表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
渋谷ダンジョン  作者: nae
1/5

事故ト始マリ

やりたいことを、好きなだけやれる世界へ


 週末でもあるからか、終電にも関わらず人が多くごった返す、終電の渋谷駅ホーム。

 急いで駆け込んでくるサラリーマンや若者が多くいる中、列の最前列、そこにくたびれたスーツを着た若い青年がいた。


 名前は東雲しののめ りん手入れをあまりしていないような黒髪であり、少し暗い印象の男である。


「あー疲れた。スマホも壊れたしまじで、最悪だ。せっかく明日休みなのに修理しないと。」


 なんでこんなにも毎日、毎日パソコンの前で、単純な数値を入力して、書類の作成をしなければいけないのか、嫌になってくる。

 大きなプロジェクトを行うこともない。それで給料をもらっているのだからしょうがないのだけれども。

 毎日がつまらない、いっそのことこのまま来る電車に飛び込んでしまおうかと、冗談まじりに、目の前の線路をボーっと眺めているとあることに気がついた。


「なんだあれ?」


 反対側のホーム下の窪み、おそらく落ちた人が逃げる待避所的な場所であろうその場所になにか動いたような気がした。


「おいおい、猫かなんかか?もう電車来るぞ。」


 そう考えたがすぐに違うと分かった。さらにその奥から何か這い出てきたからだ。


「は?手じゃないかあれ?なんであんなところに人がいるんだよ!やばいぞあんた出てくるな!電車がくる!!」


 しかし電車の音と周りの喧騒で、まったく聴こえていないようだ。


「やばいぞ!電車が来てるって!」


 周りの人も、俺の尋常じゃない様子に、線路脇の人影に気付き始めた。


「おい!線路脇に誰かいるぞ!おいお前、出てくるんじゃない!」

「え、やばくないあれ、暗くてよく見えないけど多分あれ人だよね。」


 今から緊急停止ボタンを探して、押しても絶対に助からないだろう。しかもここは、電車の最後尾となるところ、速度はそれほど落ちないと考えた方がいい。

 電車が特有の甲高い音を鳴らしながら走ってきた。


「おい!出てくるなって言ってるだろおおお!…ん?」


 おかしい事に気がついた。出てきた人は身長が150cm程度しかなく、体が骨張っており、しかも肌が緑がかっているのだ。


 その瞬間、ドンッッ!と大きな音が鳴った。跳ねられたのだ。周りから一瞬音が消えたような気がした。一拍置いて誰かのキャーという甲高い悲鳴が聞こえた。


「気のせいか?」


 そんな人間なんているわけない。しかも上半身裸で緑の肌なんて、どうかしてる。まるで物語に出てくるゴブリンのような…。てか、今壁から体がでてこなかったか?しばらく俺はその待避所があった場所から目が離せなくなっていた。


「まじで、つかれてるなー。家帰って早く寝よ。てかこれ電車で帰れないだろ。まじで今日はついてないな。」


「緊急連絡です。緊急連絡です。ただいま駅ホームにて人身事故が発生致しました。ご利用のお客様は至急、ホームから出てください。また、終電のため、運行再開は翌日となります。緊急連絡です。緊急連絡です。」と駅のアナウンスが繰り返されていた。


「はぁ…今日はタクシーしかないか。いや近くのネットカフェにでも泊まろうかな。」


 アパートは下北沢にあり、渋谷からはかなり近いが、タクシーを使う気分にもなれず、自分で歩く気力もなかった。改札に向かい歩いていると、不意に近くのカップルの言葉が耳に入ってきた。


「ねぇ、さっきの人なんかおかしくなかった?なんか人じゃない、宇宙人みたいな、なんか漫画とかのゴブリンみたいな。」

「は?アニメの見過ぎだよそんなことあるわけねーだろ。そもそも一瞬すぎて誰が轢かれたか見てねーし。」


 え?


 俺以外にも見たやつがいた?じゃああれは本当に?

 そうだ、あんなに奥から人が出てくるのはおかしいだろう。今まで気づかなかったのもそう。普通あんなところに誰かいたら気づく。そもそもなぜ最初に俺は猫だと思ったんだ?最初は小さな細長いものが動いていたからだ。そして奥の壁から人が出てきたように見えた。


「本当に、奥の壁から出てきたんだ。」


 そんなどこかの魔法界じゃあるまいし。壁が通過できるわけない。でもそれが本当にできたとしたら?


「ワクワクするじゃねぇか」


 鳥肌がたった。毎日同じことの繰り返しで、自分の好きなこともままならない。ちょうど人生そのものに嫌になってきたところで、こんな不可思議なことが起きたのだ。このチャンスは見逃せないだろう。


「一か八かだ、このままつまらない人生を送るのか、刺激に満ちた心躍る日々を送るのか。」


 目の前で、しかも他の人も同じようなものを見ているのだ。


「壁の奥に行ける可能性は十分にある!!」


 じゃああの窪みにいつ行くかだ。人目の多い時間帯は避けたい。ならばいける時間帯は一つしかない。


「始発頃だな。もうあまり時間がない、早くネットカフェで出来るだけ休憩しよう。」








初めまして!初投稿作品なので、拙い文が多くあると思いますが、ぜひ読んでください。

しばらくは毎日投稿を続けるつもりなので、ブックマークやお気に入りをしてくれると幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ