第六十五話「ミ」
「僕から離れないで下さい」
「は、はい。でも、あの、何でこんな事に?」
シャナノフと断片、複数の荒くれ者に狙われ、走っている。
「説明したいのはやまやまなのですが、それだけの余裕がありません。ただ、あなたを狙っていると言う事は申し上げておきます」
シャナノフ、懐から銃のような物を取り出す。
「これから僕達の仲間の元へ向かいます。そちらも囲まれているでしょうが、戦闘力は高いのでこの辺りよりは安全です」
「いたぞ!ターゲットだ!」
シャナノフ、銃の引き金を引く。
荒くれ者の一人、衝撃で倒れる。
「こ、殺してしまっ、、、」
「いえ、一滴の血すらも流れていませんよ。これはイリュージョン・エアガンと言って、空気を強く押し出すだけの銃です。純粋な科学技術だけで作られておきながら、幻想を意味するイリュージョンと呼ぶとは皮肉な物ですね」
シャナノフ、断片に笑いかける。
断片、首を傾げる。
「ああ、すみません。よく分からないですよね。あなたが知る必要はありませんので、忘れて下さい」
「、、、はあ」
二人、再び走り出す。
「あ、見えました。ここからはより激しい戦闘になるので僕達の近くにいて下さい」
海乃、インパクトオルガンを装着した腕で荒くれ者達を薙ぎ倒して道を作る。
「こっちこっち!あと五十人くらいだから手伝ってー!」
「分かりました。この方を間違えて攻撃しないようにして下さいね」
シャナノフと断片、海乃の先導で輪の中へ入っていく。
「かなり囲まれているが、大した武器も持っていないし、連携も取れていない。銃にさえ気を付けておけばまず問題無いだろう」
「海乃さん、腕のそれは幻術なのですか?」
「聞いてくれた聞いてくれた?これはインパクトオルガンって言って機械で出した音を幻術で範囲指定して範囲内に入ったら音の振動で殴るんだよ。音階によって威力を変えられるから手加減も出来るし今はミだからそんなに強くないよでこんな感じ」
海乃、近くまで来ていた男の顔を殴る。
男、ミの音と共に飛ばされる。
「ウミノ、喋りすぎぃ。口より手を動かそうぜぃ」
「お前ら!舐めやがってぇぇ!」
シャナノフ、向かって来た男の額を撃つ。
「翻訳機はしばらく電源を切っておきますね。この方達は礼儀という言葉を知らないようですから」




