表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/18

かけおち悪女、提案をされる

しかし、わたくしはまた、ケンゴと会うことになります。

それは、エルネストから、全く予想もできないようなことを提案されたからです。

『僕には、好きな女性が別にいる。その女性…マーガレットも、君と同じ国の人間だ。しかし、僕の婚約者にするためにはいささか爵位が低すぎる。しかし、君にも好きな男がいるらしいな?


どうだろう、僕達が好きな人と結ばれるために、協力し合う気はあるか?』


それが、わたくしが異世界追放された……いえ、してもらった理由です。 


わたくしは、隣国の王子という婚約者がいながらも、平民と浮気をする『悪女』になる。

そして、異世界追放される…。

しかし、この国では一般的に、異世界追放=死を意味します。

1億もある異世界のうち、人間が生きられるような世界は10ほどしかないという考えがあったからです。

よほどの運が無い限り、人間が生きられないような世界へ飛ばされ、たどり着いた瞬間に死んでしまうということでした。

しかし、隣国ができあがってから1番の魔力保有者であり、異世界についての研究をしているエルネストいわく、それは全くのデタラメらしいのです。

ただ、確かに、人間が生きられない世界もあります。

けれど、研究の結果、安全な世界だけ…もっと言えば、ある特定の世界へとワープできる調節方法が見つかったそうです。


この調節方法で、わたくしとケンゴが同じ世界へと飛ばされ、結ばれます。

つまり、異世界追放という名の『かけおち』です。

そして、残ったエルネストは、浮気をしたわたくし達に激怒するフリをして、裏切ったこの国への戦争を仄めかせ…しかし、マーガレットと結婚ができるならば許す、という対応をとるのです。

隣国の王と王妃や、こちらの国の王が、どういった対応を取るかは分かりません。

けれど、そういった細かい部分は僕がなんとかするから任せてくれ…とエルネストは言いました。


これでわたくしたちの恋が叶います。

しかし、これらの話が終わった後、エルネストは真剣な顔で問いました。

『ワープする世界は、特定できる。だが今の所…辿り着く時代までは、調整できない。2人を同じ世界へ飛ばしても、バラバラの時代へ辿り着いてしまう可能性も高い。それでも……この案に乗るか?できれば、君だけの気持ちを聞きたい。』


これを聞いた私は、けれどどうしても1人で決めきれず、ケンゴへ相談したのです。

自分は不安である、けれど、この世界にいて、アナタと会えないのも辛い、と。

泣きながらそう話したわたくしに、ケンゴは言いました。


『僕は、たとえ1%でもカトリアと結ばれる可能性があるなら、それに賭けるよ。だって、君と結ばれない世界なんて……僕にはいらないから。』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ