第五十八話「流石に」
「ほら」
揺さぶられている。
「起きて起きて」
今度は私が揺さぶられている。
「もう起きる時間だよー」
分かった分かった。
今起きるから。
「おはよ」
「むぅーん、、、」
「おはよう、、、」
覗き込むように顔を近づけていたミーセ。
寝起きじゃなければその美しい顔に頭突きをしていただろう。
いや、流石にしないよ流石に!
「今何時ぃ?」
「二時半くらいだよ。日本と時差はあるけどね」
漁業関係者の朝は早い。
私達のために日々働いてくれてどうもありがとう。
「さ、着替えよっと」
「おなーかーがぁすうぃったよー」
海乃さんが変な歌を歌いながら指揮棒の手入れをしている。
伊寄さんはぼんやり座っている。
睦規さんはミウ・トートの画面を見ている。
「昨日時晴から断片のデータが送られて来た」
じゃあ昨日教えてくれても良かったのに、、、。
「信号はあまり強くない。種類は恐れる断片」
「これで何個目だっけぇ?」
「確認出来ている限りではこれで五個目だ」
悲しむ、安らぐ、驚く、楽しむ、そして恐れる。
断片は、種類によってどの感情を増幅させるかが違うらしい。
この夏休み中に全部回収してしまいたい。
もう、楽しむ断片の時のように、間に合わなかった人を出したくない。
「シャナノフも来るの?」
「はい。戦う手段は幻術や幻覚だけではありません。皆さんの邪魔にならないように配慮しますので」
と、言ってくれているが、実際どう戦うのだろう?
とにかく、私達はアポトーシスと戦う事を考えておいた方が良い。
ロシアに来ているかも分からないし、実際フィリピンではアポトーシスと遭遇しなかったが、可能性がある以上考慮しておかなければ。
「じゃ、そろそろ行こっかー」




