第七十二話「肉片」
「今日の所は帰ります」
「また断片が出現したら教えて下さい」
空港に着いたら、電車に乗って、それから歩いて帰宅。
一泊二日だったが、玄関を見るのは久しぶりな気がする。
「「ただいまー」」
「や、や」
や?
「やっと帰って来たーっ!寂しかったんだよーっ!」
お母さんが絡み付いてくる。
「ど、どうしたの?」
「一日半だけでしょ?」
お父さんもいるはずなんだけど。
「お父さんが最近仕事ばっかりで一緒に居られないのよー。上司が方針を変えたとか何とかでー」
確かに、この前からあまり家にいない気がする。
それは私達もだが。
「はいはい分かったから離れてー」
「ずっと玄関にいる訳にはいかないからねー」
お母さんはぬるぬると離れていく。
手を洗い、荷物を下ろし、キッチンの方を見て、察する。
「お料理して、、、」
「私達には電子レンジが爆発しているようにしか見えないけど」
正確に言うと、電子レンジは無傷で、肉片のような物が飛び散っているだけだ。
「失敗しちゃった」
「「失敗しちゃったじゃねぇよォォォォォ!」」
どうするんだこれ。
そもそも何だこれ。
「何で片付けなかったのよ!」
「片付けたよ!さっきまで片付けててやっとここまで復元出来たんだよー!」
よく見たらゴミ箱にも肉片が。
そして憎たらしい顔をした魚が描かれたパッケージ。
「お魚ソーセージだね」
「はい」
肉片を掃除して、その日は終わった。
お父さんはまだ帰って来ない。




