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XIV 歓迎されざる

 地下はジメジメしており、嫌に涼しかった。外から遮断されて濁った寒い空気は、本能的に気味悪く感じてしまう。中はビルより一回り広いくらいで、コンクリ製。ドアがいくつか見えるので部屋や通路の類があるのだろう。

「……増援か!やっと増援が来たぞ!」

 中にいた兵士の一人が声を上げる。ざわめきが広がり、部屋から顔を覗かせてくる兵士もいる。その数たった六人。全員軍服はボロボロでひどくやつれて見える。が、目だけはりんりんと輝いている。救世主を見つめるような目でこちらを見てくるが…。

「よかったな、来たぞ増援が。寄せ集めのボケ小隊がな!」

「黙ってろイーヴォ!」

 イーヴォが余計なヤジを叫ぶ。それをザッカスがたしなめる。どこかで見たことのある構図だ。

「静かにしろ。失礼だと思わんのか」

 コベル中尉が二人を制し、黙らせる。気まずそうに地下に案内した兵士が口を開く。

「あー…まずは歓迎の意を示す、第七小隊の皆さん。私は現在第五小隊の臨時隊長、ヤクシー兵長だ。見ての通り、第五小隊は非常に損耗していてな。そこで皆さんが増援に来たというわけだ」

 ヤクシー兵長は真面目そうな雰囲気で良かった。狂人だらけの中でやっていける気はしなかったからな。続いてコベル中尉が前に進み出て話す。

「歓迎感謝する、ヤクシー兵長。僕は第七小隊及び第五、六、七、八小隊からなる第四中隊司令、コベル中尉だ」

 ヤクシー兵長と握手を交わし、コベル中尉は言った。

「早速で悪いが、ここの説明を頼めるか?それから偵察の順番も」

 それから俺たちは寝る場所や第五小隊の兵士たちの説明を受けた。コベル中尉とヤクシー兵長には個別の部屋があるようで、ヒューゴが不満をぶつぶつ溢したが、ダルガーの一睨みで黙った。

 それから夜間の偵察の班決めもされた。廃ビルの四階は遮蔽が十分ある上、窓に貼り付けられた木材の隙間からでも十分な視界を確保することができた。二人一組で俺はもちろんコベル中尉と組むことになった。ただ心配なのは。

「ヒューゴとか言ったな、よろしく」

 やけにひきつった笑顔でイーヴォがヒューゴと握手を交わしていた。いや、ヒューゴの手を一方的に握り潰していた、と言った方が正しいな。

 やれやれ、と頭を振りながらザッカスとロルフという小隊メンバーが今夜の偵察に上がって行った。深夜の偵察は半々に分かれているのだが、次の偵察はイーヴォとヒューゴの班だった。

「消灯だ。明日朝まで偵察の交代以外の行動を禁ずる。諸君明日の戦闘に備えるように」

 コベル中尉はそう言って自室に入っていった。部屋は真っ暗。その部屋に敷かれた薄い布の上で全員雑魚寝だ。空気は濁りきっていて寝心地は昨日一昨日とは比べてはいけない。

「少しでも寝とかないと…明日体力残ってるかなあ」

 ヒューゴが隣でぼやいていた。正直俺も大丈夫かわからない。いつか聞いたことがある。軍隊は体力も大事だが根性が一番大事だと。

 そんなことを考えているうちに俺の意識は闇に落ちていった。

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