第六十六話「踊っている」
もうすぐだと思うんだけど、、、。
この先に、、、いた!
「ミーセーっ!だいじょーぶー?」
「大丈夫に見える!?戦ってる途中だよ!?」
ナイフを両手に持ち、比田井と戦うミーセ。
遠距離攻撃ではなく、接近戦で。
「遠距離専門じゃねぇのかよ!」
「別にそんな事言ってないよ?でも、近距離戦は手加減が難しいかもー」
「ふん、手加減か。何度も吹き飛ばされた者の口から出る言葉とは思えないな」
よく見たら服が汚れているような、、、。
受け身ぐらい取れるだろうが、ダメージはあるに違いない。
「今加勢するからー」
走りながらナックルエレキの式陣を発動させる。
電力を節約するため、強化の式は温存する。
「ほっ!」
まずは左の拳を避けられる。
ナイフを持ったミーセの手首に肘を打ち付け、ナイフを落とす。
右手で風を発生させ、その勢いで回転し、右脚を後ろから回してミーセごと私を蹴ろうとしてくる。
ミーセは素早く姿勢を低くして避ける。
つまり。
「がっ!?」
腕でガードしたが、風の力を使った蹴りで横に崩される。
ミーセがナイフを投げたが、比田井は投げる位置が分かっていたかのように最低限の動きだけで避ける。
「大丈夫アワナちゃん!?」
「私はアワリじゃいっ!」
さっきからずっと勘違いしていたのか恥知らずめ。
「えへ。遠距離からサポートに徹するね!」
誤魔化したな。
牽制用のナイフを避けるように比田井は下がっていく。
「お前達が強いのは認めよう。だから、俺もなりふり構わずお前達を倒す。断片はもうどうでも良い。俺は勝負がしたいだけだ」
アポトーシスのメンバーは全員戦闘狂なのか?
実際、トップにいると思われるイズや解理と言う者以外はこれといった目的も無いのかもしれない。
ただ暴れたいだけ。
力を振るいたいだけ。
そして、アポトーシスに。
全員殴り飛ばして逮捕してやるよ。
あの疑問の答えが少しだけ形になってきたような気がする。
「じゃあ、私も本気出すよ」
「ボクも」
強化の式二百パーセント!
正面から向かう。
ナイフが横から何本も連続で投げられる。
ミーセはどんな体勢からでも動作補助で正確に投げるため、もはや踊っているようにも見える。
比田井にナイフが三本刺さる。
流れたのは血ではなく電流。
だが、痺れる事も計算されていたかのように掌を私の腹めがけて突き出す。
そして。
二百五十パーセント。
「私達の負けで良い!」
上から降ってきた半身が二、五倍のただの拳を比田井の頬に叩き込んだ。




