転生
─始めまして、下界の堕天使アイドルことメルフィスちゃんで~す。
今、私は少し地上から少し離れてふよふよ浮いています。
そして私の下、地上では沢山の人間の騎士がいます。この人達は私の熱心なファンです。怖がらなくても大丈夫ですよ。
ざっと200人ぐらいでしょうか?その人達が次々と上空にいる私を必死の形相で槍で刺し殺そうとしてきます。
人気アイドルは大変ですね。ファンが多くて···
たまに魔術を飛ばしてきて、自分をアピールしようとしている目立ちたがりな困ったちゃんがいますが、私に向けて撃たれた魔術は、撃ってきた人の眉間に必ずにお返ししています。当たり前なことですが、借りたものは借りた人に返す事って大切ですよね。
まぁ茶番はこの程度にしておいて、私は200人の神殿騎士から狙われる立場にあります。
私は追われるような事した覚えはないんですけどね。どこで間違えてしまったのでしょう。
「神を冒涜した罪深き罪人に神の裁きを」
「「「裁きを」」」
いい加減、下にいる騎士さんたちが煩いのでそろそろ消しますか···
【裁きの神託】
その言葉が私から周囲に鳴り響き、メルフィスに生えているカラスのように漆黒を纏った翼を大きく広げたその時だった。
直後天から騎士200人全員の場所へと光芒がさした。
その光芒を浴びた兵士たちは悲鳴を上げる暇もなく次々と蒸発していき、最後には骨さえ残さず兵士たちはこの世から去っていった。
ふぅ─お掃除完了ですね。 え、化物だって?酷いこといいますねぇ君は。
私だってこんな化物になんてなりたくてなった訳じゃ無いんですよ。ですけどなってしまったものは仕方ないんです。諦めましょう
その強さの秘訣を教えて欲しいって?私は自分を貫いた結果にこうなったんだけどなぁ~
···あっ、そうだ。いいこと思い付いた。
君には私がここに至るまでの記憶を見てもらって、私の強さの秘訣を見つけるっていうのはどうかな?
他人に言われて出た答えじゃなくて、自分で見つけ出した答えの方が実践しやすいと思うんだよね
よし、決まりだね。それじゃぁいってらしゃい。
【記憶追想】
******
勉強 スポーツ 容姿 全てにおいて私は普通の人より上でした。
私がこのようなことを言って自惚れているアホ野郎だとバカにする人もいるだでしょう、しかし実際、私が今まで生活してきた小学校·中学校での私の立ち位置は、文武両道で可愛く、気軽に声をかけられるような人間でした。
それは高校に入ってからも同じで既に私は優等生としての地位を確立していっていました。
そして学校からの帰り道、私が友達と別れて一人で歩いているとき、駅に向かう途中で奇妙な【少女】に出会いました。
その【少女】は私の後ろから横断歩道へ必死に走ってきて、そのまま向かい側まで行くのかと思っていたのですが、突然その足を横断歩道の中央で止め、上を向いて呆けたように立ち尽くしていました。
何だろうなとは思いつつ私は向かい側までたどり着き、さっきの子の事が少し気になったのでと振り返ると【少女】は先程の位置のまま動いておらず、その姿は何かを待っているかのように思えました。
赤信号になっても動かない【少女】に
「そこは危ないからこっちへ来なさい」
「…………」
と注意してもそこから動かなかったので、引っ張ってでもその場を離れさせた方がいいと判断した私はすぐさま横断歩道の真ん中まで来て少女の手を掴みました。
そのまま向かい側まで行かせようと思っていたとき、背後から来るブレーキ音にきずかずそのまま【少女】と手を掴んだ状態でと一緒に跳ねられ死んでしまったのでした。
なら何故、跳ねられて死んだのににこんな話が出きるかって?
それはですね、私が生まれ変わったからですよ···転生って言いましたっけ そのときの話をしましょう。
******
意識が戻って記憶が混乱している私はまず始めに自分の周りを見渡しました。するとそこにはレンガのようなもので作られた建物があり、その門の前に私はふらついて立っていました。
そして歩こうとしたとき背中に違和感を感じて盛大にこけてしまいました、今思うととても恥ずかしかったです··
建物の前に急に現れた私におどろいたのか建物を守っていた全身を鎧で纏った人がこちらに来てくれました
「大丈夫かい嬢ちゃん」
「あっ…はい」
そして倒れている私を確認しようとした兵士が私の顔を覗き込み、悲しそうな顔でこう言った。
「メルフィスちゃんか···残念だよ、今度は君が堕ちるなんて」
メルフィス?私のことなのでしょうか?"君が堕ちる"とはいったいどういう事なのでしょうか。
そしてメルフィスと言う名前は私ではありません─ありませんが、私はこの名前を自分の名前だとはっきりと感じてしまうような感覚があるのです。この奇妙な感覚はなんなのでしょう?
そんなことを考えていた私は、自分が何者なのだろうと考えた瞬間私の脳にたくさんの記憶が流れ込んできた。
これは誰の記憶だろうと考えているとさっきよりも速い速度で流れてくる記憶の負荷に耐えられなくなり、その場で意識を失い倒れてしまったのだった。