追放
私は脳に入ってきた膨大な記憶を意識を失っている間見ていた。追体験というよりはテレビで見るようなそんな感覚だった、テレビで見るような第三者視点からの情報により私が誰なのかを知った。
どうやら私の名はメルフィスというらしい、母親の名前はトリエラ、父親はお母さんが妊娠したことさえ知らずに蒸発してってしまったらしい。─最低だ。
そして私の双子の弟であるカマエル、とっても優しい子だ。
そして学園の修学旅行で元の私と出会いそのまま天界に強制的に引き戻されこの状態に陥ったというわけだ。
だけど何故私はこの体と記憶をメルフィスをから奪い取ってしまったのでしょう。謎だ·····
そんな思考を巡らせる程度には回復したのでそろそろいいかと思い、閉じていたまぶたを上げた。
私がまぶたを上げ目を覚ますと、そこにはメルフィスの記憶で見た知っている天井がありました。この天井は私が住んでいる家の部屋の天井です。
ゆっくりと上半身を起こすと視界に桜のような淡いピンクの髪色をした見知らぬ女性─否、私のお母さんトリエラを捉えた。トリエラは椅子に座り、私の寝ていたベットに寄りかかるように寝ていた。
なんだか起こすのも悪いなぁと思った私は音をたてずに布団をから抜け出し、ベットから降りた。─ドタッ
その音が私の着地した床から部屋に響くと、それと同時にお母さんが目を覚ました。
「ん··メフィ··」
「おはようお母さん」
ちなみにメフィというのは私の愛称です。お母さんがいつもそう呼んでくれていたのでいつの間にか愛称がそうなっていました。
「メフィ!?··あなたもう立って大丈夫なの?」
「うん、もう大丈夫だよ」
「そうなのね、だったら朝ごはんを食べていってね。」
そう言い残しダイニングへ向かっていった。私もそれについて行き椅子に座ってトリエラが作る朝食を待った。
そして20分がたった頃には私の前に朝食が置かれていた。
「「いただきます」」
その朝食はどちらも無言で食べた。
そして食べ終わった後トリエラが悲く苦しそうな顔を向けてきた。
「もう、メフィとは会えなくなってしまうのね···」
「ごめんね、私が罪を犯したせいでお母さんに迷惑をかけちゃうよね」
そう言葉をかけると、お母さんは涙を浮かべながら私を抱き締めた。
「今日1日だけメフィが自由でいられる猶予を主天使様からいただいたわ、だから今日は自由に過ごしてね··」
「うん···」
その言葉どうりその日は後から帰ってきたカミエルと一緒に家族皆で楽しく過ごして、ベットに入り眠ろうとしていた時ドアからカミエルが入ってきた。─やはり明日から居なくなってしまうのが寂しいのでしょうか。
そしてカミエルは不安そうな顔で呟いた。
「メフィ··一緒にベット入って···いい?」
「いいよ、おいで」
そしてその夜は2人の思い出を語り合いいつの間にか2人とも眠りについていた。
次の朝、私はまだベットで寝ているカミエルとお母さんに別れを告げ家を出た。
そして罰を受けるため"堕刑の間"に赴き、その時を待った。
その時─それは私が罪人として【堕天使】の烙印を押され、【魔界】に追放されるという罰を受ける時。
私の後ろでなにかを呟いている人がいた。
『まったく、誰が下界の記憶改竄を行うと思っているんだ。まったく手間を掛けさせやがって···』
『きっちり罰を受けてもらわねぇとなぁ』
そんな言葉が堕刑場の後方で広がっていると私の前にいる天使がガベルを鳴らした。─ドンッ
それにより後ろの天使黙り込み、私の前にいる天使が口を開いた。
「これより主天使の名において罪人メルフィスを堕天使として魔界へ追放する」
その声が部屋中に響き渡るのと同時に、私の下にある魔方陣から黒い光が放たれると、私の視界は黒い光に包まれその場から私が消えるように黒い光の粒子となって散っていった。