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インディペンデンス・レッド ~5000マイルの絆~  作者: 幸運な黒猫
第三章:汚れる覚悟(中東)

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第24話・Gun for

 狙撃から逃れるために、オレは左方向に見える廃墟に飛び込んだ。元々はここも人が住んでいたのだろう。爆撃され倒壊し、それでも残った壁や瓦礫が盾になってくれる。オレには、この洛陽に照らされた瓦礫の(ふち)が鮮血の色に見えていた。

 戦線の前の方では、すでに政府軍のHuVer(フーバー)隊とドゥラ軍がぶつかり合っていた。巨大な盾とランスを構えた中央の一部隊だけが、突出して先行している政府軍。その後方では、HVライフルを持ったHuVer(フーバー)が左右に展開している。そして更に、HuVer(フーバー)を盾にして銃を構えた歩兵部隊が続く。


〔あれは、どういう作戦なんだ?〕


 突然、ドゥラ軍のオープンチャンネルで誰かの声が聞こえて来た。どこかの部隊が近くにいるのだろう。雑音混じりだけど内容がハッキリと判る。


〔アホか。作戦も何もないわ。力押しの中央突破だろうが!〕 

〔まったく、もう少しリーダーらしい発言は出来ないのですか?〕

〔お、おまえら、うるさい〕


 声が明瞭になる方向に移動してみると、その部隊は思ったよりずっと近くにいた。大きめの瓦礫を盾にして隠れ、何かの機会を伺っている様だった。遊撃隊か何かだろうかHuVer(フーバー)五機の小部隊で、それぞれ大剣を背負っていたり、オレの物よりも倍近く長いライフルを持っていたりと装備に一貫性がない。

 味方の姿を見て安心はしたものの、ただ、なんと言うか……今ひとつ緊張感のない会話に、オレはどう対処すれば良いのか判らなかった。


〔で、どうするよリーダー。このまま高みの見物ってわけにいかないだろ〕

〔うん、平地だしね〜〕

〔そういう意味じゃねぇぞ、ガキ!〕

〔またガキって言った〜。ガキって言う方がガキなんですぅ〜〕

〔ガキはガキらしく家で絵本でも読んでろってんだ。ったくよう……〕


 子供がいるのか? それにこの緩さはいったいなんだろうか? ここが戦場だと解っているのか疑ってしまうほどだ。


〔あ~、ところでさ……〕


 ――そのひと言で、そこにいたHuVer(フーバー)部隊が一斉にオレの方を向いた。


〔そこの白いの。お前、誰?〕


 聞いてきたのは、先程リーダーに対して『アホ』と言っていた声だ。いきなり現れたオレに対して、威嚇するでも威圧するでもなく、冷静に対応し始めた。子供の様な声と喧嘩したりもしていたが、率先して話しかけて来たという事は、折衝事を任される程度には信頼が厚いのだと思う。


「ここに味方がいるから合流しろと、ハリファが……」

〔ん~、それってもしかしてよぉ……〕

「もしかして?」

〔あそこで半壊してる本隊って事なんじゃね?〕


 言われるがまま見てみると、つい今しがた戦闘開始したばかりなのにドゥラ軍の先鋒部隊がほぼ壊滅していた。


「え、助けないとやばいんじゃ……」


 政府軍とテロ組織では戦力差があるのか。ほんの少し目を離しただけでここまで劣勢になるなんて。


〔あ~、大丈夫。これを狙ってたんで〕

〔お、そろそろか? ジャック〕

〔もうちょいかな。右翼後方の狙撃隊が、あと20メートル程前進したらってとこ。指示(タイミング)出します〕


 ジャックと呼ばれた男が『指示を出す』と言った瞬間、四機のHuVer(フーバー)が一斉に配置に着いた。彼の落ち着いた話し方は、どことなく安心感を覚える。


〔白いの。お前はこっちだ〕

「はぁ……」

〔リーダー、“白いの”じゃ呼びにくいのでコードネームをお願いします〕

〔俺に丸投げすんなよ〕


 それは今決めなきゃならない事か? 別に白でもなんでも好きに呼べばいい。オレは、そんな事に気を回している余裕はないんだ。


〔ネーミングセンスないのは知ってますから。早く決めてください〕

〔急かすなって……〕

〔はいはい、あと15秒ですよ~〕


 ジャックのカウントがリーダーを()き立てた様だ、完全に投げやりな口調でオレのコードネームとやらが決められた。


〔ああ……もう、おい10番。お前はNo.10だ〕

〔やはりセンスありませんでしたね〕


 ……10番ってなんだ? と、一瞬だけ思ったけど、正直どうでもいい。彼等は何でこんなにふざけていられるんだろうか。


「あの、ところであなた方はいったい?」

〔3……〕

〔傭兵だよ傭兵。お前も似たようなものだろ。出るぞ、合わせろよ!〕

〔2……〕

「そんな、オレは……」


 ――傭兵なんかじゃない!


Gun for((注))!!〕


 ジャックの合図で一斉に飛び出ていく傭兵達。オレは作戦内容が解らず、言われるがまま付いていくだけだった。傭兵部隊という戦争のベテラン集団に合流できたのは“生き残る”という目的からすればラッキーと言える。

 だけど、『人の命を金でやり取りする連中なんかと一緒にいたくない』という気持ちがあるのも確かだ。むしろその方が強い。戦闘の直前まで笑い話をしている神経が解らないし解りたくもない。そして多分、その感情が行動に出てしまったのだと思う。


 この後オレは……この傭兵チームの作戦を、肝心なところでぶち壊す事になる。

(注)gun for

 ~の狩猟に行く、つけねらう、撃ち落とそうとする等。

 本作では、その傭兵チーム独特の合図として使っています。



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