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他者はいない

私をもてなしてくれるもの

色とりどりの模様の金魚

銀色に青く光る淡水魚

愛嬌たっぷりの緑の子亀


そこに他者はいなかった

親密になれる他人はいなかった


私をもてなしてくれるもの

遠い異国のプロレスラー

アラブの国から来た肉屋

インカの色濃い仮面のルチャ


そこに他者はいなかった

仲良しの他人はいなかった


本を見て知識と語り合い

色とりどりの挿絵を脳裏にきざむ


お祭りの露店

天を駆け抜け広がる花火

渚のざわめきと貝の音


そこに他者はいなかった

憧憬の日々を一人で心にとめおく


そこに他者はいなかった

自分だけの走馬灯

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― 新着の感想 ―
[一言] 寂とした表現ながら、心を抉(えぐ)るように書かれたような。 そんな風に思いました。
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