギルドまで戻ることができ、四人は食事をとりながら今日の話をしていた。
「今日の最後の戦闘、だれに責任があると思う?」
そういいだしたのはリックだった。
「私はロアだと思いまーす」
「は?なんで」
「それは言われたこともできないくせに仲間の邪魔をするから」
「あれはリックが勝手にやったことだろ!そもそも結界師は前衛職じゃない!」
俺は必死になって反論したが、その声は届かず
「フェリスの言うとおりですねですね」
「アリスまで・・・」
仲間三人にここまで言われると悲しくなる。さらに
「なら、タンクを雇おうぜ。ロアは正直言って邪魔だ」
「いいね。それ」
「ちょっと待ってくれよ。いらなくなったからってぽいってか?」
「そうだ。というわけでお前はクビだ」
「ッ。そうかよ。俺もお前らみたいなやつはごめんだよ」
と乱雑に席を立った。
「おっと、食事代は置いていけよ」
「チッ。守銭奴が」
と食事代を机に投げつけた。そして、俺はパーティーを抜けた。