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短編集

ハッスルムーブメント・カーニバル

作者: デニス・加藤

 今朝は国会議事堂前駅周辺にて、楽しいお祭りが開催されました。そのお祭りの名前は「ハッスルムーブメント・カーニバル」です。


 まず、ハッスルムーブメントについて説明します。ハッスルムーブメントというのは、カナダの心理学者「L(レジーナ)・ベル」が提唱している「ハッスルムーブメント理論」に基づいた、健康ダンスを含む生活活動の総称です。

 難しいお話はさておき、今朝私が見た、ハッスルムーブメント・カーニバルの様子をリポートします。


 まず味の素スタジアムの横にある秘密のあなぐらの自宅から京王線で、新宿駅まで行きました。そして、JR山手線で原宿まで行きました。何のために原宿まで行ったのかというと、駅の売店にあるナッツとチョコの量り売りを買うためです。


 そして東京メトロ千代田線で、国会議事堂前駅まで行きました。目的地に着いたのが午前九時。すでにハッスルムーブメント・カーニバルは始まっていました。日本全国各地から様々な山車(だし)が集まっていて各地方の特色が一望でき、壮観でした。


 駅を出たところにたこ焼き屋があったので、三箱買いました。食べながら坂を下っていると、鳥のお面を被った一団の中の一人の女性(名古屋メンバー)が手羽先を一本くれました。

 人に優しくされたのは約二年ぶりで、今日ここに来て本当に良かったって思ったら、涙が出てきました。


 ハッスルムーブメントの本拠地、カナダのメンバーがどうやら最前列で警備員と揉めたようで、私たちに対する、国家権力による巨大扇風機(エア・カノン)を使った送風が始まりました。それが、九時四十五分ごろだったと思います。まずカナダメンバーが環境省まで吹き飛ばされ、続いてボリビアメンバーが農林水産省に吹き飛ばされていきました。私たちは、海外メンバーらが警備員に駆逐(きょうせいはいじょ)されるのを見て、恐ろしくなりました。


 沖縄メンバーの学生の一人が、ハッスルムーブメントの公式ソング「いっしょに踊ろう! おしりふりふり(Let's dance together, shake your hips)」を歌い始めました。そして彼女のさざ波のような歌声は、静かな、しかし確実に、大きな渦潮(うずしお)となったのです……一人の少女を起点とした……そのとき私たちは一つの、ムーブメントになりました。みんな、泣いていました。


 警備員が、送風をやめました。そして、私たちに対しこう言ったのです。

「全員、服を着なさい」と。


 やっと今自宅に着いて、遅い昼食を摂りながらこの文章をしたためています。今日は、刺激的な一日でした。

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