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使っちゃいけない

作者: 花カマキリ

ギャンブルは程よく楽しむ大人の遊び

「ギャンブルは、絶対に使っちゃいけない金に手をつけてからが本当の勝負だ」とは菊池寛の言葉ですが、本日、私、皐月弘信はその絶対に使っちゃいけない金というものに手を出してしまいました。恐らく私はもう長くはないでしょう、これを書き記しておきます。貴方もどうかお気をつけて。


——————


 その金というのは、闇金で借りた百万円だとか、会社の動かす数億円だとか、そんな大層なものではありません。たった一枚の一万円札なのです。そうです、なんの変哲もない、ただの一万円札です。透かしだってあります。

 それは、いつの間にか私の懐に潜み、いつまでもそこに住み着いていました。私は、どうしてもそれを使ってはいけない気がしていました。使ってしまったらそこで最後だと、そんな確信めいた、予想がありました。

 そんなわけで、どうにか今日まで使わずにいたんです。ですが今日、知っての通り私は使ってしまいました。


 今日もいつもの通りパチンコを打ちに行きました。調子は最悪で、午前中のうちにほとんど軍資金がなくなってしまいました。よくあることです。ただ、今日は当たる、絶対に当たると思っていましたから、未練がましくその台を離れました。

 気分を変えてタバコでも吸おうかとポケットに手を伸ばしたその時でした。カサッとした感触が指に伝わりました。見てみると、あの一万円札でした。ふと、ある考えが頭をよぎりました。

「これを使えば勝てるかもしれない」

 私は結局誘惑に負けました。どうしようもないことだとも理解しています。今日、使わなくてもいつか使っていたでしょうから。

 結果については簡潔にいうと、大当たりをしました。それはもう、今日の負けなど簡単に取り返せてしまうほどの大当たりでした。

 その時の私はもう一生分の快楽を得ました。ですがすぐに事態の重大さに気がつき、ドンドンと不安に駆られました。快楽などとうの昔に吹っ飛んでいました。

 なせ’




すいません。もう近いようです。列車のガタンゴトンという音が、ガボガボと、はいに入っていく水が、メラメラともえ上がる炎のねつが、はだで感じられるのです。私は一体どんなしに方をするんでしゅうか

 こわをよんだあなたのさいふに ししみにおま″えのないほんえんさつをみつけたら き

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