表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/18

かけおち悪女、生まれて初めて叫ぶ

初めまして!

ご覧下さりありがとうございます!

感想など頂けるととても嬉しいです。

どうぞよろしくお願い致します!

『おい悪女!国の未来を背負っている自覚はなかったのか!?』

『国民のことなんて何にも考えていない悪女め!!』

『お前なんか尻軽の悪女だ!!!』


男性、女性、老人、子供、綺麗な身なりをした者に、ボロボロの服を着た人。

数え切れないほどの人達が、わたくしを取り囲んでいます。

その誰もが、わたくしを睨み、軽蔑し、そして、わたくしを悪女だと呼びました。



今日は、追放をされる日です。

隣国の第一王子と婚約関係にありながら平民に恋い焦がれ、あわや戦争を起こしかけた、わたくしの。



「カタリナ。準備はいいか?」


元婚約者エルネストからの言葉に、わたくしは力強く頷きました。


「もう一度だけ言うが、これからカタリナが追放されるのは異世界だ。しかし、危険な世界に飛ばされることはないように調整している。」


そこまで言うと、エルネストは右腕を空へ伸します。

これは、今から追放のための儀式を始める、という合図だそうです。

その合図を見た国民達が、わあっと沸き上がります。



「カタリナ………もう一度、恋人に会えたらいいな。」


エルネストは、寂しそうな顔でそう呟くと、しかし次の瞬間には表情を変え、叫びました。


「今から罪人の異世界追放を行う!全員呪文を唱えよ!!」 


エルネストが呪文を唱え始めると、後ろで待機していた魔術師達もそれにならいます。

異世界追放のための呪文は、とても長いようです。

その間のわたくしには、たくさん考える時間がありました。


この世界であった、楽しかったことや辛かったこと、幸せだったこと。

しかし、頭に浮かんでくる思い出は、愛する恋人のことばかりです。


どうか、どうか。

次の世界でも、愛する恋人…ケンゴと出会えますように。



気が付くと、エルネスト達の呪文は終わっていました。

あら?と違和感を覚えて、自分の体を見ます。

わたくしの体は、足先の方から、ゆっくりゆっくりと消えていっているようでした。


ふと、体が温かくなります。

気が付くと私は、エルネストに抱き締められていました。

うぅっという嗚咽が聞こえて、ああ、泣いてくれているんだ、と寂しい気持ちになり顔を見上げます。


………い、いえ!?顔を見たらとてもにやけていらっしゃいますわね!?

…そうして、謎ににやけているエルネストは、私の耳元でこう囁いたのです。


「危険な世界には飛ばないように調整した件だけど、そのせいで、もしかしたら服だけここに残っちゃうかも。」


「……はい??」


服だけ、ここに残っちゃう?


「向こうで素っ裸だったらごめんね!」


向こうで、素っ裸だったら、ごめんね……?


言葉を理解したわたくしは、思わず叫んでいました。


「えええええええええええ!?」


わたくし公爵令嬢として産まれて、こんな風に叫んだのは、これが初めてのことです。


それから、わたくしの服がこの世界に残ってしまったかどうかは…お察しの通りでございます。

私の体が完全に消えた後、パサリとその場に落ちたドレスに、その場に居た者は顔を赤くしたそうな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ